| 2016/5/2 |
道はやがて峠を越えた。
県境の峠だった。
道は島根県に入った。
この道を下っていくと、江の川に合流する。そして、しばらく下って、少し外れたところに、めざす並木があった。
それは、小さな桜の並木だ。
もう30数年前、20代だった時分、若かった自分と、若かった元妻と、二人の遠出。
CD125に二人乗りで、ここまで来たのは、デートとしてはほとんど無謀と言うべきものであった。
しかし、妻は、たまたま本屋で見つけた写真集に乗っていたその桜を、ぜひ見たいと言ったのだった。
里の桜はもう散っていた4月も22日。山あいのその桜なら、まだ咲いているかもしれないと佐崎が言うと、妻は、お弁当を作るから連れて行ってほしいと言った。


