2013年6月2日

ようこそV7(3) 洗車


 5月26日(日)、前日の土曜日は、例によって机での書類仕事をし、家族での買い物もした。
 日曜日は、朝から、走る前の洗車とワックス掛けを施す。
 V7を買う時に、お世話になっているバイク屋のズームさんに、気を付けることはありますか?と訊いたら、「きれいに乗ってください」と言われた。GPZは通勤にも使い、雨の日も乗ったし、その都度洗車なんかしなかったから、もうひどいことになっていたのだ。バイクを愛する人からすれば、それは許せない状態だったかもしれない。もちろんそれは、安全のためでもある。きれいなバイクは掃除や洗車の際に各部をよく見られているから、故障を未然に防げることもある。イタリアのバイクは、汚くしていても壊れないようなカワサキとは違うのだろう。(壊れるという意味ではありません。)
 …と、言っても、僕には磨き趣味はない。申し訳ないほどに、愛車をピカピカにすることに興味が湧かないのだ。しかし、機関として悪いことはしたくない。そもそもバイクは機関が露出しているから、きれいにしておくに越したことはないのだ。いろんな汚れがこびりつくと、錆が進行しても見えなかったり、オイルの滲みなどの発見が遅れたりする。それにこのV7は日本製ではないのだ。ちょっと聞くと、いろんなボルトなども軒並み放置すると錆が浮いてくるらしい。ホイールも、クラシックの時は鉄製だったのだが、スペシャルになってアルミ製になったものの、それは塗装していない、アルミ地のままなのだ。僕のようなだらしない人間は、汚れが着く前に洗車してワックスをぬっておいた方がいい。
 それで、今日は洗車&ワックスがけの日としたのだった。

 園芸用のホースとノズルで、ゆるやかなシャワーを前上方から浴びせて埃を浮き立たせ、シリンダーやクランク、ホイールなどは狙って強めに水をかける。やや贅沢に、たっぷりと水をかけた。
表面に傷がつかないように気をつかながら、新品のやわらかいウェスで水分を拭き取る。
 さすが新車だけあって、あまり汚れてはいない。
 タンク、サイドカバー、前後フェンダーには、ワックスをかけた。
 シュアラスター社の『インパクト・マスター・フィニッシュ・ジュニア』という長い名前の固形ワックス。カルナバロウと石油系溶剤が原料のワックスだ。100グラムで998円は、一番安くもないが、そんなに高くもない。最高級カルナバワックスと言うわけにはいかないが、インターバルを短めにできるように怠惰な心に言い聞かせることにしよう。
 ワックスをかけると、表面が濡れたような艶を持った。


 V7には、物を積むスペースがほとんどない。唯一の場所、シート下には、ヒューズやら、バッテリーやらが鎮座し、シート後半のリヤフェンダーの上との隙間が「グローブボックス」ということらしいが、きれいな車載工具入れがはみ出して置かれている以外には、本当に車検証以外に積めそうもなく、グローブは手術用のものでもなければ無理なんじゃないか、というほどだった。


 このきれいな車載工具入れ、中身はこの写真がすべて。
 リヤサス調整用のフックレンチ、ドライバーと、サイズの違う六角レンチが2本だけ。



 どうしてこんなにシート下が狭いかというと、シリンダーの後ろに結構空間があり、ツインエンジンだが燃料噴射装置(インジェクター)は一つで、両サイドのシリンダーからY字型に長いマニホールドでつながっているからだ。エアクリーナーボックスがサイドカバーの中にあり、バッテリーなどど同居。積載スペースはないという訳だ。

  


 ちなみにエンジンを前から見るとこうなる。90度V型、縦置きの空冷ツインエンジン。この型からエンジンのフィンやヘッドカバーの形が変わった。ややソフトになってモトグッチらしくないとの声も聞かれるようだ。いや、こっちの方がいいという声もあり、賛否両論らしい。

 まあたくさんのボルトがあるものだが、これらが殆ど六角穴のボルトなのに驚いた。これがまた、錆びると情けない景色になりそうだが、きっと錆びさせてしまうのだろう…。
 エンジンもよく洗い、拭いた後に耐熱ワックスをかけておいた。ホンダの『耐熱マフラーワックス』はホンダドリーム店で2835円で購入。エンジンにもOKのワックスだ。これで汚れのこびりつきを少しでも遅らせてくれるといいのだが。
 クランクケースもとにかく冷やしたいのか、フィンだらけだ。今から雨の日の後の洗車が思いやられる…。まして僕は、雨でも、ダートでも行くからね。うううのう。



 エンジン後部。スイングアームがクランクケースに直接付いている。こちら右側が、駆動力を伝えるシャフトのある側。反対側にはディスクブレーキが付く。スイングアームはアルミ製で、黒の塗装がされている。こちらはよく洗い、拭いた後、ホンダの『アルミホイール・プラスチックワックス』(1575円)を吹き、布で拭き上げておいた。このワックス、別にアルミだから吹いたのではなく、一般塗装面にも使える泡のスプレータイプのもので、使いやすかったからだ。チェーンドライブと違ってオイルまみれにはなりにくいが、走行時の車輪からの汚れが盛大につくところである。丁寧にした。
 それにしてもシリンダー後方の空間がいやに広くて向こう側が見えていることと、ホース類が多いことに気づく。ブレーキペダルの取り回しも面白い。マスタシリンダーはもっと面白いのだが、また。
 見ての通り、前後ホイールはスポーク。これも一本ずつワックスをかけてふき取った。ああ、これからずっとこの掃除をするのか…。恰好の好みだけでキャストでなくスポークを選んでしまった自分が、早くも悔やまれる。


 スイングアームを真下から見る。
 ひっくり返っているので、上側が進行方向に向かって右側、下が左側である。右のシャフトが入っている方はつるっとしているが、それ以外はリブの入ったオープン構造。黒の塗料もリブの谷の底までは施していない。そして、このコードの取り回し。留めているバンドやボルト、ナット。これは、掃除不可能ではないのか。はははのは。上記のワックスを少量吹いて、ウェスをこよりのようにして差し込み、拭きとるようにした。このワックスはべたべたしないのがいい。
 写真の右にあるリンケージとシャフトはギヤチェンジ用のもの。スイングアームを貫通してギヤボックスへ向かう。


 最後はFフェンダーを真上から見てみたところ。フェンダーはプラスチックだが、塗装が美しい。左右フォークを結ぶスタビライザーも樹脂製。タイヤはピレリのバイアス、スポーツデーモン。
 接地面中央のひげも取れていないところがなんとも新品感だし、型の合わせ目の耳が盛大に残っているのも新品ならではだ。GPZはメツラーのラジアルZ6を履かせていたので、このバイアスとの違いなど、楽しみだ。

 さて、洗車とワックス掛けなどに結局4時間もかけてしまった。すでにへとへとな私。
 では、すこ~しだけ、慣らし運転に出かけることにしよう。

ようこそV7(2) 諸元表

 
バイクはスペックだけで語れるものではないが、一応、V7スペシャルの諸元表を載せておこう。
以下の表はモトグッチのHPから引用した。
写真もモトグッチのHPより借用している。
エンジン型式     4ストローク空冷90°V型2気筒OHV2バルブ
排気量         744cc
最高出力       37kW(50 PH)/6,200rpm
最大トルク      60Nm/2,800rpm
トランスミッション形式   5速リターン
クラッチ形式      乾式単板クラッチ
サスペンション(F)   φ40mm 油圧式テレスコピックフォーク
サスペンション(R)   プリロードアジャスタブルツインショックアブソーバー 軽量アルミスイングアーム
ブレーキ(F)     φ320mmステンレスシングルディスク ブレンボ製 異径対向4ピストンキャリパー
ブレーキ(R)     φ260mmステンレスディスク フローティング2ピストンキャリパー
タイヤ(F)       100/90-18(スポーク、アルミリム)
タイヤ(R)       130/80-17(スポーク、アルミリム)
シート高        805mm
燃料タンク容量   22L(リザーブ約4L)
車両重量       198kg
希望小売価格(税込)  ¥1,050,000
生産国        イタリア
 
 今までの愛車、カワサキGPZ1100は乾燥で242㎏、装備では270㎏を超えていたから、単純に重量だけ見てもかなり軽い。
装備で200㎏を切るというのだから。
車検証では前輪90㎏、後輪100㎏で190㎏で掲載されている。これはガソリンが入っていなければそれに近いかと思われる。

家までの短い運転での最初の印象としては、まず、軽い!GPZは押し引きがとても重く、全身を使って押さなければ、まったく動かなかったくらいだが、昔乗っていた400ccのGPz400F-Ⅱを思い出すほどに、まず押し引きが軽い。
そして、動きも軽い。直進付近からの左右へのリーンがGPZに比べて非常に軽い。どれくらい軽いかと言うと、GPZが40人前入った鉄鍋をうおおっと持ち上げる感じなのに対し、片手鍋をさっと持ち上げる、それくらい軽いのだ。しかし、ふらふらする感じではない。このあたりは車体と、タイヤと、エンジンととにかく総合的にそうなっているのだろう。この軽さに関しては、またおいおい触れることになると思う。

 エンジンは、ナサート管を付けたGPZが後輪で110psだったのに対して、V7はクランクで50ps。半分以下のパワーということになる。まだ新車だから全開には当然できないが、低回転で市街地を走っただけの印象で言うと、そんなに遅いとは感じない。ここでも軽さがプラスに働いているのだろう。軽快に加速していく感じだ。

ただ、ギヤシフトのペダルの動きが、GPZと違って、違和感があった。ストロークが大きく、新車の固さもあるのだろうが重く、固い感じだ。モトグッチはシフトフィールに関しては評価が高いので、僕がきちっと慣れることと、馴らしの進行を待つことにしよう。


 我が家の半屋外の車庫に入ったV7。
生まれた国を遠く離れて、日本へ。北海道へ。ようこそ、僕の新しい相棒。ようこそ、我が家へ。

ようこそV7(1)

2013年5月24日(金)夕方。
18年間乗ったGPZ1100を、この9年間ずっと診てきてくれた、札幌のバイクショップ・「ズーム」さんに引き取ってもらいに行った。
その帰り、新しい相棒、モトグッチV7スペシャルに乗って帰ってきた。


我が家の前に佇むV7。
さっきまでGPZが収まっていた、インプレッサの隣が、君の格納場所になる。
新車だが、マフラーには既に焼け色が入っていた。
これから、どうぞ、よろしく。
新しい相棒。

はじめまして。

はじめまして。
樹生和人(たっきかずひと)です。

「風のV7 北道逍遥-バイクライディングin北海道Ⅱ-」へようこそいらっしゃいました。
このブログは、「聖地巡礼-バイクライディングin北海道-」の続編です。
どうぞ、よろしくお願いします。

このブログは、北海道在住の管理人が、バイクで道内の道をあちこちふらふらしてみたり、
バイクについてあれやこれや考えたり、バイクにまつわるいろんなことを気まぐれに書いたりするブログです。

どうぞ、お付き合いください。
旅の相棒は、このバイクです。


モト・グッチ V7スペシャル。
イタリアから北海道まで、遙々やってきました。
次回記事から、この新しい相棒のことを少しずつ紹介していきます。

記録的な大雪で春が遅かった北海道も、6月に入り、花の季節を迎えています。
新しい相棒と、また旅を始めたいと思います。

どうぞ、よろしくお願いいたします。