2019年2月24日

旅を。(序)ひとりカラオケ。

去年、長く続いてきたバイクツーリング専門雑誌『アウトライダー』が休刊になった。
僕はこの雑誌、創刊準備号の頃から愛読してきた。一度廃刊になり、復活してまた15年以上続いてきたのだが、再び休刊となった。
もう新作を読むことはできない。バイクライフの中でも「ツーリング」に徹した内容の雑誌。その「ツーリング」の根底には「旅」があった。

僕はこの10年くらい、妙に忙しい日々が続いているのだが、特に忙しくなったのが7年前から。さらに、一昨年の父の死去から、秋田の母の様子を見るために毎月帰省する日々が始まり、心身ともに疲弊しきっている状態で、なんとか仕事の方をやりくりしようとしているのだが、そうすると仕事上でも重要な局面が襲ってくるなど、うまくタイミングを計れずにいる。しかし、今僕に倒れる権利はない。だから、無理やりでも仕事をやりくりして自分の健康を守らなければならない。
2019年に入ってからも、そんなことを考えていた。
大きなこととしては仕事の整理だ。これは非常に難しい。今、家計として収入を下げるわけには行かない事情もある。しかし、少し収入を下げてでも整理しないと、倒れてしまっては元も子もなくなるのだ。
もう一つは、心身の健康のために、必要な《OFF》を過ごすことだ。

そう思って考えてみると、すべきこととして浮かび上がってきたのは、
「うたうこと」と「旅」だった。

「うたうこと」って言っても、別に人前で歌うのではない。僕は何をするときでも、ひとりになると鼻歌を歌ってしまうタイプで、歌うことは、僕の人生の中では、バイク以上に付き合いの長いものだ。しかし、人に気を遣い、誰もいないところで、こそこそと鼻歌を歌うだけでは、自分の中にある何ものかを、どういうことか封じ込められらくなってきたようだ。

で、やってみるのが「ひとりカラオケ」という、おいおい、なんだそりゃ、なのであるが、昨日、生まれて初めてひとりカラオケをやってみて、結構「いい」のに驚いたのだった。「カラオケ」自体、もう15年ぶりだろうか。仕事の付き合いでもカラオケはなくなった。

15歳の時買ったフォークギターを今も持っている。が、夜中に大声で歌うことはできない。本当は、弦を張り直して、弾き語り(というか、弾き歌い)をやってみればいいのだろうけれども、もう少し、安直で発散的なことがしたくて、とりあえずのカラオケになったのだった。

やってみると、イライラが消え、肩凝りも少し楽になり、全身に少し汗をかいている。
いい感じ。
喉が少し嗄れてしまったのは、声の出し方を忘れていたからだ。
ひとりカラオケが思ったよりも値段が高いのに少しビビったが、毎日はできないにしても、周1、2回なら、小遣いを工面すればできるだろう。最長でも1時間。少し続けてみようと思ったのだった。

おっと、いや、本題は、「旅」の方だった。
そう、2019年のバイクライフのテーマは、「旅」。
今年は旅するように走ってみたいと、思ったのだ。

だが、アウトライダー休刊に象徴されるように、中高齢者を中心に趣味として一定の社会的認識を得られたと思われるバイクライフだが、かつてどんな「バイク」にも色濃く存在していた「旅」のニュアンスが、ここ10年?いや、5年くらいだろうか、急速に失われてきたように思えるのだ。

評論家三浦雅士は2001年に『青春の終焉』を書き、日本ではすでに「青春」と言われるものがなくなってしまったことを述べた。
確かに、「若さ」はあり、若者らしい若者は今も変わらず多くいるが、例えば1060年代や1070年代あたりの「青春」というあり方は、もう失われてしまったように思える。
同じように、今、日本にかつてのような「旅」は、もう存在しないのかもしれない。

ツーリング情報誌なら、ムックで毎年出る。バイク雑誌のツーリング情報も、ウェブサイトでのツーリング情報やノウハウも、いまやどれを読めばいいか、検索サイトに助けられても迷うほどだ。
そう、この、どの情報を見ればいいか迷う感覚は、昔、VHSのレンタルビデオ屋へ行って、アダルトビデオのパッケージをにらみながら、どれを借りればいいかに悩み続けて、やたら貴重な時間を浪費してしまったのに似ている気がする。

いや、今日は脱線が激しいな。

と、とにかく…、自分が今、「うたうこと」と同時に「旅」を求めてると気づいたとき、
日本のバイク文化の中からかつてメインストリートだった「旅」が失われていることに、ふと気づいたのだった。
いや、ちょっとした散歩も旅になる。………。それはそうだ。
では、旅とは、何だろう?
バイクの旅に僕が求めるものとは、何だろうか。
例によって時間がとれず、尻切れトンボで終わるかもしれないが、少し考えてみたくなったのだ。

孤独とさすらい。バイク旅について、考えたい。(つづく)

4 件のコメント:

  1. 本当は最新の投稿にコメントすべきかもなのですが、、、
    樹生さんの考える「旅」
    どのように表現なさるのか、楽しみにしています。

    僕自身も「バイク」「クルマ」が近年失いつつあるものを感じていて、それは『冒険』(や『ロマン』)かな?と思っていました。
    誰よりも、仲間よりも速く
    誰よりも遠くへ
    誰も行かない処へ
    誰も知らない道を
    他人とは違うマシンを
    誰もが操るのを躊躇するようなマシンを乗りこなしてみたい...etc
    そんな空気感が、溢れかえる情報やPL法(言い過ぎかな?)のおかげで、すっかり標準化されてしまった気がしてます。
    おっと、あまり喋るのはイケない^^;;
    続きを楽しみにしています!!

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    1. Hiroshi Mutoさん、こんにちは。
      コメント、ありがとうございます!

      いや、ホントにそうですね。
      「冒険」が亡くなってしまった感じがします。
      僕等の年齢と、社会的なポジションも影響しているのかもしれませんが。
      時間かかると思いますが、
      ゆっくり書いていきたいと思います。

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  2. ヘルメットの中でずーっと歌っています。
    最近になって、やしきたかじんさんの「東京」がお気に入りです。

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    1. tkjさん、こんにちは。
      あー、いいですね。

      僕もいろいろ歌っています。
      昔のフォークソングが多いですけど、
      バイクでフォークって、あまりリズムが合わなくて、
      やっぱりロックの方が合うような気がします。

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