2017年8月6日

暁に走る(下)

日の出が近い。赤井川のカルデラ盆地の上空は、雲がかかり、地面近くにはところどころ霧がかかっている。
カルデラ盆地の中を一度南から北へ走り抜けて、一度冷水トンネルで反対側へ抜け、余市側から冷水峠の上までやってきた。
2017/8/4 4:30

かなり明るくなってきた。遠くに、雲がかかってその雲の上に頭を出している羊蹄山が見える。
気温は15℃。少しひんやりと感じる。
車が一台、峠に来ていた。
僕はカルデラ盆地の中へ、下りていく。


2017/8/4 4:36
下りていくと、小さく見えていた盆地の風景が、徐々に近づいて、その表情を見せてくれる。
赤井川のカルデラ盆地は、世界一の阿蘇や、北海道の洞爺湖のカルデラ、支笏湖のカルデラにくらべると、小さい方だ。その小ささもまた、ひとつの村が入るにはいいサイズである。

2017/8/4 4:40
朝の霧がかかり、緑を濃くした夏の表情を見せる赤井川村。
今から降りていって、カルデラの中の丘に登ってみよう。

2017/8/4 4:53
村の中心地から西へ上った、ここは西の丘(…と勝手に僕が名づけている。)の畑の中の道だ。
もう朝日が昇る。刻一刻と表情を変える、空、風景。早起き鳥の声が聞こえ始める。
風はほとんどない。
静かな朝だ。

2017/8/4 4:54
同じ場所から北がを見る。右側向こうに低く見えるところが冷水峠だ。霧がかかっている。峠を降りてくる途中、霧の中を少し走った。
左側の高い山の上に雲がかかっている。
余市側から低い雲がかかって稜線まで駆け上っている。その端っこがこちらから見えているのだ。
2017/8/4 4:54
わずか一分で風景は変わる。
日が昇った。
見えているのは中学校の尖塔。
雲が輝いている。

2017/8/4 4:55
そばにある農作業小屋に朝日が当たり始めた。
山間の雲が茜色に染まっている。

2017/8/4 4:55
同じ場所から南側を見ている。
空が朝から日中の色へと、みるみる彩りを替えていく。
上空では風が速いようだ。雲が流れていく。


2017/8/4 4:57
すっかり朝になった。
しっとりした朝の空気。
このしっとりした空気が赤井川の野菜を美味しくする。
大きな寒暖差は野菜を甘くする。

明日から2日間、赤井川の「カルデラの味覚まつり」だ。
「開拓地」である赤井川には、何百年も続く祭りはない。
でも、今、ここに暮らし、ここで農業を続けている人たちが、毎年農作物の即売会やイベントなどを設ける祭りを開いている。多くの人が札幌や余市、小樽、近隣から訪れる。
今年で36回目。36年続けているのだ。

さあ、僕は出勤時間がある。
朝に間に合うように帰らねばならない。

カルデラを後にして、393号線を帰っていく。

毛無峠を越えて、朝里の方へ降りていったところで、朝里が一面に雲に覆われていた。
国道はその雲の上に出ている。
雲海だ。
2017/8/4 5:29

この雲の下方に朝里川温泉街がある。太陽が高く登ろうとしている。

2017/8/4 5:29

一度通り過ぎて、Uターンしてきて戻って雲海を見た。
この雲も、少しの間もじっとしていない。絶えず動き、みるみる表情が変わっていく。
朝日に逆光になったゆきかぜ。
シルエットでみると、わりとメカメカしくて、りりしいのだ。

2017/8/4 5:30
雲が谷を渡っていく。
渡りながら、登りながら、でも消えていく。
もう少しすれば、この雲海も消えるだろう。


2017/8/4 5:31

朝日を「ご来光」として拝む習慣が日本人にはあった。
今では新年最初の朝日に特化している感があるが、朝日が昇る瞬間は、いつでもどこか神々しい。
もう登り切った朝日だが、それでも何かのメッセージを送ってきているかのような気さえする。

さあ、雲の中へ降りていこう。濃霧を突っ切ると、下は雲の下で、見通しは悪くないはずだ。
あっという間に、この時間も終わる。
6時ごろには霧も消え、僕は札幌市の市街地を、自宅に向かって走っているだろう。
そして7時過ぎには、もう、職場へと車を走らせている。

そういう生活が、今日も始まるのだ。

そのためにも、安全運転で、無事に帰りつかなければならない。
気を引き締めて、峠を下る。

ゆきかぜ、よろしくお願いします、よ。
(暁に走る 完)

2 件のコメント:

  1. ワタシも冷水峠(辺り)まで。そのままだと村から離れてしまうのでUターン。その後右折。「西の丘」(辺り)へ。
    もう1年前の淡い記憶です。
    しばらく村を見下ろして、東進、役場辺り。道道36号に(無事に)戻りました。

    東京に帰還してから、冷水トンネルやその上を通る峠道を知りました。次回はどちらも走りますね!

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    1. tkjさん、一年前ですね。
      道の駅で「あかりん党」もお買い上げいただき、ありがとうございました。(^^)
      ちいさくて、どうってことない村なんですが、それでも唯一の風景や、(日本中どこだってそこだけの唯一の風景なんですが)、農業で頑張っている人たちがいて、大好きな村です。
      いつか、また一緒に走りたいです。

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