2013年8月31日

V7のコーナリングとバンク角(乗らずに考察)

今週末も仕事と雨。
とてもV7に乗れそうもない。

馴らしの一応の仕上げまでもう少しのところに来て、走る機会が思うように持てない。

前回のお盆走で、リミッターの効き方や最高速の目安などはだいたい分かった。
しかし、コーナリング性能やバンク角はまだ思いきり試してはいない状況だ。

タイヤをエッジ近くまで接地させても、タイヤ以外のどこも接地しない。
バンク角は、こうしたタイプのバイクとしては、かなり深い。

フロント100mm、リヤ130mmのタイヤ幅は、最近のラジアルを履くスポーツバイク(F:120,R:180~200)に比べるととても狭く、タイヤはバイアス構造。フロントは18インチ、リヤは17インチだ。

モトグッチのHPより。
モトグッチ自身のHPからV7スペシャルのライディングシーンをみてみよう。
この写真のライダーは身長・体重ともにヨーロッパクラス。
この写真を見ても、お尻とステップに乗せた足の関係から、立ち上がろうとするとお尻を後ろに押しやる方向に力がかかることが分かる。ちょっと前過ぎ、そしてちょっと高い気がする。



モトグッチのHPより。
コーナリングのシーン。前後ともサスペンションが沈んで。
ライダーはドカッと腰を下ろしたままに見える。
事実、そうやってマシンなりに曲がっても、自然なバンク、舵角の付き方できれいに円を描いて曲がっていく。
速度域が低くて、余裕のあるかーぶなら、考えなくても倒せば曲がってくれる。
そしてそんなコーナリングでも、結構楽しい。
「おおー、傾いて…。おおー、曲がってる…。」と言う感じで、バイクの状況がよくわかるというか、フィードバックできる感じなのだ。


モトグッチのHPより。
このライダー、きっと体重は85~90kg弱はあると思う。
コーナリングも後半、アクセルが開いている状況だが、感覚としてリヤ主体で曲がっていく感じがよく出ていると思う。
ライダースクラブの紙面上でもライター達が、「V7のハンドリングは古臭い」「悪い意味じゃなくて、クラシックレーサー的」「リヤ主体でむやみに突っ込みすぎないで乗る」みたいなことを話していた。


出典『バイカーズステーション』2013年5月号55pより。ライダーは「OZAWAR&D」の小澤氏。
こちらは2013年の国内試乗。OZAWAR&Dの小澤氏のライディングだ。写真の印象よりも、バンクしている感じだが、ここでもどこも接地していない。見にくいが、元の写真を見ると、最初に接地するのは左サイドの場合、サイドスタンドの足を掛ける部分だと思われる。
ステップにバンクセンサーが着いていないので、その接地でバンク角を計ることができないのだ。
小澤氏は若干腰をオフセットして上体は前に伏せ気味。右手を見ると、レバーに指がかかり(引いていない)、手首の角度を見てもアクセルはオフか開け始め。
つま先はびしっと前を向けるとバイクホールドがしやすい。この写真ではつま先が開いているように見えるが、それは腰をオフセットして腿から既に角度がついているため。
上の写真のイタリヤ人ライダーと比べると、上のライダーは外側の太もも全体がタンクをホールドしているが、腰をずらした小澤氏は、シートから斜めになった太ももは、タンクの角に「線」で当たっている。それでも、シート面にしっかり荷重を掛け、ステップと、角に当たっている腿とでしっかりホールドしている。
一部だけ見てフォームを真似しても、ちぐはぐなことになってしまうことも多いので、注意が必要だ。



ライダースクラブに執筆する伊丹氏のブログより。
こちらは伊丹氏のライディング。伊丹氏はマン島レースや鈴鹿8時間耐久レースにも参加する現役のレーシングライダーであり、バイク雑誌に寄稿するライターでもある。
クラシックカフェにカスタムを施している。
ベビーフェイス製のバックステップが下半身のホールド性をかなり向上させているようだ。
リヤ荷重で乗る、スピード感にあふれる一枚だ。
 
goo自動車&バイク モトグッチV7クラシック試乗レポート フォトギャラリーより。
こちらは何度も登場している、和歌山和俊氏のクラシックのライド。
この写真からも、最初に接地するのがサイドスタンドだろうと予測できる。
ブレーキレバーから指が離れ、アクセルを開け始めたくらいだろうか。
前後ともサスペンションがしっかり沈んでいる。コーナリング荷重が大きいのだろう。
上の伊丹氏ともども、腰をやや引き気味に、左右には殆どオフセットせず、リーンウィズで乗っている。

goo自動車&バイク モトグッチV7クラシック試乗レポート フォトギャラリーより。

浅いバンク角でも、和歌山氏の走りは美しい。
ライディング写真の美しさでは、日本の圧勝か。

V7スペシャルはとてもきれいなバイク。
だからきれいに乗りたいものだ。
姿勢も、運転も、きれいになるように、心掛けたいと思う。

ホントはヘルメットやウェアも、伊丹氏のようにさりげなくも美しい、そういうもので走ればいいのだが、それにはセンスとお金が必要で、どちらも不足している僕には、なかなか厳しいのだった。

通勤に使わないために、毎日触れることができていない。
だから、いきなりコーナリングテストできるほど、乗りきれていないのが僕の状態だ。
走れる機会を見つけたら、徐々にウォーミングアップをして、十分に馴らしてからコーナリングテストをしてみたい。

2013年8月28日

タイトル、「風のV7」とは。

 


「goo自動車&バイク モトグッチV7クラシック試乗レポート フォトギャラリー」より。

本ブログのタイトル、「風のV7」
実はこの春まで乗っていた、GPZ1100と廻った北海道のことを綴ったブログ、「聖地巡礼―バイクライディングin北海道―」の中に書いた、小説(?)のようなものから取ったタイトルです。

以前のブログから引き続きご覧くださっている方にはもういまさらな感じですが、このブログネーミングのルーツ、よろしければ、ご覧ください。


 プロローグ 「函崎さんからの手紙」

    風のV7(1)
    風のV7(2)
    風のV7(3)
    風のV7(4)
    風のV7(5)
    風のV7(6)
    風のV7(7上)
    風のV7(7下)

エピローグ 「樹生、やりこめられる」


同上

2013年8月27日

秋来ぬと

8月25日、日曜日。
天気予報では降水確率50%。
朝だけ、ちょっと走ることにした。
久しぶりに支笏湖まで。





雲はもう、秋の雲。
空はもう、秋の空。
風はもう、秋の風。




雨雲がみるみる広がってくる。早々に退散した。
途中、ちょっと降られた。
でも、また晴れに。…と、思うと、雲の下。
めまぐるしい天気の変化。

お気に入りの、森の中の小さな道を通る。
これは舗装路。鳥の声も聞こえる。




いつもの簾舞の道に、ちょっとだけ寄り道。
田んぼを見てみたら、出穂していた。もう頭を垂れ始めている。




空は秋の表情に。
家に帰ったら、一時もしないうちに、激しい雨になった。

2013年8月26日

8月24日、夕立。


先週末は、休みが取れました。
土曜日は雨。
前日は夜も会議。遅くに帰宅して、頭痛も激しく、ダウン状態。
昼からは布団に入って寝てしまいました。
激しい雨の音で目が覚め、外を見ると、夕立が。



夏の間に熱を帯びたアスファルトを、雨が叩いて、冷やしていく。



玄関脇に咲いた、これはアジサイの仲間。
地元の札幌軟石を敷いた狭い庭も雨に打たれて。


濡れそぼるヤマボウシの枝と葉。
我が家のヤマボウシは白の原種。
買ってきたのは7年前、車に積めた苗木だったが、大きくなった。


30分もしないうちに夕立は止んで。
去年、今年と大きく伸びたナツツバキの枝の先に、秋の色した青空が広がっていた。

2013年8月25日

2013お盆走8洗車


8月15日。今日も休みを確保できたのだが、さすがに今までの疲れに昨日の17時間のツーリングが効いて、走れる状態ではない。
ゆきかぜ号を洗車することにした。






 ヘッドライト。途中で何度か拭いたためか、虫の死骸の付き方は、夏の夜に走ったことを考えると少ない。



左シリンダーヘッド。カバーには接地痕が付いている。静止状態からまっすぐゆっくりとやわらかい土と細かい砂利の上に倒れたのが、幸いしていると思う。
改めて、自分の未熟さを思う。転ぶ度に、同じパターンでの点灯は二度としないと思い、現にそうしてきているが、毎回別のパターンで転ぶという…。反省だ。もう倒すな。




 タンクには草の切れ端、虫の死骸、飛び散った雨粒、林道で巻き上げた泥、埃。
ワックス掛けしていたのが少しは効果あったのか、そんなにひどいひっかき傷はない。



 
リヤのスイングアームの裏側。地面側から見上げて撮影。
思ったよりも汚れていない。
ここらへんのボルトは、放っておくとどんどん錆びてくるんだろうな…。
シフトのリンケージ、ピロボールとシャフトでペダルの動きを伝えるが、理想的な角度とは言えない。ここもグリスアップが定期的に必要だろうな…。




スイングアーム上側には昨日の土埃や、雨の埃、濡れたアスファルトを走行した時の撥ね汚れなどが飛んでいる。チェーンがないので、ベタベタした汚れが少ない。


クランクケースの前端は、前輪が跳ね上げた汚れが盛大にこびりついている。跳ね上げられた泥や油がエンジンの熱で瞬く間に乾いてこびりつく。

さて、洗車はいつもと同様。
園芸用のホースで全体によく水を掛けて汚れを浮かせた後、掛ける個所と方向に注意して、ノズルをジェット(^^;)に。汚れを弾き飛ばす。今回はやわらかい洗車用のブラシも、エンジンには使った。

フェンダーの内側もよく掛けて洗う。
配線には注意だ。

ホイールはズームさんの作業時に磨いてくれたマザースの「マグ&アルミポリッシュ」が効いているのか、水を掛けただけでどんどんきれいになる。こびりついたかと見えた汚れも、軽くブラシをかけるとさっと落ちた。




よく流してから、ふき取り。
ふき取りで砂をじゃりっとしないように気をつけながら。

今回はタンク、サイドカバー、フェンダーにワックス掛け。
エンジンには耐熱ワックスをスプレー。
他は拭き上げたのみ。



だいたいこんな感じになった。
マフラーの遮熱板(?)の傷は、今回のものではなく、日常使いの中でのこすり傷だ。
磨けば消えると思うが、今日はそこまで磨かなかった。


タンクは無傷だった。エンジンヘッドカバーの傷は、今は掃除しただけ。

昨日のことを詫びつつ、洗車した。

後日給油すると、満タン計算で、751.9km走って、消費燃料は、28.51ℓ。
燃費は、26.37km/ℓだった。
総走行距離は2514km。

2500kmを越え、慣らし運転もそろそろ終わりが近づいてきた。

2013年8月24日

2013お盆走7帰り道


最上のミズナラを見た後は、道道27号線を走って北見市に抜ける。
帰り道。
既に午後2時は大きく回っていて、日没までに帰るのは絶望的。
暑い。おまけに肩凝りも来ていて、つらい時間帯に入っていく。

15:00 北見市 コンビニエンスストアにて。
 いろんな近道や脇道も考えたが、トイレに行きたいのと、水分とカロリーを補給したいのとで、国道40号へ出て西へ。相内(あいのない)でコンビニにより、カロリーメイトとスニッカーズと、飲むヨーグルトを買って食べた。
お盆の中日ではあるが、国道はそれなりに混んでいる。
車列に従って留辺蘂から石北峠を目指す。
北見富士が遠くかすんできれいに見えたが、停まれないままに走った。
こういうところに疲れが現れる。疲れていない時は、ぱっと停まって一枚撮って、また走り出すものだが。

気持を切り替えて、メリハリをつけつつ、安全運転で。と自分にカツを入れながら、走った。

石北峠を越えたころには、また肩凝りがつらくなっていた。
1時間持たないとは。
やはり日頃の仕事の疲労蓄積が、こういうところで現れる。
石狩川の上流にかかる大きなダム、大雪ダムの管理事務所に逃げ込んだ。
疲れを取り、水分を取り、体操をして頭、首、肩、背中をほぐしたい。

16:12 大雪湖。 大雪ダム管理事務所にて。
管理事務所の中に飲み物の自動販売機があった。
甘い缶コーヒーを飲んで、身体をほぐして、少し休憩する。

ゆっくり行こう。
自分に言い聞かせる。




16:37 R39 層雲峡 
道はすぐに層雲峡を通る。柱状節理の断崖絶壁が続く温泉景勝地。
僕は今まで、この近辺を通るといつも眠くなるのだった。その眠気に危険を感じるほどに。
いつも早朝に出発して、割と走りづめで、このあたりを走る時はたいてい昼過ぎから夕方で、疲れも来るころであり、同時に片道一車線の国道は脇道、抜け道もなく、いつも混んでいて、車列の中での走行を強いられる…そんなせいだと思うのだが。
今回も警戒して走ったのだが、まったく眠気は来なかった。
直前の大雪で休憩したのが効いていたのだろう。今まではたいてい峠の前から走り詰めで、休憩スポットらしきものもあまりないから、そのまま通過しようとしてしまっていたのだ。
やはり齢をとってくると、適当な休憩は必要だ。

石北本線や国道273の通る筋と合流する上川を過ぎると、前方、旭川方向の空が重苦しい灰色におおわれていた。
天気予報では、旭川は午後、一時的に雷雨である。
愛山(あいざん)から旭川紋別自動車道に乗ることにした。この区間は無料区間なのだ。

そうとう雲行きが怪しくなる中、高速道に入って2kmくらい走ったところで、ぽつ、ぽつと来たと思ったいきなり本降りになった。積乱雲の下だからこういう降り方である。
高速道路は路肩に車を止めてもいけないのだが、幸い、路肩が広くなっている部分がすぐにあったので、そこに止め、そこから法面の草の斜面を上がってそこで上下の雨合羽を着た。
来ている最中にパトカーが通過していったが、これではやむを得ないと思ったのか、注意もなし。
しかし、降られることは十分に予想できたのだから、高速に入る前に着ておくべきである。

カメラはケースごとポリ袋に入れたので、写真はなしだ。

雨の高速。比布(ぴっぷ)インターまで一気に走った。
比布で降りると、雨は止んでいた。その後、家まで一度も降られず。

高速道路だけの雨天走行の感想になるが、V7Special、雨天でも特に問題はない。あたりまえのようだが、そこはイタリア車。一度経験してみないと、電気がリークして火花が飛ばなくなるのではないか、インジェクションに不具合が出るのでは…など、あらぬ不安は僕とてあったのだ。
スポーツデーモンも雨天走行は初だが、まだ2000km走行だから溝はたっぷり残っている状態で、当然ともいえるのだが、非常に良好なグリップ感を得ることができた。
しかし、高速道では轍の水たまりは最大級に注意が必要だ。ハイドロプレーン現象は、タイヤがいくら高性能でも、いずれ起きるし、水深が深く数センチになる場合もあるかもしれず、その時は走行抵抗も大きく、ハンドルが強い力で振られることもある。ハイドロを起こしかけている状態でハンドルが左右に振られると、間違いなく転倒して深刻な事故になる。
轍は避けて走るのが雨天時の高速道の鉄則だ。
またやむを得ず轍を走行することになり、ハンドルが振られたら、この時ばかりは2輪車の運転原則を全て忘れ、渾身の力でハンドルを直進に保持する。加速も減速せず、車体を垂直、ハンドル直進に保って、その水たまりを通過するのだ。

幸い、今回はそんな轍もなく、安全に走っていけた。

17:48 鷹栖町付近
比布で高速を降り、一般道を帰っていく。
もう、気持ちとしてはツーリングは終了している。夕方だし、雨にも打たれ、肩凝りは来ているし、疲れてもいる。
本当に体調が悪かったり、時間がない時には、僕も迷わず高速を使う。
でも、この日は降りた。
高速に乗ると、バイクで3200円。僕はETCを持たない。ETCだと1600だが。
3200円は、ガソリン代を考えて走る距離まで絞る僕には、きつい金額だ。
もちろん、緊急資金として現金は持っているし、カードも持っている。
しかし、ここで高速代に3200は払えない…というのが、我が家の経済状況というか、僕の小遣い状況なのだった。

僕がバイクに乗り始めたのは貧乏学生だった頃だから、本代とガソリン代の捻出に苦労して、一時は銭湯代まで浮かして公園で体を洗っていたことすらある。服も安物のぼろぼろ。それでも、バイクで走るのは楽しかった。
僕が下道をメインに使い、旅の楽しみであるご当地の旨い飯にもあまり食指を伸ばさず、ひたすら走ってくるツーリングを続けているのも、そうした僕自身のバイクルーツに関係あるのかもしれない。

また、僕も一時期「バブル」の頃は、高速を駆使したツーリングもしていた。
澄んでいた広島から夜中に高速で出て、鹿児島まで走り、中国山中を北上してきて熊本とか福岡とかに出て高速で帰ってくるような強行軍をしていた時期もある。

でも今、僕にその経済力がない。

それなのにバイクを新車で買ったのだから、我が家の家計の負担は推して知るべしである。
あまり金を使えない。それが、僕のツーリングの一つの枠なのである。

いや、それでも、その同じ予算の中で高速を使い、煩わしい都会の混んだ道を1時間ほどでさっとワープし、田舎のいい道を楽しく走り、予約しておいた地元のおいしいレストランで食事を楽しみ、またさっと高速で帰ってくる、1日300kmくらいのプランを立てることも可能だ。
そしてそれもまた、素敵なバイクライフだと思う。
僕だってたまにはそうする。

18:23 道道98 多度志付近 蕎麦畑が広がっていた。

なんだかんだ言って僕は、バイクでさすらう感覚がすきなんだろう。
ブログのサブタイトルにも書いたが、{北道逍遥(きたみちしょうよう)}、さすらう自由、それを手にした喜びが、きっと僕のバイクの原体験で、それをずっと忘れられないだけなんだろう。
今回のツーリングでも帰ってみたら760km走っていた。ガソリン代は約4600円。
距離を半分にすれば同じ値段で高速にも乗れ、時間も半分以下で済んで家庭サービスもでき、休日仕事も少し進んで、いい感じだ。
でも、それができないのが僕だ。それじゃ息が詰まる。アルプスの少女ハイジではないが、病気になってしまう。僕には、バイクでさすらう一人の時間が、まだ絶対に必要なのだ。
本当に我ながら困ったものだが、僕自身、バイクで走っているときの自分が、あらゆる自分の中で一番好きなんだから、どうしようもない。
嫁さんが分かってくれているのが、本当にありがたい。

比布からは鷹栖町の田園地帯の中を、道道520を行きながら時々外れたりして、ゆっくりゆっくり走った。
このあたりは稲の水田が広がる。
以前は寒すぎて稲には適さないと言われた北海道、今では品種改良も進み、北海道米は安くておいしいので有名だ。一面の田んぼの風景も、見慣れたものとなった。
夕暮れ時のやさしい風景の中を走るのも久しぶりで、とても気持ちがよかった。

旭川の市街地を避けて道道72号線と915号線、98号線を走りついで、道道916で小さな峠を越えて深川市に入り、線路から少し北側の道を走って妹背牛で道道47へ合流して雨竜へ向かった。

途中の峠だけ、少しコーナリングを楽しんで、あとはゆっくり走った。

19:12 雨竜町 R275
夜7時には暗くなった。暑い日が続く北海道だが、日は確実に短くなってきている。
もう殆どの店が閉まっている雨竜の道の駅を通過して、雨竜町の街中のセイコーマートに寄った。
セイコーマートは北海道資本のコンビニエンスチェーンだ。
多くの店舗が朝5時から夜11時までの営業で24時間営業はしない。
本当に深夜にコンビニに助けられた経験も多いけれど、24時間開けない方針には、僕は賛成だ。


豚カルビのおにぎり一個。今日の晩飯だ。
ちょっとずつ、何回かに分けて食べ、一気に意を満タンにしないかわりに血糖値が下がって空腹を強く感じるようにもしない…。血糖値の激しい上下を抑えるのが、長時間走り続ける時にはいいらしいとは、本で読んだのだが、なんとなく、肩凝りが来ないように1時間ごとに休憩していると、こういうリズムになってしまうのだ。
肩はそれでも凝っている。
ゆっくり、休憩多めに、安全第一で帰る。

18:45 国道275 道の駅つるぬま
夜の国道275は比較的空いていた。
それでも車の後ろを走ると、やはり肩に来る。さっきから30分しか走っていないのに、休憩に入る。
トイレにも行き、体操をした。
ドライバーやライダーが休憩していた。

さらに国道を行き、当別で最後の休憩をして、自宅に着いたのは、午後8時40分ころだった。

V7Special(ゆきかぜ号)の慣らし。
走行性能のテスト。
ワインディングの走り。
樹への訪問。
ダートの走行テスト。
雨天時走行。
高速道走行。
夜間走行。

いろんな走りができた。
最後はさすらう感じの帰り道、心地よいさみしさを満喫して、ナイトクルーズができた旅だった。
サンキュー、ゆきかぜ。
明日、洗車しような。

2013年8月22日

2013お盆走6最上のミズナラ





13:57PM 津別町 最上のミズナラ

最上のミズナラに着いた。
推定樹齢1,200年、幹周り約6m、樹高約18mの巨木だ。
やはりでかい。しかし、発する雰囲気が双葉のミズナラとは違う。

むろん、形も違っていて、こちらは一本の主幹が天に向かって伸びていく樹形ではなく、低い位置から大きな枝が腕を広げて、四方八方へ広がりながらドーム状に育っていった、1本で森に見えるようなそんな樹形だ。

しかし、どこか迫るものが薄い感じがした。
いや、1200年も生きている樹にそれはあまりに失礼というか、身の程知らずな感想だけれども。
大きさに感嘆はすれども、どこかからっぽな感じもついて回る感じなのだった。


回り込んでみると、それ一本でも大きな樹と言えるような大枝が、何本も途中で折れ、枯死しているのだった。
あまり近づけないから、老眼の進んできた近視乱視眼を眼鏡越しに凝らして見るわけだが、手を広げたような形の主な枝はその多くが既に生命活動をやめているように見えた。
骸(むくろ)を見ているような、変な感じがした。

樹全体の命が終わろうとしている。……そんな感じを受けたのだった。




樹の脇にまとめて置かれているのは、おそらく最近、それもたぶん今年雪が解けてからここに積まれた枝だろう。もしかしたら積雪期に大枝が折れたのだろうか。
写真ではそう大きく見えないが、この積んであるだけでも、かなりの量で、相当な大枝だったことが想像された。

1200年生きてきたこの樹の命が終わろうとしているのか。





主幹をカメラのズームでアップして撮ってみた。
やはり双葉のミズナラの表情とは違う。

僕は樹はど素人だが、なんだか既に命を終えたように見える。
それは単にしょうもない素人の思い込みかもしれないのだが。




梢の方を見上げてみた。
まわりのたくさんの樹に囲まれて、緑は濃いが、このミズナラ自身の葉と言えば……。
かろうじて、まっすぐに近い状態で上に伸びた枝の本当に先の方に、いくつか葉をそよがせているものを見つけることができた。

生きている。まだ、葉を付けている。

少しほっとしたのだった。


 



 既に予定の時間は大幅に過ぎている。
熊よけにたえず大きな声を出し続けているから、あまり長居もできない。(ほかの動物たちも迷惑だろうし)

別れ際、振り返って見てみた。
まわりの樹がとても細く見えるが、一番上の写真を見てもらえば分かるとおり、周りとてそんなに細い樹ではない。やはりこの樹は、別格に、尋常でなく太く、大きかった。
でも、もう会えないような、そんな予感もするのだった。


前の記事のラストの写真と同じ場所、同じ時間に撮った、少しアップの写真。
林道を、さっき倒したばかりのゆきかぜに跨って、里の方へ帰って行く。

森の中で樹の切れ目から道に陽が射し、陰影をはっきり落として、日向のゆきかぜが、眩しく見えた。
(つづく)

2013年8月21日

インターメッツォ 夏の終わり


連載記事の途中に関係ない短い記事が入る「インターメッツォ」(間奏曲)シリーズ。
昨日の夕方、北の空に不思議な雲の風景が見えました。



激しい夕立の後、煙のように細く立ち上がる雲がところどころに見られ、遥か上空には残照を浴びた高層雲がオレンジ色に輝いて横たわり。

気団の入れ替わり。
今日、目が覚めると、札幌の空は秋の色になっていました。

夏の終わりの夕方の、不思議な風景でした。

2013年8月20日

2013お盆走5樹への林道と立ちごけ。

双葉のミズナラから、林道を森の外へ帰っていく。
行きにはなかった余裕ができて、途中何枚か写真を撮った。

12:36PM 津別町双葉地区の林道にて。
上の写真の部分は路面もいいが、ところによっては昨日の雨でぬかるんでいたり、水たまりがあったり、また路面が一部デコボコしているところもあった。
ゆきかぜ(=MOTO GUZZI V7Special)はオンロードバイクなので、こういう道を走ることはあまり想定していない。
しかし、そんなに走りづらいわけでもなかった。
速度は全く上げられない。タイヤがオンロードタイヤなので、急ブレーキ時にグリップしてくれないからだ。
まして買って間もない新車。倒さないように、細心の注意を払って、しずしずと走った。


林道は片道4.5kmとはいえ、体感的にはかなり森の奥深くまで入った気がする。
アップダウンもあり、細かいカーブも多く、急坂のヘヤピンコーナーもいくつかある。
熊よけに、クラクションを時折鳴らしながら走った。


林道の出口にはさっき通ったゲート。これは鹿よけだから鍵はない、掛け金を手で開けて通り、また閉める、と確実にすればよい。
ゲートを出れば舗装路まではもうすぐだ。


林道を走った後の車の状態。タイヤには思ったよりも泥が詰まっていない。もちろんオンロードの感覚で乗ってはいけないが、意外とアクセルも開けられるし、ブレーキもフロントを掛けても大丈夫なのだ。間違ってもフロントをガツンと掛けてはいけない。いきなりフロントタイヤがロックして、前輪が外れたかのように、激しく転ぶ。しかし、ダートでフロントブレーキは絶対かけるな、というのは正しくない。ロックしないように、両輪ともじわっとかけるのが安全でよく止まる。


前輪から泥はねが飛び散っている。エンジン下部、下から蓋をするみたいに、オイルパンがボルトで留まっている。もしもここを岩なんかに激しく打ち付けて割ってしまったり、合わせ目のボルトを折ってしまったりしてオイルがダダ漏れになると、漏れたオイルを後輪が踏んで転倒する(だけでなく、後続車にも危険が及ぶ)とか、オイルを失って焼きつくとか、走行不能になるので、大きな段差を越えたり、飛び降りたり、岩ゴツゴツの林道を走ったりするとき(が万一あったとしても)には、注意が必要だ。


V7はシャフトドライブなので、チェーンが何かを噛みこむ、という心配はない。
ただ、ピボットのオイル(グリース)切れや、埃、水などの侵入が心配ではある。
洗車時もあまり隙間に激しく水が当たらないように気を付けている。
泥で結構汚れてしまった。

13:48PM 最上のミズナラ近辺の林道にて。

双葉のミズナラは比較的すぐ見つかったのだが、最上のミズナラは、道道から町道への標識を見落としてしまい、林道に入るまでに迷い、手間取ってしまった。
午後の時間が過ぎていく。
暑さと、時間の遅れの中で少しの焦りもあった。
最上のミズナラへの道は、やはりゲートを開け、閉めて進んでいく森の中の道。
やはり時折水たまりや部分的なぬかるみなどが現れる。道の分岐点、メインと思しき左の道へターンしかけて、その道があまりに急坂なのに躊躇し、同時に分岐の標識の両方に「巨樹」の字が見えたような気がして、確認しようと、停まろうとした。
ところがそこは路面が前方が高くなっているだけでなく、右が上がり、左が下がっている斜めの路面、着地するつもりの右足が一度宙を切った。慌ててすぐに下に足を出し直して左足を着地、…と、その足元が最近撒かれたであろう細かい砂利に乗って滑ってしまった。
倒れる。
厭な感覚。何度も経験した、加速度がついて傾いてくる車体に踏ん張る足場を失って倒れる感覚が蘇る。以前、立ちごけを回避しようとして足を痛めた経験も、一瞬に脳裏を掠める。
諦めなければ倒さずに済むことも多いのが立ちごけだ。ちょっとの間、渾身の力で踏ん張ってみる。
しかしだめだった。ゆきかぜが傾いてくるのがスローモーションのように感じられる。
では、せめて少しでもダメージ少なく。
ぎりぎりまでそっと路面にタッチするように、支え続けようとする。最後は自分の体が左側に回転しながら倒れ込み、ゆきかぜも倒れてしまった。

土の上で体がくるんと一回転する。ゆきかぜはあえなく横たわる。意外なのはエンジンが止らなかったこと。すぐに起き上がってキルスイッチを切ってエンジンを停止させた。

静止状態からの立ちごけだ。
身体をチェック。どこも痛めていないようだ。
できるだけ早く、ゆきかぜを起こす。
両ハンドルを掴み、フロントブレーキを握ってハンドルを右にフルに切って引き起こす。
さすがに装備で190kg。その軽さは装備270kgで重心が高いGPZと全然違う。
すぐ起こすことができた。


13:50PM 最上のミズナラ近辺の林道にて。


ギヤは1速に入っている。
サイドスタンドで安定して自立していることを確認して、
ああ、と嘆息しながら車体をチェックする。
それが、殆どどこも傷ついていなかった。
シリンダーヘッドのプラスチックカバーに設置痕が少しついたが、へこむとか、そういうのではない。
ハンドルバーエンドに土がついている左ミラーの先にも土がついているが、曲がるとか、そういうものは全くなかった。しかし、もちろん接地痕は少しついている。
タンクは全くどこも接地していなかった。前後ウィンカーも無傷だ。いや、前の左ウィンカーの先に土がついていたが、傷というものではなかった。
マフラーも、後端近くの一番太い所に土がついていたが、ホールドが曲がった気配もないし、大きな擦過痕もない。
左ステップは先端部分のアルミ地とゴムの間に土が挟まっていた。
可倒式だが、やわらかい土の上に、倒れずにこれが少し埋まりつつ減衰してくれたようだ。
こういう場合はまずシフトレバーが曲がるものなのだが(数えきれない転倒経験があるのでね…。)、全く曲がっていなかった。
冗談みたいな、超軽傷。ほぼ「無傷」と言える状態だ。
一瞬、ブログに書かないでごまかしてしまおうか、なんてこずるい考えが浮かんだくらいだ。

平らなところまで慎重に戻し、ギヤをニュートラルに入れて、エンジンを掛ける。
…普通にかかった。アイドリングも安定し、何の異常もない。

ああ、…ほっと一安心。
落ち込んだまま、もう一度車体各部を再チェック。
大丈夫のようだ。

まったく、ゆきかぜには申し訳ないことになってしまった。
不得意な林道を走らされた挙句に土の上に倒されるとは。

それにしても、乗り手孝行な車だ。
これで自走不可能になったら、それはもう目も当てられてない状況だったのだが。

現金なもので、たいしたことないとわかると、心の傷も軽く感じる。
「ゆきかぜ、ごめんな、俺ってこういう奴なんだよ。」
なんて言いながら、さらに慎重に右の正しい林道をさらに700m、最上のミズナラを目指すのだった。

13:54PM 津別町最上地区 最上のミズナラ前。

数分でつくことができた。
またクラクションを長く鳴らし、熊よけをする。熊、および周辺の動物、植物のみなさん、申し訳ない。お邪魔します。さっと見て、さっと帰るからね…。などと、弱気になって妙に慎重にゆきかぜを降りた。


小さな木の看板の向こう、大きく手を広げたような形の、何か巨大なものが見える。
どうやらこれが、最上のミズナラらしい。そのレポートは次回に。


14:07PM 最上のミズナラのすぐ近くの林道にて。
と、言うわけで、今回はV7スペシャルでの林道走行と、停止状態からの立ちごけレポートになってしまった。
イタリアから遙々やってきた我がV7Specialゆきかぜ号だが、早くもトホホで無謀なオーナーの洗礼を浴びることになってしまった。
申し訳ない。
これで嫌にならずに付き合ってね。
と、ひどいオーナーぶりは早くも全開なのだった。(つづく)