2016年2月14日

樹生の弾丸流儀3

素人、樹生和人の弾丸ツーリング流儀。
今日は乗車姿勢についてです。
「正しい乗車姿勢」は教習所でも教えてくれます。また、左右のレバーに何本指を掛けるかという問題も、昔は絶対4本指だった白バイも人によって掛ける指が違う時代に入り(ブレーキ性能の向上により、満身の力をこめるような握力を必要としなくなりました。)、やりやすいやり方でいいんじゃない、となりました。ステップの上の足は開かず、前を向ける…のも、共通。
残った議論は、背中。背中を丸め気味にするか、まっすぐっぽくするか、いわゆるC字対S字の議論です。
…といっても、この場は樹生個人として弾丸ツーリングするときのファームについて語る場。
あくまでも個人の場合として、行きましょう。

まず、ライディングフォームといっても、たったひとつの正しいフォームがあって、他は全部間違いというわけではない、という当たり前のことを確認しておきましょう。
第一、前に足を投げ出し、シートに体重のほとんどがかかるポジションに固定される「アメリカン」(クルーザー)と、ハンドルが低く、ステップが着座位置の真下にあるSSとでは、同じフォームを取ること自体が不可能です。


さてさて、ライディング時の姿勢、いろいろ言われていますが、
背中を丸めるか、脊髄がS字になるようにするか、は、両方とも言われています。

丸める派は、根本健氏、山田純氏など。
S字派は、柏秀樹氏など、多数います。

S字派の代表例として柏秀樹氏の論を引いてみましょう。
出典は、社団法人日本二輪車普及協会のHP、正しいライディングフォームより、一部を抜粋です。

【良い例】
仙骨(尾てい骨が付いた骨)を起こすと正しい姿勢になります。仙骨が分かりにくい場合は「へそ」を前へつきだし、軽く胸を張る姿勢とします。エビぞりでもなく、背中を伸ばすことでもありません。正しい歩行姿勢と同じで美しく、低疲労となります。背筋力など力も一切不要です。モトGPやオフ系トップライダーは、この上体を維持しながら前傾化しているだけで背中を丸めてはいません。猫背よりも明らかに凛々しく見えることも重要です。 
【悪い例】
背中を丸める猫背は、腰にかかる荷重が約3倍にもなり、腰痛を引き起こす大きな原因のひとつとなり、内臓も圧迫。また、猫背のまま顔を正面に向けると首の曲がりが強くなります。いわゆる頚椎(けいつい)圧迫による血流低下を引き起こしてしまいますし、後姿も美しくありません。

根本氏や山田氏の背中を丸めるフォームは、「悪い例」として挙げられています。
お医者さんの中にも、柏氏の説を支持する方がいて、どうやら、背中のフォーム説は、ここ数年でS字派優勢になってきているようです。

では僕はどうなのか、というと、自覚的には丸める派です。


しかし、この写真(またこの写真か)、を見ると、なんか中途半端。どっちとも言い難いような姿勢です。
たぶん、これはGPZだったから。
現在のV7,ゆきかぜ号はもともと上体が立ったフォームなので、S字に近い状態になっていると思います。

でも、自覚的には丸める派。

丸める派のフォームと走行については、根本健氏監修、出演の「らいでぃんぐナビ」で見ることができます。

らいでぃんぐナビ Vol.346/ツーリングを楽しむためのABC・その1

根本氏は「路面からの衝撃を逃がすため」と言っています。

柏氏と根本氏の違いは、お二人のバイクの経歴から来るものもあるのかもしれません。
根本氏はロードレース畑。レーサーを中心にライテクを構築してきた人。
(ただし、この15年くらいは、W650を愛車にするなど、上体の起きたバイクも数多く乗る。)
柏氏は、パリダカに何度も参戦するなど、ラリーやアドベンチャー中心だった人。
(もちろん、レプリカやSSのライディングにも長ける)

双方ともにライディングの達人なのは間違いないですが、原点ともいうべきフィールドの違いが根っこにあるような気がします。

これ、理論的にはS字型優勢だと思うのですが、現実には、各自がいろいろやってみて、いちばん疲れないポジションを探すしかない、と思います。

例えば、V7の場合、ステップがお尻の着座位置よりも少し前にあります。
ステップを踏むと、前方に踏むように力が入り、ハンドルを引かないとステップ上に立ち上がれないという話は以前もしたと思います。
この状態では猫背のまま長時間乗ると、確かに路面の衝撃が背中や腰に来ます。

GPZの時はステップ位置はほぼ、着座位置の真下。ステップに力を入れて踏むと、それはそのまま座面から上体の荷重を抜く方向で力を使えました。
GPZに載っている時、自覚的には僕は丸め派。
そして、路面の段差を越えるときなどは、微妙にステップに体重を移して路面の突き上げが腰に来ないようにしていました。また、やや前傾となるGPZでは、S字を頑なに維持するよりも、上体が前傾している分、路面からの突き上げがそのまま上体全体を使ってやわらかく上に逃がすことができていました。
もしもS字をことさらに守ると、腰から、上部へと、路面衝撃はその都度伝わっていたでしょう。
もちろん、ステップワークによって衝撃をかわすことはできるのですが、上体丸め(「といいうよりも背中全体で弓なり)よりもステップワークは忙しくなり、難しくなります。

この背中と腰のラインと、下半身の関係は、バイクよりもむしろ自転車の乗車姿勢の方が研究が進んでいるかもしれません。
今日は時間がなく、審らかにできませんが、理論的にも正しいと言われるフォームが変遷しているのが、バイクでも自転車でもこの分野と言えます。










もう一度、柏氏の説、根本氏の説、双方を見てみても、どちらの言うことも「まあ、そうかもなあ…」という感じ。
これはやはり、自分で自分の正解を見つけるしかないですね。

どちらも「体を痛めないように」ということを言っていますから、自分の身体、自分のバイク、バイクのステップ、シート、ハンドルグリップの位置関係、などの基本情報に、自分の走る速度、その時々の路面状況などを常に加味して、もっとも動きやすく、最も疲れにくい乗車姿勢を、居付くことなく、いろいろと無理しないで少しず試しながら、自分のベストポジションを探し続けるのが、ライディングだと思います。
同じ「自分」でも、年齢によって筋力や体重も変わってきますから、固定的に正しいフォームはとらえられない。

安直に誰かのフォームを形からだけダメだと決めつけるのではなく、自分自身の身体と実践にとって一番有効な方法を見つけていけばよい。
そう思います。

さて、その場合、私の場合は、S字っぽいC字。
S字に決め込むと、お尻の特定の位置の座圧が高くなりすぎて、長距離がきついし、衝撃を僕のン場合は逃がしにくい。
でも典型的な丸め、C字にするほど、意図して丸めない。
上体はどこかに力が集中しないように、全体で衝撃をかわして(逃がして)ゆくような、そんなフォームをとりたいです。
特に長距離を走り続ける弾丸の場合、途中で腰痛を起こしたら走れなくなってしまうわけで、それがかなり大事だと思っています。

ああ、今日の記事はぐだぐだですね。
すみません。
けっこう忙しく、記事の更新に時間を割けない日が続いています。
無理しないで行こうと思います。更新ペースがまた遅くなると思いますが、どうぞ、ご容赦ください。

4 件のコメント:

  1. takaです

    二派に、別れますよね。
    私は、丸める派です。
    単に、自分に合うから(^_^;)
    後付けするなら、S字で前傾すると骨盤が倒れる感じになりますが、突っ張り感があります。
    また、上半身に余分な力が入ってしまいます。
    タンクが長く、セルフステアを妨げないようにすると、自然と丸める様になりました。
    ちなみに、私はオンロード育ちです。

    人、それぞれなんでしょうね。

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    1. takaさん、こんにちは。
      上半身から力みがとれて、しかも路面からの衝撃を一カ所で受けないようにできる姿勢
      それがいいのかもしれませんね。
      そういえば、現代剣道では姿勢を起こして構えますが、
      昔の実戦的武術ではわりと背中を丸めたような形で構えていた…という話を読んだことがあります。
      これこそ、武術にも流派はたくさんありますから、流派ごとに構えも違うでしょうし、
      takaさんおっしゃるように、人、それぞれ。
      どれがいいどれはまちがいと決めつけるのではなく、「自分に合う」姿勢を、実践の中から探していくべきなのでしょう。

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  2. 前傾具合によってライポジは変化しますが、やっぱり普遍的なポジションって
    有ると思っています。何処かに荷重が特定されてしまうのは運転に支障が出るの
    ではないかと。体重がバランス良く分散出来れば、それがベストでしょうか。

    ハンドルが遠いのは困りますね。腕が突っ張り気味になりますし、上体が前に
    引っ張られてかなり苦しいポジションとなります。
    背中が丸まっている時は速度が速い時になりますね。逆の場合は緊張が抜けて
    リラックスしている時になります。

    昔、サイクリストだった時は前傾が掛っていても、不思議と疲れませんでしたね。
    全てに余裕があるポジションが取れる様、調整してました。伸びきったりすると
    力が伝わりませんし、荷重を分散させないとお尻が痛くて駄目でした。

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    1. いちさん、こんにちは。
      なるほど、体重のバランス良い分散。大事なのですね。
      同時に、掛けるべき時に、掛けるべき量を、掛けるべき方向へ掛ける。
      自分の体重の荷重制御が柔軟に、自然にできることが大事だと思います。

      背中が丸いか、S字か、はとり出してそれだけでどちらがいいかを論じるよりも、
      全身の使い方、衝撃の逃がし方、自分の体重のかけ方、そして大事な操作のしやすさなどから
      総合的に判断できるといいのでしょうね。

      ただ歩くだけでも、美しさや、疲れにくさがあるように、
      ただポジションをとるだけでも、そこに深さがある。
      だからバイクライディングは底なしに面白いのだと思います。

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