2013年8月19日

2013お盆走4双葉のミズナラ


津別町、双葉のミズナラは、津別町の双葉地区から林道を4.5kmほど入ったところにある。
昭和61年(1986年)に町有林の中で偶然発見されたそうで、周囲の山は幾度も山火事に遭っているといい、その生命力には驚かされる。
津別町のHPによると、推定樹齢は約1,200年で、幹周りは約6.47mで道内第3位の大きさ、樹高は約19mだそうだ。
 林道への表示や分かれ道の案内は読みやすく、分かりやすい。林業の町、津別町だが、樹も、それを訪れる人も、大切に思っているのが感じられる。

12:16PM 津別町双葉 双葉のミズナラ
看板からミズナラの樹までは20~30m。すぐそばにある。奥深い森の中。
熊よけのためにクラクションを長く鳴らす。

木の踏み段を上がっていくと、すぐ奥に見えた。


大きい!
写真では、ちょっと太い樹くらいにしか見えないが、その威容は、むしろ異様にさえ感じる。
胴回りが6.47mということは、円形だとすると直径で2m以上ということになる。
数値にすればそうでもなく感じるが、樹は生き物だ。あまりにでかい生物に出会うと、やはり気圧される。
とにかくでかい!しかも根本の方だけ太いのではなく、ものすごく太いまま、上に向かって伸びている。
まわりの樹々が若いのが気になったが、山火事に何度も襲われたというのであれば肯ける。
その山火事でも燃えず、倒れなかったというのか。

畏ろしさと、物珍しさと、厳粛な気持ちと、野次馬根性と、相反する感情を同時に抱かせるような、そんな威容だ。

根方の木の柵には、大きな枯れ枝が落下する危険があるためにこの柵より近づくのは遠慮してくださいとある。
小さな板への注意書き。相手を信頼して書いているのが伝わる。
こういう注意書きには従うことにしている。
いや、それにしても大きい。



この写真の部分で高さ10mくらいだと思う。樹高は19m。北海道の記念保護樹にはどう見ても高さを水増ししている看板もあるが(注意!ただし、看板設置後に大枝や主幹が折れて低くなった場合もあり得る。)、この樹の高さは記述通りだろう。幾星霜の間に、何度も枝が折れては伸び…を繰り返し、今の姿になったのだろう。もしも主幹が一度も折れず、今も伸びていたら、相当高かったことだろう。そこまで行かなくても、この樹の200歳くらいの時の姿、今から1000年昔には、すっくと立った巨大でのびやかな姿が、森の中で群を抜いていたことだろう。それとも、もっともっと長寿の先輩たちに囲まれて「若造」していただろうか。
大枝や幹についた苔が風格を感じさせる。


見上げるとお昼の太陽が枝間から射していた。
まわりの若い木々の若々しい葉に囲まれ、このミズナラも葉を付けていた。
ミズナラはどんぐりの樹の仲間。カシワの樹とは違うけれど、そんな感じの大きめの葉を持つ。
ほとんど風のない日だった。時折、風が上空を過ぎると、森全体がざわざわと鳴った。
名前が分からないが、鳥の声が聞こえていた。


大きな根方に、小さな芽が吹いていた。



柵は手前の一部にしかなかった。その柵が円形にあったと仮定して、また、上方に枝のないように気をつけながら、少し左右に回ってみた。
おおきなこぶ。ここにも昔、大枝があったのだろう。
岩のようだ。
しかし、岩ではない。
これが生きものか。


反対側に回ってみた。
やはり大きい。
斜面にしっかりと立っている。巨大な楔(くさび)が天空から突き刺さったようにも見える。
この土地の中心に突き刺した、そんな感じがする。




熊との遭遇を恐れて、僕はこの樹の側にいる間中、何かしら大声を出し続けていた。
オーバーに思う人もいるかもしれないが、ヒグマは本州の月の輪熊とは違う。
彼らの領域に僕が入り込んでいる以上、なるべく遭遇しないように注意し、自分が森の一部であると感じられないなら、できるだけ早くこの地から立ち去った方がいいのだ。

双葉のミズナラは、すくすくと高く伸びた後輩に囲まれて、あるで岩のように、どっしり立っていた。
(つづく)

2013年8月18日

V7エンジン性能と最高速




番組の途中ですが…

じゃなかった、ツーリングレポートの途中だが、今回のツーリングで我がV7Specialゆきかぜ号は走行距離が2500kmを経過。馴らし終了までもう少しの時間と距離は必要なものの、全開高回転走行は解禁となった。(勝手にしただけだけど)
そこで、先にそちらをレポートする。

ゆきかぜ(=MOTO GUZZI V7Special 2012)の諸元表は、以前ようこそV7(2)で記事にしたが、エンジン形式と性能の部分だけ書き抜くと以下の通り。

    エンジン型式     4ストローク空冷90°V型2気筒OHV2バルブ
排気量         744cc
最高出力       37kW(50 PH)/6,200rpm
最大トルク      60Nm/2,800rpm
トランスミッション形式   5速リターン
クラッチ形式      乾式単板クラッチ

最高出力は50馬力。これはV7クラシックだった旧型よりも2馬力、日本仕様としては10馬力アップしている。
とはいえ、50馬力である。僕のかつての愛車、GPz400F-Ⅱは54馬力だった。名車の誉れ高い現行CB400SFは53馬力を1万0500rpmからたたき出す。CB400SFの最大トルクは38Nm/9500rpm。馬力は400ccクラスで、トルクはやはり750クラス分ある、ということか。
 ちなみに最新水冷ネイキッドスズキGSR750の最高出力と最大トルクは、106ps/10000rpm、80Nm/9000rpmである。

似たような空冷ツインの仲間、W800の最高出力と最大トルクは、48ps/6800rpm、62Nm/2500rpm。意外なことに?Wの方が高回転で最高出力を発揮する。

実際に走ってどうか。

極低速走行は1速限定で可能。しかし、2速でゆっくり走るのは向いていない。2速以上だと1500rpm以上、できれば2000rpm以上は常にキープしたくなる。
『ライダースクラブ』誌によれば、V7はトライアンフやW800、ドカティモンスターなどよりも「ドコドコ感」があるらしい。
そうした振動は全域で感じる。かつてのモトグッチは高回転域で振動が収まって行くという特性を示したが、V7の場合、5000rpm以上で回転が滑らかになるが、無振動にはならなかった。
また、何度も書いているが、走ってさえいれば、シャフトドライブでの「伝統的」なトルクリアクション(アクセルオンで右に振られ、アクセル急閉で左に振られる)は全く感じない。

トップ5速では、3000rpmで時速80km。
時速60km時の回転数は2250rpm。この回転数、2000~2500くらいは穏やかで流すのに適している。
大型マルチエンジンの中には6速1500rpmからでも加速していく性能のあるエンジンもあるが、V7は5速では2000rpm以下にしたくない感じだ。
5速の2000rpmは約53km/h。時速50km以下の速度では、4速以下のギヤを順次使うことになる。
エンジンを回していくと、
力が弱く、付きはいいがややぎくしゃくする1500rpm以下、
振動がまろやかで心地よく、穏やかに巡航するのに向いている1800rpm~2500rpm
しっかり加速もして、でも扱いやすくもある2500rpm~3500rpm
力強くなり、しっかりタイヤが路面を蹴っ飛ばして走る感じが爽快な3500~5000rpm
高回転域で力は強いが扱いやすく、全開も可能、表情を換えずにリニアに力を上げ、回転を上げていく感じの5000rpm~7000rpm、
といった感じだ。


各ギヤとも、7000rpmでリミッターが作動する。
燃料カットか点火カットか、両方かわからないが、7000rpmまで直線的に非常にわかりやすく出力を上げてきたエンジンがいきなりビビビビ…と、出力を間引きされた感じで7000rpmを維持するようになる。その効き方はやや唐突。
6200rpmが最高出力だから、7000rpmに向けて徐々に出力は下がっているはずだが、あまりそのことは感じさせない。各ギヤでスロットルをストッパーに当てて全開固定してみても、5000から7000の間は表情を変えずに一定の加速を見せ、7000で突然頭打ちになる。

メーターにはレッドゾーンがないが、レッドゾーンに入る前にリミッターを効かせてしまう設定のようだ。感覚的には、まだまだ高回転を許容してくれそうな感じだが、一瞬なら壊れないかもしれないが、用心して使ってくれ…という領域をライダーに預けずに、リミッターで制限してしまって回しすぎによるエンジンの破壊を防ごうとしているんだな…と感じた。

計算上、最高時速は187km/h近辺。これ以上はリミッターがきくので出せない。
ネイキッドでもあるし、風圧との戦いもあり、さまざまな条件によるが、実際の最高速はそれよりちょっと下あたりと考えた方が現実的だろう。

メーターの数字の刻みは、1972年のV7sportのものを踏襲しているそうだが、速度計、回転計ともに振り切ることはないようだ。

最高馬力が出ている6200rpmを中心とした5000rpm~7000rpmのあたりは、エンジンの方が2字曲線的に吹け上がろうとしないので、コントロールしやすく、その手ごたえもリニアで、右手での車速や加速加減のコントロールが面白い。
反面、恐怖を感じるほどの猛烈な加速はしない。
ライダーが意図的に持ち上げない限り、加速時のフロントアップ(ウィリー)はない。

 

全閉位置と全開位置にマーキングした。
V7のアクセルグリップの開度は90度以内で、握り替えずに全閉から全開まで操作が可能。
アクセルの開閉に対するエンジンの反応はとてもよく、きちんと開けただけ反応して力を出そうとする感じだ。

 最初だけばっと反応してそのあとちょっとついてこない、いわゆる「ドン付き」はない。
出力自体が低いためと、空冷のレスポンスの遅さがあるために、最新のSSから乗り換えると、穏やかな特性に感じると思う。
また、初心者が乗ると、入力に即座に反応するので、慣れるまでは神経質で疲れるバイクに感じるかもしれない。

全閉時。
全開時。


 アクセルを閉じると、減速しようとする。
平地を一定速で巡航している時のパーシャル域がやや狭いので、エンジンは加速しようとするか、減速しようとするかになりがちだ。
従って何も考えず車列の後を延々巡航するようなシーンはあまり得意ではない。
しかし、今回のツーリングでは、車列の後を走ることが何回かあり、その際には別に何も掻痒は感じず、そうしたシーンが苦手なこともまったく忘れていたから、慣れの問題かもしれない。

エンジンブレーキはそれほど過大ではない。しかし5速ミッションはワイドだから低回転域以外ではシフトダウン時に回転を合わせる操作を要求してくる。
そうしなくてもダウンできるが、合わせた方が気持ちよく走れるのだ。

V7のエンジンと車体は、どんな乗り方でもまあまあ許容する一方、明確に「ここはこういうふうに扱ってほしい」というメッセージを発してくる。
そしてその操作の違いによって反応が明らかに変わる。

よくイタリアンバイクは走ると疲れるけれどもその疲労が心地よいとか、疲れるがまた乗りたくなるとか聞くが、そういうところに違いがあるのかもしれない。



僕の購入候補にはこのV7の他にW800も入っていたのだが、W800はさまざまなバイク雑誌で共通して言われていたのが、のんびり走ることやツーリングには向いているが、コーナリング、特にコーナリング中にアクセルを開けたときのトラクション旋回があまり得意ではないということだった。
『バイカーズステーション』では、コーナリングもかなりよいとしながらも、トライアンフのボンネビルと比較試乗してボンネビルに惨敗していた。 
『ライダースクラブ』では、空冷ツインのエンジンを作る心意気に感動しながらも、コーナリングのトラクションに不満を感じて、スイングアームのピボットを上げたら云々と根本氏と竹田津氏が対話していたりしていた。

もう速く走ることをしない僕だが、コーナリングには愉しみを持っていたい。
それは通過速度を上げていくということではなく、オンロードバイクならではの繊細なコーナリングそのものを楽しんで乗りたい気持ちがまだ捨てきれないのだ。
かつ、僕はツーリングライダーだし、ダート道へも踏み込んでいくので、純粋なスプリンターは僕に合わない。
そんなこんなでV7になったのだった。

さて、コーナリング時のエンジンの表情だが、先に述べた力がリニアに出るということ、開け閉めに対するレスポンスがいいことなどから、コーナリングは非常に楽しい。

例えば細いタイヤと縦置きツインエンジンで軽い車体という、左右に傾けるときに抵抗の少ない特性を生かせば、直進からバンクした状態までは軽く、スパッと寝かすことができる。そのとき、バイクだけを力でえいやっと傾けるのではなく、身体ごと、バイクと一緒に内側へ倒れ込むようにすれば、コーナリングの初期から大きく向きを変えることができる。
この傾きをアクセルを開けることで止め、そのまま旋回に入っていくことが可能だ。

また、普通にコーナリングしていて、カーブの後半でアクセル開度を徐々に開けて行くときでも、その開け方に比例して力強く路面を蹴る感じが伝わってくるので、飛ばさなくてもコーナリングに安心感と充実感がある。

むしろ、フレーム剛性も低いこのバイクは、高速で突っ込んでクリッピングまでブレーキを残しながらフロントに仕事をさせ、クリッピング付近でぐりっと回ってアクセルを開けて強烈に旋回しながら立ち上がっていく…という現代的なコーナリグには向かない。

昔ながらのカーブ手前でしっかり減速し、バイクを傾ける時が一番遅い時で、後は開け開けでコーナーをいかに加速しながら気持ちよく脱出していくかを味わう、スローイン、ファーストアウトが原則のマシンだ。
その時にこのエンジンの使い切れるパワーや、リニアな力の出方がとても楽しいのだ。
バイクを右手で操ることの楽しさを味わわせてくれる。

コーナーに関しては、『バイカーズステーション』誌の試乗でかなり速いと報告されている。
僕の実感としても、中速コーナーまでなら十分に速いと感じた。

ただ、速度が三桁を超え、立ち上がりではたちまち200km/hに迫ろうかというようなサーキット走行としては、アンダーパワーに感じることだろう。
また、バイクの馬力による到達速度や、高速道路での度胸試しのようなぶっとぶ速さを「武器」として持ちたい層は、初めからこのバイクを相手にしないだろうが、買ったとしても満足できないだろう。

ハンドリングやコーナリングに関しては、今後も「V7ライディング」のラベルの記事の中で、いろいろとレポートしていく予定だ。


今回のツーリングでは、暑い気温の熱いアスファルト上での走行あり、それほどでない通常の気温での走行もあり、直線路あり、ワインディングあり、ダートあり、雨あり、高速道路ありと、さまざまな状況下でゆきかぜを走らせることができた。

走行2500kmを越えて、2回のパンクと、なぜか最初にスイッチを入れたときにニュートラルランプが点かない他にはトラブルはない。
オイルの沁み、漏れもどこからも発生しない。エンジンも今のところ好調。
ブレーキも好調。塗装の剥がれや、上記以外の電装系のトラブルも発生していない。
イタリア車は壊れると昔はよく言われたものだが、「トラブルフリー化」は年々進み、だいぶ問題ないレベルまで来ているのではないか、…とは、これも誰かが言っていたことだ。
スイングアームの裏側や、プラスチック製のフェンダーの裏側にある配線の処理なんかをみると、「雨が多く降ってそれでも泥はねしながら乗る国の人間のことなんて考えてないだろう」なんて言いたくなる場合もあるのだが、どう乗り、どう付き合っていくかは、ライダー次第だから、そうした突っ込みどころとも付き合っていけばいいのだと思う。

2013年8月17日

2013お盆走3


国道241号を上士幌から足寄方面へ。
ここは国道を行った。
途中、足寄の道の駅に立ち寄った。
品川ナンバーのモトグッチ1100SPORTの方と少し話した。
「珍しいバイクを見かけたので…」と声を掛けてきてくださったのだが、モトグッチって、そんなにマイナーなのか。
5年乗り続けているとおっしゃるスポルトはいい感じにこなれて旅仕様で、今回は雨にも降られず、今日は阿寒から厚岸方向へ行くとおっしゃっていた。

道の駅からそのまま国道を足寄市街へ、そのまま国道141号を阿寒湖方面へ抜けて行った。
そろそろ、持病の肩凝りが来ている。
僕はバイクに乗らない時でも肩凝りが激しい。
頭がでかくて首が細いせいだとか、筋肉が足りないとかいろいろ言われるが、とにかく凝る。
バイクの運転は肩凝りには悪いことだらけなので、長時間走る時には注意が必要なのだ。

(バイクツーリング時の肩凝りの原因・傾向と対策については、前のブログに書いたので、よろしければ参考までにご覧ください。)
 ツーリングの流儀3 肩凝  
 ツーリングの流儀4 肩凝(続)   
  ツーリングの流儀5 肩凝(続々)
  ツーリングの流儀6 肩凝(結)

できれば、50分走ったら10分停まる、を、繰り返す。これが僕の場合、肩が凝らないペース。
今日も暑い日だが走行風を首に直接当てないようにネッカチーフをまいている。

休憩を多めに摂ってきたのも肩凝りを予防するためだったが、もう凝り始めている…、というよりもはじめからガチガチに凝った状態で走り出しているのだ。
仕事のストレスやデスクワーク、姿勢、交通事故の後遺症etc…。
付き合っていくしかない肩凝りだが、凝ってるを通り越して激しい痛みになってくると厳しい。
猛烈に痛くなってしまってからでは、ちょっとやそっとのことでは痛みは解消しない。
ややしても、走り出すとまたすぐにその痛みが来るのだ。
だから、肩の痛みが来だしたら、ライディングのリズムが崩れても早めに停まって休憩した方がいい。

停まったら水分と糖分(エネルギー)を補給して、少し体操もしたい…。

と思いながら走るのだが、この国道241は足寄を過ぎると、なかなかそういう場所がないのだ。
一度、上足寄のコープを見かけたが、あまりに多くの自動車が入り込んでいたので通過してしまった。

そうなるともう店はないし自動販売機もない。
そろそろ停まりたいのだが、きっかけがないままにだらだらと走ってしまった。

阿寒湖の手前、国道240号とのT字路を左に。
阿寒湖とは反対側、北見方向へ曲がる。

すぐに日蔭の路肩が広い部分を見つけて停車。
何もないところだが、肩を回し、全身を軽くほぐす。
尻にも少しの痛みが来ていた。

これが僕が中年太りをしてしまっていることも大きい。
若い頃よりも12kgも体重が重い。それも筋肉ではなく、贅肉だ。
だらしなく重い腹の肉は、そのままバラストとして尻にのしかかる。

でもGPZではほとんど尻は痛くならなかった。
それは、ステップに掛けた足で、路面の継ぎ目とか、うねりとか、そういう時にちょっとシートにかかる体重を減らして、ショックを軽減していたからだ。もちろん、GPZ1100のシートの優秀さもある。
しかし、V7のシートも非常によい。
V7はステップ位置が前にあり、このシート荷重をすっと抜くというのがやりにくいのだ。
できないわけではないし、ステップに立ち上がることもできるのだが、ステップが前にあるため、そのまま力を入れると体を後ろに蹴る形(ステップを前に蹴る感じ)になってしまう。上体を伏せるか、ハンドルにつかまって引き寄せるようにしないと、シートからの抜重がやりにくい。
このことからもV7はリーンウィズでのコーナリングを前提としていることが分かるが、それはまた別の話だ。
…そう、とにかく荷重を抜きにくいために尻が痛くなりやすいのである。

ここで誤解のないように言っておきたいが、今までの走行で尻が痛くなったことはなく、V7は現行のバイクの中でも、尻の痛くなりにくい部類に入るということは言えると思う。


またまた脱線だらけだが、肩や尻なども血行を促すべく、体操をしばらくして、伸びをしたり、10分ほどほぐしてから、国道240号線を再出発した。

すぐに釧来峠を過ぎる。
北見側に下っていくと、数キロで相生(あいおい)の道の駅についた。
「道の駅 あいおい」だ。

もう11時半が近い。改めて休憩する。



11:28AM 津別町道の駅 あいおい
バイク用の駐輪スペースがない。
最初は空いていたので車用のところに停めたのだが、出る頃にはかなり混んできていた。
バイク一台で車一台分のスペースを占拠するのは心苦しい。
そそくさと退散した。


道の駅あいおいで売っている「ヒグマ焼き」
そこで食べたのが、「ヒグマ焼き」と「生ひぐま」。
これは「たいやき」の型を、立ち上がった熊の形にしたものだ。
「ヒグマ焼き」は中がつぶあんでスタンダードな「たいやき」。味はさすが北海道、かなりうまかった。
白あんを入れた「白熊焼き」もある。
もう一つ、夏限定の生ヒグマ。これは、焼いた生地を冷やしておいて、そこに冷たいつぶあんと生クリームを挟んだものだ。これがまたうまかった。

丸太で作ったベンチに座って、おいしくいただいた。




ここは国鉄時代に相生線の終着駅だった「あいおい駅」のあったところで、その駅舎と線路、一部の車両が青空展示になっている。
「あいおい鉄道公園」というのだそうだ。

ここで津別町の町役場に電話した。
これから訪ねる樹が2本、両方ともこの津別町にあるのだが、町の管理する林道を少し行かねばならない。
林道は保安上、鍵がかけられている場合があり、その場合、役場に寄って鍵を借りていく必要があるのだ。(もちろん入山が認めれればだが。)
電話で伺うと、今の期間は鍵は開いているという。ただ、鹿よけのゲートが閉まっている。
自分で開けて通り、通った後はまた忘れずに閉めてほしいとのことだった。
また、熊の生息地域なので、車を離れる際はクラクションを鳴らして、熊を遠ざけてから離れる方がいいとのアドバイスもいただいた。
とても丁寧に説明してくれた。

さて、それでは出発しよう。
道にまよいそうになりながらも、津別町の親切な看板設置のおかげで、たどり着くことができた。
樹齢1200年と言われる、双葉のミズナラに会いに行く。(つづく)

12:16PM 津別町双葉地区。林道の奥にある双葉のミズナラの看板前。木までは30m。

2013年8月16日

2013お盆走2

日勝峠を越える。
かつての難所、日勝峠は、道東高速道路が開通して、そちらに迂回できるようになったことや、とにかく何十年も改良工事を続けて、たぶん工事が一度も途切れたことがないのではないかというくらいの工事の連続の成果で、だいぶ走りやすくなった。
それでも濃霧はつきものだし、冬の吹雪によるホワイトアウトは本当に恐ろしい。
標高の高い峠は本州以南にもいくらでもあるが、この峠の難関さはいまだに1級クラスだと思う。

快適になった日勝峠を日高側から登り、峠のトンネルを出るとすぐに左にスペースがある。
これはPなどの看板が出ていないから、トンネル内で後続が来ていない時以外は入るのは危険だ。




トンネルができる前の道の跡がなんとなく見える。雲が低く垂れこめていた日高町を抜け、峠に差し掛かると晴れてきていた。
そしてトンネルを抜けて十勝側出ると、霧が出ていた。


上の写真と同じ位置から十勝側を望むと、一面の雲海だった。
雲海の上は高曇り。ところどころで雲が薄く、青空が霞んで見える。
慎重に峠を下った。
下りの低速、エンジンブレーキのみで下っていくような状況でも、V7のハンドリングは自然で切れ込みの癖などは感じない。
エンジン回転を2000rpm付近に保てば静かで穏やかな感じを。
2500rpm以上にすれば、付きのいい元気な表情を見せる。

7:47AM R274 美蔓パノラマパーク

国道274号線を清水町に下り、そのまま274号線を鹿追町方向へ。
十勝平野は峠の雲海の下にあった。
ここは美蔦(びまん)パノラマパーク。
十勝の平らな台地が広がる。日高山脈は雲の中。雲の上。

7:47AM R274 美蔓パノラマパーク
パノラマパークといっても、道の途中に駐車場がある程度。
北海道にはこういう場所が時々あるが、けっこう重宝する。誰もいないなか、休憩して少し体操。
再び出発。

鹿追町からは国道と並行して走る道を瓜幕(うりまく)の道の駅まで直進する。
脇道を使うのは、一つには交通量が少なく、車を抜いたり車に抜かれたりの面倒がないことや、直前を車にふさがれて自分のペースで走れないストレスを抱えたくないためと、「取締り」に遭遇する可能性を少しでも減らしたいため。でも、有名な抜け道はかえってレーダーパトが待ち伏せしていたりする。抜け道はみんな飛ばすので捕まりやすい。
更に一本中を通ると、取締りにも遭わず、交通量も少なく、ストレスが少ないことが多い。
田舎の景色も僕の好みだ。
ただ、時間的にはメイン道路を行った方が早い場合が多い。
優劣ではない。好みの問題だ。どっちが正しいわけでも、どっちかが優れているわけでもない。


今日のツーリングの目的は、道東にある大きな樹、3本を訪ねることだった。
そのうちの一本は、士幌町にある、「炭山御神木」と呼ばれるミズナラの樹。
Web上のいろんな記事を読み、訪ねて行ったのだが、すぐ近くまで来ていることはわかるのに、たどり着けなった。あると書かれていた案内板がなかったり、道が工事中になっていたりして、どこかで間違ったか、迷ってしまったらしい。

9:06 士幌町 林道を行き、歩道の橋の上から流れを見る。
羆(ひぐま)の生息域でもあり、あまり長居すべきでもなく、大声で歌いながらバイクを降りていろいろ探し回ったが、見つけられなかった。
また、いつか出直そう。
ゆきかぜの元に戻り、再び森を出て、次の訪問地へ急ぐ。
そろそろ気温が上がってきて、森の中でも暑さを感じた。

9:23AM 上士幌町付近
士幌高原から国道方向に下り、国道に出る前に脇道を2本ほど入る。
道道も避けて町道を行く。
交通量は皆無にちかく、田園風景の中を快走できる。
もちろん、農作業車には注意が必要。
あんまり交通量が少なくて、誰もいない状況に慣れ切ってしまい、並木などで見通しの利かない交差点に減速せずに進入、たまたま来ていた車に出会いがしらに衝突、死亡…というのが十勝型交通事故。件数は少ないが重大事故になることが多いのが特徴だ。
気を付けて走行する。

9:33 上士幌町 道道337

道道337号線に出て、上士幌市街方向に向かうと、こんな景色にも出会う。
十勝平野はずっと平らで、ずっと広い。
通る度に思い知ることになる。

上士幌町から国道241を足寄に抜けていく。

9:48 R241 上士幌町
このあたりが十勝平野の北の端っこ近くである。
丘の風景が見られ、畑に作物が成長している。
国道は車列ができている。流れているけれども、ちょっと停まって写真を撮って、車列と距離を取る。
深呼吸して、また走り出そう。今日は阿寒湖から北上していくんだ。(つづく)

2013年8月15日

2013お盆走1

8月14日。3:30AM.
目覚ましをセットした時間に、目覚ましより早く目が覚めた。
今日は、久しぶりの、今シーズンは初めての丸一日のツーリング。
昨夜のうちに用意しておいた荷物をもう一度確認し、身づくろいをして、玄関を出る。
「ゆきかぜ」に跨り、ギアをニュートラルのままにして、早朝の誰もいない坂道を惰性で下りながら、
頃合いを見てセルを回す。雪風のエンジンは、数秒のクランキングののちに目覚める。
速度を合わせ、2速にシフトしてからクラッチをつなぐ。
ショックのないままエンジンと後輪がつながる。
そのまま、ゆっくりと坂道を下っていく。
モトグッチV7スペシャル、我が家のゆきかぜ号は、少しの暖気運転が必要だ。
すでに真っ暗ではない。朝は来ているが、まだ日の出前の感じ。夜の気配が濃い。

4:20AM。札幌市厚別区の24H営業のガソリンスタンドで給油する。前回給油時から100.1kmの走行。いつもタンク内の給油用ガイドの端までしか入れていなかったが、今日はもう少し入れる。
いつもよりも多く入れたので、5.22ℓ入った。計算上の燃費は19.17km/l。
しかし、いつもよりも1ℓ程度多く入れているので、特に燃費が悪いわけではない。
夜の気配は次第に抜けて、朝になっていく。

4:56Am.長沼町、国道274号線沿いの道の駅「マオイの丘」到着。
たくさんの車が駐車していた。車中泊で旅行する人も増えているらしい。
キャンピングカーも何台か見かけた。


すっかり朝になった午前5時。ゆきかぜには初めてタンクバッグを装着。
磁石式のタンクバッグはいずれタンクに擦り傷がたくさんつくことになろうが、
僕のツーリングでタンクバッグはなくてはならない存在。
バッグ上面のマップケースは、脇道をよく利用し、かつスマートフォンを持たない(ナビのない)僕には、非常に便利。信号待ちで道を確認したり、道の左端に停車して確認したりするときも、ザックに入れておいた地図を出して読むのとは手間が違う。しかも、けっこう頻繁に見るから、欠かせない装備なのだ。
ちなみにこの駐輪場のマーク、自転車だが、バイク用でいいのだろうか…。
自転車をここに停めているのを見たことがないが…。


5:11AM.R274、三和町付近。
気温は22℃くらい。(V7のメーターに表示される外気温計による。)
今日の天気予報は、北海道は曇りで、日本海側で午後雨。降水確率は50%程度だ。
山が霞んで美しかった。

国道274は石勝樹海ロードとも呼ばれる。
石狩と十勝を結ぶから石勝(せきしょう)で、元々道のなかったところに25年くらい前に作り上げた道だ。
それまでは十勝に行くときは富良野方向から狩勝峠(石狩十勝だから)を越えるか、いったん日本海側に出て、それから沙流川をさかのぼって日高町から日勝(にっしょう)峠を越えていた。
最短で札幌と日高を結ぶ国道は、道東と道央を結ぶ大動脈だ。今では道東高速道路ができて高速代を払えるなら、だいぶ快適で楽になった。

6:26Am 日高町道の駅。
 樹海ロードを車の流れに沿って走って日高の道の駅に着いた。
樹海ロードはアップダウンと中速、高速コーナの多い道。
混む時には結構混む。流れは速めで、順法走行するとたちまち前はがら空きになり、後ろに長い車列ができる。長くて急な上り坂には登坂車線があり、速い車を先に行かせることができるが、それ以外は時おりPが現れるものの、自分がふんづまりの先頭であることに不感症な厚顔ドライバーか、俺は法律を守っているという確信犯以外は、法定速度で走ることには結構疲れる道だ。
今日は時間が早いこともあり、道はまあまあ空いていたが、大型、中型トラックは多かった。
高速代も馬鹿にならないのだ。

トラックの直後は視界が遮られるので、できれば走りたくない。
車間を広く開けるか、後ろから来た乗用車に道を譲って2台くらい間に入れた方が安心できる。
またはPが現れるのを待って止まってしまうのも手だ。
どうせ延々自分のペースでなく走らされるのなら。
5分休んで体操したりして、それからまた走った方が安全だし精神的にも疲れない。
しかも、10km先には5分の差は1分以内になっていることが多い。


道の駅ではおにぎりと缶コーヒーを食した。
今日の装備は、タンクバッグの中にレインウェア、地図、防寒具、手帳。
デイバッグの中にカメラ、タオルだ。

さて日勝越えである。十勝を目指して出発しよう。

6:49 R274 日高町。
日高の道の駅を出て、沙流川を遡る。
今から越えていく日高の山並みが遠く見える。
空は東の方が明るい感じだ。しかし、峠には霧がかかっていそうだった。
さあ、長い一日になる。今日は走ろう。(つづく)

2013年8月10日

1650km・オイル交換

土曜日の今日は朝から昼過ぎまで仕事だった。
午後、少し走って、それからオイル交換にズームさんへ行った。

IPONEはフランスのオイルメーカー。
札幌のズームさんが日本の総代理店だ。
前回、約500km走行時に入れたオイルはIPONEM4。馴らし用のオイルで、交換インターバルは1600km。2100km走行時に交換の予定だったが、そのころにちょうどお盆に入るので、早めだが今日、交換してもらうことにした。
今回は、ミッションオイル、ファイナルギヤオイルは交換しない。
エンジンオイルのみの交換だ。
ズームさんがオイルを交換してくれる。
磁石付きのドレンボルトには鉄粉などの付着はなし。
出てきたオイルもそんなに汚れていなかった。
高回転域までまだ回していないからか。
500km交換時には結構汚れていたものだったが、きれいなものだった。
オイルフィルターも交換する。

新しいオイルは、今回もM4。あと1600km。馴らしを続ける。
次回、約3300kmでの交換時からは、ライフの長い本来のIPONEを入れる。

クラッチケーブルの調整も見てもらった。
やはりクラッチワイヤーのアウターとクラッチレバーの基部のとの「かかり」が短すぎるので、これは嵌合部を長くした方が安全とのこと。
今日は再びミートポイントが近くなるが、先日と逆の手順で嵌合部少し長く取るように調整した。
次回に改めて調整することにした。


帰り道、オイル交換で走りが変わるのか?…と期待していたのだが、若干振動がガサガサせずに上品になったかな?…程度。ミッションオイルもファイナルオイルも換えず、エンジンオイルを1150kmインターバルで換えただけだから、変化が少ないほど劣化速度が遅いということになろう。

さてここから馴らしは第3段階。
いよいよ高回転、高負荷の域に徐々に回していくわけだが、これは場所も時間も選ぶので、そう簡単にはいかない。

お盆の間になんとかしたいものだ。



今日の午後。
ズームさんに行く前にちょっとはしったのだが、そこでねむの木を見つけた。
ねむの木は、先日行った長崎でもきれいに咲いていた。
以前住んでいた広島でも、山中によく見かけた木だ。

暑いところから寒いところまで、順応性が高い木らしい。

華やかなピンクの花を見ていると、広島を思い出す。
僕にとっては南国の花のイメージを持つ木だ。



この樹は果樹園の入り口近くにあった。
「北海道で?」というノボリが並び、本州以南のものと思われる果樹を栽培している果樹園のようだから、もしかしたらこのねむの木も、北海道ではまれなのかもしれないが。

夏らしい一日の北海道石狩地方だった。

2013年8月9日

V7ライディング(0)

V7の走行距離は現在1570km。
馴らしも第2段階が終わり、後は高回転域まで回すのを残すのみ。
(なんて、勝手に言ってるだけで、本当のところはもう少しかかると思うが、2000kmとオイル交換をひとつ区切りにしたいと思う。)

少しずつだが体も慣れてきた。
エンジンは滑らかに元気になり、力強さを感じるようになり、
サスペンションはバタバタした固さも、これは慣れたせいも大きいと思うが、ずいぶん角が取れてきた感じだ。
ブレーキもかなりこなれてきて、リニアな制動量は扱いやすく、1枚ディスクのフロントも今は制動力不足を感じないし、リヤはとても使いやすい。
ポジションにも慣れてきた。
スリムな下半身。ステップ幅も狭く、内膝の部分に当たるタンクの幅も狭い。
ステップは思いのほか、前で高い所にある。
前後タイヤのエッジまで接地させても、ステップもサイドスタンドも、タイヤ以外のどこも接地しない。まだどこかが接地するまで傾けていないが、バンク角は日常使いには十分深いのだ。



さて、あまり自覚していなかったのだが、モトグッチ自体が日本ではマイナーなメーカーで、V7シリーズは、僕も買うぐらいだからそこそこ売れているとはいえ、まだ台数的には少数派らしい。

モトグッチの耐久性やランニングコスト、または伝説的とも言えるその乗り味の実際のところなどは、バイク雑誌などに加え、最近ではブログなどでもいろいろと読むことができる。
日本ブログ村のモトグッツィのページなどからアクセスできる。)

僕自身はモトグッチというメーカーにそれほどのこだわりはなく、できれば国産の方が維持などの面でもいいなあと思っていた程度だ。
だから「グッツィ乗り」のカテゴリーには、僕は入らないと思う。

僕はモトグッツィの歴史や、頑なにレイアウトを変えない空冷縦置き90度V型エンジン+シャフトドライブに興味はあるけれども、それの信奉者ではない。

何人かの人が僕がGPZの後継にV7を候補の一つに考えていると言ったら、「スモールブロックのエンジンは個性が薄くて面白くない。乗るならV12スポルトなどの大きい方が味わい深い」と、大きいのを薦めてくれた。
しかし、僕は別に「すごいの」に乗りたいわけでもないし、レアなマシンに乗りたいわけでもなかったのだ。

GPZよりも車体が小さく軽く、さっと跨って走り出せる気にさせてくれ、非現実的な最高速はいらないが、中低速のワインディングロードではそこそこに走れて、オンロードバイクのコーナリングの楽しさを感じさせてくれるマシンが欲しかった。
また、デザインは昨今の後ろが跳ね上がって短いのはどうも好きになれず、カウルの目つき(ライトのデザイン処理)が悪っぽいのも、どうも持つ気になれなかった。
さらにできれば燃費が良くて、あまるいうるさくないバイクがよかった。田舎道でも散歩するように入っていける感じだ。

スーパースポーツは用途上候補から消え、
最近のツーリングスポーツは大きすぎて消えた。
ネイキッドでも斬新なデザインは気後れして消え、
ハンドリングとコーナリングで僕の要求に応えてくれなさそうなものも消えた。
クルーザーもまだ趣味じゃない。
オンロードバイクの繊細なコーナリグが好きだから、モタード的なものは消える。
後は予算ができれば本体価格100万円以内。
そして新車。
以前の僕なら、3日で3000km走れて翌日の仕事に差し支えないもの、と言ったろうが、
今は、3日で2000kmでいい。
でも、ワンタンクで300kmは走りたい。
そしてゆっくりも走りたい。
家の前の坂はかなりの急坂。そこをぶん回さず、トルクで上がってきたい。

…書き出してみると、すごくわがままなわけだが、新しいモトグッチのV7シリーズ、(V7ストーン、V7スペシャル)はその条件を平均して満たしていた…と言うわけだった。

僕は別に主義にしているわけではないが、今まで買ったバイクはどれも現車を見ずに注文している。
今回もそうなってしまったわけだが、今回も、熱烈歓迎!!ではないものの、じんわりじっくり付き合って行けそうなそんな感じが徐々にしてきて、なんだか安心しているのだ。

さてさて。
僕のV7スペシャルは2012年の秋に日本に来た便の奴だ。
今年のカラーリングモデルは、またカラーリングだけじゃなくてどこか改善されているかもしれないが(ヨーロッパ車にはよくあることらしい)、乗ってみると、今までも書いてきたとおり、GPZ1100とは走らせた感じが違う。
もちろん、基本は大型エンジンのオートバイということで、そう変わらない。
多分どちらも、大型二輪免許を持っていれば、問題なく操れると思う。
ただ、GPZはその車重と取り回し時のとんでもない体感的重さがネックになるだろう。
V7はもともとブレバ750がベースで、それはベーシックなMC、女性やビギナーをターゲットにした乗りやすく、扱いやすいモトグッチだから、特別な技や熟達は必要としていない。
よく言われる縦置きシャフトと大きなクランクマスからくるトルクリアクション、エンジンを回すと車体が右に傾こうとする(つまり右コーナーで開けるとバンク角が増し、左コーナで開けると車体が起きてしまう…)なんてことは、走ってさえいれば全く感じない。停止状態で空ぶかしすると、ブルンと体を揺すぶるが。
つまり、特に構えることなく、誰にでも乗れる。

そういう素直さというか、とっつきの良さがあるのがV7シリーズだ。

で、コーナリングだが、これが面白い。
また、シフトダウン時などには、一般的なチェーン車とはちょっと違った気遣いなども必要みたいだ。

さらに、幅の狭いバイアスタイヤの使い方など、意識していくと、V7のライディングは、なかなか奥が深そうなのである。

僕も気づけばバイク歴も30年に届こうかとしているが、特別に速いわけでも、特別に上手いわけでもなく、驕りの誹りを恐れずに言えば、腕前は中の上、または上の下端、といったところだと思う。

一般的なツーリングライダーだ。
ただ、ライディングにはちょっとオタク的に興味があるというだけだ。

それでもV7の走りと走らせ方にはとても興味が湧いていて、毎回、走る度に非常に面白い。
この「V7ライディング」のラべルの記事では、僕なりに自分のV7スペシャルを走らせながら、V7の走らせ方、V7の走りの性能や癖(個性)などを、書いて行きたいと思う。

今日は前口上のみになってしまった。
次回から、ちびちびと書いて行きたい。


V7ライディングのタブ(ラベル)の記事は以下にもあります。

V7エンジン性能と最高速 

V7のコーナリングとバンク角(乗らずに考察)

V7のブレーキ性能

浅いバンク角

深いバンク角

リヤサス プリロード調整

V7ライディング(街乗り)

V7、身長別乗車姿勢

V7、雨の日の走り

空と雲と風と(2)  ワインディングでの走行

空と雲と風と(3)  ハイスピードで走行すると。
















2013年8月8日

50km.

今日は8月8日。
仕事の波も小康状態だったので、一日休暇を取った。
しかし、ずっと続いた多忙状態の疲労が蓄積して、体がだるく、気力が全然でない。
半日を寝て過ごしてしまった。
遅い午後にゆるゆると起きてきて、せめてバイクで走ろうと思った。
身体がきつく、集中力が持たないので、長時間は乗れない。
せいぜい往復50kmが今日は限度を思われた。

その前に、前回乗ってちょっと気になった点を調整しておこう。


クラッチレバーの角度を再度調整する。
このレバーの基部は2本のボルトで留めているのだが、それの径が8mmだ。
車載工具にはこのサイズも入っていない。メーカとしてはいじるなということか。


以前、出荷状態からレバーを上げる方向で調整したのだが、まだ若干低い。
ミート位置を遠目にしたことも関係しているかもしれないが、もう少しだけ高いのが僕の好みだ。


…で、上げたのだが、写真ではほとんど違いがわからない…。黄色いパッシングスイッチとレバー基部との位置関係に注意すると、下の写真の方が若干上がっているか…?、という程度なのだが、操作感は大差でしたがよい。長距離、長時間になると疲れに差が出てくると思うし、何よりちょっとの距離でも、クラッチがすっと切れてスパッとつながるのは気持ちいい。
また、半クラッチは乾式単盤の場合できるだけ使いたくないのだが、ゼロ発進の時はそうも言っていられず、その時の操作のしやすさが、わずかの角度で全然違うので、だからバイクは面白いのだが、ちょっとずつ、僕仕様になっていくのだ。


タイヤの空気圧も計っておく。リヤは6月1日のパンク修理依頼入れていない。もう2か月以上も放置という、怠慢すぎる状態だった。測ると、約240kpa。約2.45kgf/cm²だ。
高目の2.6kgf/cm²にしていたから、少し減ったことになる。
ちなみに指定空気圧は1人乗り時2.5kgf/cm²、二人乗り時2.6kgf/cm²だ。
タイヤにパンク修理の跡が見える。リヤはその後、何の異常もない。


タイヤのビードをリムと馴染ませるためにも最初は高目がいい。もう1500km以上走ったが、ここは高目維持で約2.6kpaにしておいた。約2.65kpaだ。


フロントは約約2.6kpa。これも高めだが、やり直したテープの圧着の意味もある。
このままいくことにする。



今にも降りそうな蒸し暑い夕方。少し走った。
V7には外気温計がついており、それでは28℃。本当に暑い地方の人には怒られそうな「涼しさ」だ。
実際、走っていれば暑さはそう感じなかった。

わずか50km。
一時間半のゆっくりライディングだが、少しリフレッシュになった。
さて、明日からまた仕事だ。
なかなか走れないが、ちょっとずつ距離を重ね、高回転域の馴らしもしたいものだ。

2013年8月5日

夕方の小散歩。

7月の31日から、8月の3日まで、仕事で長崎に行ってきた。
空港からバスでホテルへ。後は仕事場の往復、ホテルのすぐ横の食堂と、駅のレストラン街以外にはどこにも行かず、また飛行機で帰ってきた。
今日は休みを取った。
日中は妻と過ごし、夕方、少し時間が空いたので、久しぶりにV7で近所を走ってきた。

7月27日にフロントのパンク修理から帰ってきて8日目だ。
出る前に空気に抜けがないか調べる。
大丈夫だ。
ズームさんは、もう一度テープを貼り直す方向での修理をしてくれた。
ホイールの内側面を入念に磨き、何度も入念に脱脂して、シーリングテープを貼ってくれたそうだ。
V7Classicの鉄リムと違い、アルミの地肌のリムはテープの付きがよくないようで、慎重に作業してくれた。

さて、8日ぶりのライドだ。
上手く乗れるだろうか。
乗っていない間に、少しいじっていた。
一つはクラッチレバーの根本のアジャスターを少し回して、クラッチのミートポイントを少し遠目にしておいたこと。

ワイヤー式のクラッチ。レバー基部にゴムのカバー。
めくるとアジャスタ―が現れる。レバー側、大きめのロックナットを緩めて、
それからレバーから遠い側、ネジと一体になったアジャストボルトを回して
調整する。
レバーを遠くしたいのだから、ボルトが多く見えるように、ネジ部を
回す。しかし。出すぎてかかっている部分が短すぎる感じになった。
少しがたつく。これはよろしくない。クラッチ側の方で調整した方がいい。
が、素人の僕が手を出すのはちょっと怖いし、
面倒だ。オイル交換の時に調整してもらおう。
下から見上げた写真。ゴムカバーはあるものの、水の進入を防ぐために
切欠きの部分を下に向けておいた方が良い。…とはメンテ本の受け売り。
もう一つは、ミラーの角度調整だ。
でも、どっちも中途半端に作業して、うまくいっていない感じがある。

ミラー基部左側。


ミラー基部右側。それぞれネジを緩めて調整し、サイド締める。
ネジサイズは上がアーム基部21mm、下が19mm。
ミラー部のネジは17mmで、全部サイズが違う。

それでも、走り出すと、確かにミラーは前よりも見やすくなり、クラッチは扱いやすくなっていた。
クラッチはワイヤー式だ。初期伸びの分、ミートが近くなっていたのだと思う。

ミラーはレバー類を上に向けたとき、ミラーの基部ごと回転したので、鏡面だけ合わせていたのだが、少しアームを調整したのだ。

改善はされていたが、中途半端。時間があるときにしっかり直そう。



ポクポクと走っていたら、積算距離計が1500kmを指した。
あと、500kmしたらオイルを交換する。
それまでに、もう少し馴らしを続けよう。
ギヤの入りもだいぶまろやかになってきた。
エンジンの振動も少しずつ少しずつ、角が取れてきて、たぶん、今は新車時とは大差になっていると思う。(こういう記憶は錯覚も大きくてあてにならないものだけれども)
僕の身体にも、徐々に馴染んできている感じがする。



GPZに比べると、かなり小さく感じる。
ひょいと跨って出発できる感じがいい。
しかし、中間加速はなかなか侮れない。
100kmまでなら、けっこう遅くない感じがする。
最高速は試したことがないが。



こうしてみると、タイヤが丸い。久しぶりのバイアスタイヤ。そのグリップ感にも少しずつ慣れてきた。
今のところ絶対グリップ力に不足は感じない。まだ本当のフルブレーキを試していないからだと思うが、その前にライダーの方の練習が不足している。
中速までの単一コーナーの旋回速度自体は、GPZに遜色ない。
いや、うまく操ることができれば、そうとう速く抜けられるはずだ。
そのあたりの攻め方はまだまだ。リハビリと、初挑戦とを無理なくつないで、馴染んでいこう。



 夕暮れ時。
札幌市の幌見峠を通る。市街地が夕日を浴びて、ややピンクに見えた。