2014年5月10日

二美桜(1)

札幌から、定山渓まで、かつて鉄道が走っていたことがあった。

定山渓鉄道は、1918年に完成、1969年まで、札幌白石から、定山渓まで走っていた、軽便鉄道だ。



自動車、トラックに輸送の主役を奪われるまで、札幌と定山渓温泉を結ぶ観光路線として、豊羽鉱山からの鉱物、周囲の山から伐りだした木材の輸送を担う、貨物線として、活躍した。
今では、沿線にところどころ、駅跡が見られるのみだ。

二美桜は、
札幌市南区、八剣山トンネルから小金湯に向かう市道の近くにある。

定山渓鉄道の滝の沢駅の跡地に立っている、ソメイヨシノの老木だ。

相和6年、滝の沢駅初代駅長、福井正造氏らが、駅構内にソメイヨシノの苗木を植樹した。
それから80年以上が経ち、定山渓鉄道は廃線され、駅舎もなくなった。

平成11年秋、この地に市道が通ることになった際、人々はこの桜に二美桜と名付け、保存していくことにした。
平成12年に記念の看板が立てられ、現在にいたる。
大小、2本の桜が、簡易な木の柵に守られ、5メートルくらい離れて、並んで立っている。

満開は、今年は早く、GWの終わりころだった。

僕は先週、すぐ近くを通ったのだが、車を止める人、写真を撮る人が入れ替わり訪れていて、
その時は立ち寄らなかった。

今日、朝のほんのひと時、その桜を見に行ってみた。

ソメイヨシノは若葉を広げ始めていて、桜は7割方散っていた。

道に、ピンクの花びらがたくさん落ちていた。

ゆきかぜを留めて。
エンジン音が止まると、辺りは静かだった。

土曜の朝、8時25分。

山は若葉を広げる季節。
桜は終わり、果樹園のサクランボや、林檎の花が、かすかに甘い香りを風に乗せる。

ゆきかぜのエンジンの冷える音が、キン……、キン、と、時折鳴る。



今日は僕の他に、誰も 立ち寄る人はいなかった。



















2 件のコメント:

  1. 樹生さんおはようございます。
    二見桜は私も好きで、桜の季節は必ず寄ります。それにしても
    散った花弁にゆきかぜが絶妙な位置です。このカメラワークは
    素晴らしいです!
    3枚目の奥の家の位置あたりがホームだったようです。
    ゆきかぜV7もマフラーが良い色に焼けてきましたね!
    そろそろ本調子を出してくるかな?

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    1. いちさん、おはようございます。
      何度もそばを通っているのに、実際に樹の下まで行ったのは今回が初めてでした。
      鉄道が敷かれ、物資や乗客を運び、やがて自動車に押されて消えていく…。
      そうか…ここに駅があったのか…、と少し感慨にふけってきました。
      さて、距離計ももうすぐ4000km。だいぶこなれてきていると思うのですが、
      ライダーの方があまり走れておらず、ちゃんと感じられていない状況で…(^^;)
      一年経ってのハンドリングテストもかねて、一日ゆっくり走りたい、今日この頃です。

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