2024年12月31日

62歳のシーズンを終えて

2024年ももう数時間でおわりだ。
今年、僕は62歳になり、ゆきかぜとのバイクライフも12年目を迎えた。
51歳を目前に納車したMOTOGUZZI V7 Special (2013)。
50代はいろいろなことが起きた20年だった。



2014年頃から仕事が激務化。
仕事で上司に嵌められたり、約束と違うことを押し付けられることも増え、
平均睡眠時間も5時間を切ることが増えた。
残業は月80時間などざらになり、しかも、仕事上残業手当が出ない。

この頃、僕は頚椎ヘルニアを発症し、痛みと強烈な痛み止めの副作用(吐き気、めまい)に苦しむことになった。

さらに仕事は忙しさを増し、実家の父の体調が思わしくなく、母のパーキンソン病の進行も進んで、二人の暮らしが危うくなってきていた。

2017年に父が死去。
実家でもう少し暮らしたいという母のため、毎月北海道と秋田を往復する生活が始まる。
仕事の激務化はさらに進み、気づくと自分は疲れ果てて気力がなくなってきていることに気がついた。
これは鬱病か、と思い、まずかかりつけの内科医に相談したところ、いろいろ問診した結果として抑うつ状態とは言えるが鬱病というには少し違う気がする、血液検査をしてみてほしいと言われる。
検査結果は、「男性更年期障害」。テストステロン値が、大幅に下がっていた。
治療として、毎月テストステロンを皮下注射することになる。
すると鬱症状は消えて行った。

2019年、2年間実家で一人暮らしを頑張った母がそろそろ限界に差し掛かる。
北海道の介護施設に引き取ることにし、施設予約、実家の売却などを済ませ、母の移住を実行、北海道での病院なども手配する。

へとへとになったが、仕事は相変わらず、緩まない。


2020年、7月のある日、朝、職場について見上げると、青い空に飛行機雲が一筋走っていた。
「あ、仕事辞めよう」
その瞬間に啓示のように辞職を思いついた。
2021年3月で退職した。

2021年中は、母の生活を維持するために動きつつ、仕事の疲れをいやすことに費やした。
収入がゼロでは困るので、パート勤務を少しした。
2022年~2023年は、パート勤務を少し増やして、ライフ・ワークバランスを取るように心がけた。
しかし、僕の仕事はそうは楽に行くものではない。
結局パートのはずなのに、サービス残業の嵐のような働き方になってしまった。
しかし、これは強制されたものではない。
何か、性分なのだ。
だが、事実上フル勤務に近い(実質それ以上の)勤務時間と勤務量をこなすようになってしまい、定期的に通っている歯科医の先生にまで「働き過ぎですよ」と注意される始末。
寝不足と、寝ている間の歯ぎしりや、起きているときも「噛みしめ」がきついと指摘される。ストレスが高すぎるのでは…というのだ。

2024年、職種を変えないまま、就職をやり直して職場を変える。

今度こそ、ライフワークバランスを…と思ったものの、
今度の職場は給料が安くて、仕事が多く、昨年の半額以下で昨年の4/5くらい働いてしまっていた。

もう、これは、性分のようなものだ。
しかし、このままの収入ではやはり苦しい。

再び就職活動をすることにしたのだが、幸い、フル勤務しないという前提で、今よりもいい条件の職場が見つかり、来春から勤務することになった。


ゆきかぜと過ごした12年間、思ったよりも体力は低下し、健康状態は悪化した。
しかし、50代から60代への年齢の進行を考えれば、そういうものだろうという気もしている。
無理は効かなくなり、疲労は抜けなくなり、金銭的余裕もなくなりつつある。
でも、明日の暮らしに困るほどではないことがありがたいし、バイクを手離さなければならないほどのものでもない。
秋には1泊の道内旅行にも出かけられた。

4月からはわずかだが収入も上がる予定だ。(それでも現役時代の1/3以下ではあるが)

いろいろあった50代、60代の0,1、2歳の3年間を過ごしてきて思うのは、
「いつまで元気でバイクで走れるだろう」
ということ。

「いつかは終わりが来る」
そんなことは当たり前で、頭ではずっと前から知っていたことだ
しかし、この2,3年、特に今年は、そのカウントダウンが既に始まっていることを実感として感じていた。
それも、今、残りのカウントがいくつかわからないまま、カウントが減っていくことは確実に分かるのだ。

焦っているわけではない。
焦ってしまうと、ゆっくりやれば得られたはずのものさえ失うことを
経験から身に沁みているからだ。

永遠に続くわけではないバイクライフ。
中でもスポーツバイクで走れる日々は、いつまで続くか分からない。


だから、大切にしていこうと思う。ゆきかぜとの日々を。

そのためには、健康の維持、体力の維持も大切なテーマになってくる。
そして、ゆきかぜの「健康」問題も大切だ。
おそらく、新しいスポーツバイクを買うだけの財力は今の僕にない。
しかし、収支バランスを見ながら、ゆきかぜに必要な手をかけていくことは
十分にできるはずだ。
できればあと10年、そうでなくても、走行距離が10万㎞にとどくまでは、
ゆきかぜと走って行きたい。
そんな気持ちに、今はなっている。

皮肉なことに、そんな気持ちになったのは、
昨年、今年と、現行の優れたバイクに試乗したためだ。
MOTOGUZZI 現行V7、V850TT, V100Mandello
Kawasaki Ninja1000SX、Z900RS
トライアンフ ボンネビル120
BMW G310GS
HONDA GB350

みんな、総合力ではゆきかぜを凌駕していた、優れたバイクだった。
どれもが、個性を持ちながらも総合的なバランスを高め、安定性が良かったことが印象的だった。
もしも、これらのバイクが欲しいのだけれど、迷っている…という人がいたら、どれも迷いなく推せるバイクだった。

MOTOGUZZIのV7にしても、今から買う人には間違いなく現行のV7を薦める。

でも、じゃあ買い替えようか…という気持ちには、まったくならなかった。
昨年のカワサキに試乗した段階では、
乗れる体力があるうちに、もう一度、若い頃自分を育ててくれたカワサキの4発に、もう一回乗ってみたい…という気持ちも持っていたのだ。
つまり、買う気もあった。

しかし、試乗してみたあと、さらにいろいろ試乗を重ねるうちに、
……やっぱりゆきかぜがいいじゃないか。
という気持ちが大きくなってきたのだ。


この気持ちもまた、変わるのかもしれない。
もっと乗りたいバイクが現われたら、たぶんそっちに乗り換えるだろう。
体力や使い方、走り方が変わって、ゆきかぜが自分のバイクライフに合わなくなってきたら、やはり乗り換えを考えることだろう。

でも、
今はゆきかぜと走りたい。
そんな気持ちがまた、大きくなってきたのだった。

まずは63歳から65歳まで。
3年間で、一つの僕とゆきかぜの60代でのありかたの形を、つくっていきたいと思う。
2025年は、その3年間の最初の年になるだろう。

来年もよろしく、ゆきかぜ。

2 件のコメント:

  1. 樹生さん 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
    北海道は冬季間が確定していて、実車と距離をとって振り返るまとまった時間がとれます。一人ひとり積もった雪を横目に想い返したり計画したりなのかなと思います。
    本文を拝読していて、男の人は強い身体がある分 もしも衰えや不具合を感じる時は、その振れ幅も大きそうだと感じました。
    大きなカワサキ車を見事に制御しながら、時折少し背を丸め首をかしげるライディング姿をおぼろげに思い出しましたが、きっと当時から重圧と痛みが積もりに積もっていたのでしょう。
    語り合いながら美しいV7と駆けるご様子は、とてもお似合いです。
    お身体をいたわりながらも存分にライディングを楽しまれますように
    今年も応援しています。
    私も一人で走る自信がなくなったてきたと寂しい思いにかられていましたが、先シーズンは理想のタイヤに出会えて、交換したまま1000キロツーリングをしていた自分にやっぱり変わらないなぁと笑ってしまいました。
    来春は良きシーズンになると思いをはせて、しばし冬を暖かくお過ごしくださいませ。

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    1. kaoriさん、明けましておめでとうございます。
      今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。
      暖かいお言葉、ありがとうございます。
      2025年、自分のペースをつかみながら、
      ゆきかぜと走って行きたいと思っています。
      あと3か月、春を待つ間に、いろいろ考えたり、準備したり、
      楽しめますね。それもまた、北国ライダーの喜びのひとつ。
      kaoriさんもどうぞ、素敵な1年を、お過ごしください。

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