2021年8月6日

バレンティーノ・ロッシ 今シーズン限りでの引退を決断。

motoGP公式HPに、発表がありました。
 
バレンティーノ・ロッシ、キャリアに終止符を打つことを発表
25年前にキャリア初表彰台を獲得したサーキットでシーズン末に現役から引退することを発表。

う~ん、…お疲れ様!

42歳のバレンティーノ・ロッシ選手は、レギュラー参戦26年目。

父親もGPライダーだった、バレンティーノ、一生をずっと、2輪ワールドグランプリとともに生きてきたといってよく、選手としてのキャリアも長く、世界チャンピオン通算9回を獲得。WGP500時代から、motoGPまで、2サイクル、4サイクル、マシンが大きく変わっても、トップであり続けました。

今週末のmotoGPは、ロッシ引退の話題で持ちきりになるでしょう。

引退を決意したことについて、上記の記事の中でバレンティーノ・ロッシ選手はこう言っています。

「難しい。来年レースをしないと言うことは難しく、とても悲しい。30年ぐらいレースをしてきた。来年、人生が変わるだろう。しかし、最高だった。とても楽しかった。」
「難しい。難しい決断だけど、理解する必要がある。」
「最終戦を迎えるときは、最も難しいだろう。今は自分の決断を伝えるだけ。キャリアに不満を言うことはできない。」
引用は上記記事より。)(引用元は日本語版)

レースそのものを愛してきたロッシ選手にとって、引退するということは「難しい」こと。
しかし、自分の決断として「理解する必要がある」こと。
資金的にはプライベートでももう一年走ることはできるでしょう。
でも、それはもうしない、「できない」ということを自分で認め、人生のステージを次に薦めなくてはならない。そのことを決断した。ということですね。

ロッシ選手に限らず、僕が2輪の世界選手権の選手たちのインタビューなどから感じるのは、非常に「リアル」であるということです。
根拠のない楽観的なことや悲観的なことを言わない。
常に状況を正確に把握しようとする。そして、その現状に対して最善の手を打とうとする。

この強い意志が、バイクレースの世界で闘い続けるためには必要になるのです。
この精神性は、僕がGPの世界を知った1980年代からずっと一貫していると思います。
大言壮語はしない。
はったりをかまさない。
おあつらえ向きの感動ドラマに逃げ込まない。

レースの最高峰で闘い続けるためには、現実と乖離したお気楽なことや、悲観的な精神性では、生き残れない。闘い続けられないのです。

でも、彼らも人間であり、別格に強いわけでも、人間として別次元なわけでもない。
感情は昂ぶり、落ち込み、打ちひしがれ、不安になり、怒ったり、憎んだり、いろいろ愚かなこともします。

それでも、「現状を正しく把握すること」から一寸でも後退すれば、レースでは生き残れないのです。

僕が本当に彼らを尊敬することの一つは、そういった精神性です。

ロッシはやめると自分で決断した。
でも、それは受け入れがたい苦痛であることに変わりはないし、
まだまだ走りたい気持ちの溢れるロッシは、きっと最終戦では、自分の引退を受け入れることは「最も難しいだろう」と「わかっている」。
それでも現実をこの上なくリアルに見つめるのであるから、「今は自分の決断を伝えるだけ。キャリアに不満を言うことはできない。」となります。

ロッシにしても、僕の大好きなダニ・ペドロサにしても、昔からの僕のヒーロー、エディー・ローソンにしても、やめるときめたんだから「すっきり」「後悔はない」などど、理念的で安易な「あるべき」姿に自分を模して、嘘のカッコよさを繕ったりはしない。

これは、とても難しいことです。
僕も、空しいカッコつけをしてしまう。そのことで、自分に嘘をつき、本当の自分をまた失ってしまう。本当の自分をうすっぺらいものにしてしまう。

しかし、「リアルであること」、「自分であること」を受け入れ、闘うのでなくては、「本当の人生を歩んだ」という、他のものでは変えられない「生きることの意味」はつかみ取れないのです。

僕は別にバレンティーノ・ロッシ選手の熱烈なファンではない。
しかし、アンチでもない。
今までのキャリアの中で、僕からみて、ロッシ選手の言動に納得のいかないものや(あくまで僕から見て)、不快なものも(あくまで僕から見て)あった。でも、誰にだってそういうことはある。嫌な面が一つもなくて、すべて崇拝してしまうようなら、それはカリスマに帰依している危険領域でしょう。
特に大ファンでもない僕だが、尊敬する面は多々ある。
彼の仕事にたいする情熱、仕事のプロデュース能力、方法。
ライディングテクノロジー。…しかも、時代とともに一度確率し、何度も世界チャンピオンになっているその方法論を崩して、新たな次元に組み上げてくるところ等。

そして、今回の引退へ向けての発表は、僕にとって、リアルでありつづけようとすることの困難さと、偉大さを、改めて示してくれるものでした。

I miss you, Rossi. 寂しくなるよ。

彼の最後のシーズン、最後まで見届けよう。



彼の詳しい発言内容は、「気になるバイクニュース」の中で見ることができます。

3 件のコメント:

  1. こんばんは。
    とうとう引退を発表しましたね。
    昨年も良い結果を残せなかったので、昨年に引退すると思っていたのですが、
    成績が良くなくても走りたいと思う気持ちは、本当にバイク好きなんだなと思いました。
    でも、遅いロッシを見ているのも辛い気持ちになります。
    来年もVR46から出場する可能性もあったそうですが、やはりここは潔くと思います。
    ここ数年は走り方自体が昔と違い、世代交代の時期なのだと思います。
    ロッシのようなキャラクターのライダーはなかなか現れないでしょうね。
    来年から寂しくなります。
    でも、明日のレースにはペドロサとクラッチローが出場するようなので、
    これは楽しみにしています。
    クラッチローも、怖い顔していて子煩悩なところのギャップが好きです。(笑)

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    1. ガタパシャさん、こんにちは。
      ペドロサ、ロッシ、ポイント圏内に食い込みました!
      ペドロサには驚きました。いや、驚かないか。KTMの開発ライダーですから、ペドロサが仕上げてきたマシン。そして、現役時代とおそらく同じトレーニングを積んでいる身体。
      ただ、レース1で転倒してその転倒にサヴァドーリ選手が巻き込まれてしまったのは、サヴァドーリが気の毒でした。
      中上選手も5位入賞で、来週がまた楽しみです。

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  2. いやぁ、ペドロサ、3年ぶりのMOTO・GPでロッシより速いとは驚きました。
    でも、転倒した時しかTVに映らなかった気がします。
    クラッチローなんか、映った?(涙)
    中上も頑張りました。早く表彰台に上がるのを見たいものです。

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