2016年9月3日

Dance with R65(5)

ニセコ町の喫茶店で、おいしいコーヒーとケーキを男2人でいただきながら、バイク談義。
30分の休憩で、また走り出す。
羊蹄山を南回りで、もう一度北上して赤井川村をめざす。

道道66号から、道道230号へ逸れて、真狩村からまた道道66号に乗る。
留寿都手前を左折して道道257号を北上し、国道と道道97号の間の農道を北へ。


2016/8/28 11:22
その間、写真はない。

速すぎず、しかし必要以上に緩まない速度で、走り続ける。
こういう時に北海道に住んでいるメリットを感じる。
田舎道、観光道路を一本外れると、交通量は少なく、信号もほとんどない。
思う存分走り続けることが可能だ。

左手はたぶん大豆。枝豆がうまい季節だ。


2016/8/28 11:22

後ろには尻別岳。
昼近くになり、朝、望羊の丘から眺めた時とは感じが変わっている。

ST4さんは、相変わらず、車間を十分にとって、たぶん、景色と僕の走りを、眺めながらの追走。

今日は走りが気持ちいいから、追走してくれているST4さんも、気持ちいいのではないだろうか。

こう書くとおこがましいようだが、バイクで一緒に走るときは、不思議に気持ちがシンクロする場合が多いのだ。
例えば、走っていて眠いときは、よほど体調の違いがある時を除けば、一人だけ眠いということはなく、みんな眠かったりするし、なんとなくリズムが合わなくて走りにくい…と思っている時は、自分だけでなくみんなそう思っている。

だが、このシンクロ、もちろん100%ではない。大外れのときもある。
トイレに行きたいタイミングも一人ひとり違ったりもするし、マシンの具合で、感じることも、考えることも違うことも多い。

だから、走りの表情だけでなく、時々、ペースやリズムについても、これでいいか、確認しながら、無理ないように調整しながら走った方が、結局みんなが楽しく走れる。

2016/8/28 11:36
もう一度、京極の名水道の駅のそばを通り抜けて、
道道478から途中で北上して、国道276へ。

真後ろに羊蹄山。
農道は空いていて走りやすいが、もちろん農作業者優先だし、農家のそばを通る時には、速度を落とし、排気音にも気をつける。

そのあたりの感覚は、ST4さんと僕とで共通しているようで、いや、むしろ走行中のマナーに関しては、ST4さんの紳士的な走りとふるまいには、僕はまだまだ甘いと思わされることもたびたびあった。


2016/8/28 11:47
国道393号「メープル街道」(^^;)に入り、峠を越えて赤井川村を目指す。

背後に広がる、右手がニセコ連山、左手に雲を被っているのが羊蹄山だ。
羊蹄山にさよならの挨拶を。
今日はありがとうございました。また、会いに来ます。

2016/8/28 11:47
峠はトンネルで。
トンネルの楽しみと言えば、排気音だろう。(…って思うんですが…。)
自分の排気音が聞こえるし、反響して後ろの車の排気音も聞こえる。
R65のエキゾーストノートは、太くて、力強くて、素直で、でも音量が大きすぎず、いい音だ。

V7の排気音は排気ガスを浄化するための触媒がびっちり詰まっていることもあってか、かなり絞られた音だ。
音量は小さい方が好みなので、それはいいのだが、すこしびちびちという音が詰まり気味な印象も与える。

快音マフラーもあるのだが、触媒がなかったり、音が大きかったりして、なかなか踏み込めない。

そのまま快調に走って、12時過ぎに道の駅赤井川についた。


ここでお昼…と思っていたのだが、さっきのケーキでそんなにお腹が空いていない。
それでも僕はチーズ豆パンを一つ買って、自動販売機の飲み物と合わせて軽食に。
ST4さんは飲み物だけで。

道の駅の中のテーブル席に腰掛けて、休憩しながら、またバイク談義を。
ブレーキングのこと、昔のライディング体験のこと…。

朝5時から走ってきて、相当に密度が高く、充実した走りのできた日だったと実感する。

2016/8/28 13:00

連日の仕事疲れが少し出だしていることを僕は自覚。
走りたい気持ちはまだまだあるが、とりあえず、毛無峠を越えて、小樽市朝里へいくことにし、その時の疲労度で、直接札幌方面へ帰るか、朝里峠を越えて、定山渓方面経由で行くかを決める…という提案をする。

ST4さんもにこやかに同意してくれる。

ここからはST4さんが前を走り、僕が追従することに。

信号待ちでST4さんの後姿を。
ちょうど、首のストレッチの最中だったみたい。

黒のR65に上下黒のレザーウェアが似合っている。
膝カップ入りのライディングパンツはセパレートのレーシングパンツといういべきもので、
ブーツアウトタイプ。
見えていないが、レーシングブーツを履き、ヘルメットはアライのRX-7X。
要所にパッドの入ったダイネーゼのライディングジャケットの下には、脊椎パッド。

安全と機能性を高い次元で両立させて、走りに集中する、そういう装備だ。

対する僕は
レザージーンズに綿のジャケット。中には脊椎、ブレスト、肩、肘のパッドを入れているが、
足元はモンベルのタイオガブーツワイド。軽登山靴だ。
ヘルメットは10年選手のアライ「RX7-Ⅳ」。もう寿命だ。買い替えないといけない。

2016/8/28 13:00
さあ、出発。

ST4さんの先行する走りは、とてもジェントル。
柏秀樹氏風にいうと、「L1」。道路左の路肩ラインから1mのところを基本に走っていく。
やはり前車との車間を詰めず、前の車にプレッシャーを与えないように心遣いをしている。

バイクで走るとき、バイクの走る姿が目の前にあるというのは、なかなか楽しい経験だ。
いつも一人で走っているので、たまに一緒に走ると、ミラーの中や先行する姿を見ながら、
相手の走りに学ぶことがあったり、意外な走りの一面ににやりとしたり、ただ一緒に走っていても飽きることがない。

いよいよST4さん先行で、毛無峠へ入っていく。

ここからはパラパラ漫画風に。
ST4さんのライディングに勝手にキャプションをつけて…。
(ST4さん、すみません、失礼なことを…)


登りのS字。センターから、少しだけ斜めにしつつ、道のアウト側、
ここからコーナリング開始という地点まで進んでいく。


ここで向き変え。
道の曲率よりもやや小さく、アウト→インのラインに乗るように、
リーンと同時に向きを変えていく。



アウトからセンターへ寄りつつ、アクセルを開けてトラクション旋回していく。
すると後輪にもスリップアングルが生じ、比較的バンク角が浅くても安定して旋回が可能。



コーナー出口が見え、先が左カーブになっていることと、先行する軽自動車を発見。
ここで全力加速はしないと決め、緩やかな立ち上がりにチェンジしている。


次に左が控えているので、立ち上がりでアウトへ流れず、センターキープで立ち上がっていく。
前の軽はかなり飛ばしているのだが、追わないST4さん。むしろ直線で緩めて先行させ、車間を確保している。



いちどしっかり直線部の走りとして…。



左にアプローチ。
曲率を確かめるように緩やかにアウトに寄っていく。
このときはもう向き変えポイトは設定済み。


ここで向き変え。



このコーナーはかなり回り込んでいる。
カーブミラーがそれを示している。
もうひと寝かし、の余裕を残して、強い向き変えを控え、アウト側を緩やかに回っていく。
いつでも、イン側へ回避できる体勢だ。
このラインの方がブラインドのカーブの奥まで見通せるし、カーブの途中で観光の車が平気で停まっていたりすることもあるから、その用心にもなる。

また、最近サイクリストが増えているので、あまりインベタで強い旋回に入ってしまうと、ブラインドの場合、直前まで見えなくて危ない。

あくまでもリスクを想定し、それを回避し、その回避を自分のライディングのプランの中に即時に入れ込みながらコーナリングを組み立てていく。

公道ライディングの醍醐味の一つだ。



カーブミラーにコーナーの出口が写っている。
前方がクリアなのが確認できたところから、再度向き変えを敢行し、同時にアクセルを開ける。



この地点からは目視で出口が見えはじめる。
立ち上がった左側に店があるので、その前は飛ばさない、用心して通過する。
そのため。立ち上がり加速を加減し始める…。


……と、後ろで拝見しつつ、勝手にST4さんのライディングを中継しながら走る。
身勝手なことをしてすみません。
でも、一緒に走る醍醐味の一つは、その人の走りを解釈して、自分と違うところ、似ているところ、自分が学ぶべきことを見つけることにあると思う。

なんか、ものすごく楽しませていただいてしまった。

もうひとつ。


さっきより高速気味のコーナー。
もう店もなく、ここにはわき道もないので、割と安全に飛ばせるポイントだ。
コーナーにアプローチするST4さんとR65。



向き変え直後。

コーナーに吸い込まれるように、加速しながらインへと入っていく。




登りということもあり、向き変え後はすぐにアクセルを開けてトラクション旋回に入る。
リヤタイヤが内向力を発揮して、ラインをぐいぐいイン側へ変えていく。
最高に気持ちいいコーナリングの瞬間だ。




さっきと違ってブラインドと言えど路肩が広く、見通しも比較的よい。
そこでST4さんもイン側へ、さらに旋回を強めつつアクセルをワイドオープン。
ただ通過速度を上げようとしても、この気持ちいいラインは出ない。




ST4さんの位置からは出口が見え始める。
ここも次が右のS字カーブになっている。
フル加速したままアウトまで膨らんでいくのを中止、変更する。





インに引き締まったラインを通り、それがそのまま次のコーナーのアウト側にいることになり、余裕が生まれる。
また、前方に先行車を発見。すぐに加速を弱める。




立ち上がり、右コーナーが見えている。先行する車に威圧感や不安を与えないように、加速をやめ、巡行モードに戻す。




十分な車間距離を保ち、穏やかに曲がっていく。
このときもL1ラインをキープ。
だらだらとインに寄らない、張りのある弓型の曲線を描きながら、カーブを走っていく。
柔らかい白木に、彫刻刀できれいな円弧を刻んでいくような走りだ。



……。
こんな感じなので、車の後ろについてしまっても、ゆっくりになっても、全然ダレないで走れるのだ。
楽しい、楽しい、と思っていたら、早くも毛無峠を下って朝里の郷まで降りてきてしまった。


「どうします?」
「いやあ、走るの楽しいですね。」
「うん、楽しいですね。」
「なんか全然走り足りない感じだなあ…」
「そうですよね。じゃあ、予定通り…」
「定山渓経由で行きますか。」
「そうしましょう。」



…というわけで、予定通りのコースではあるが、道道1号を定山渓方面へ、朝里峠を越えて走ることになった。
いや、二人とも、走るの好きだなあ…。(つづく)

2 件のコメント:

  1. 樹生様
    こんにちは、ST4です。
    自分の走る姿を見るのは初めてです。
    沢山撮って頂き有難うございます。

    でも樹生様の後ろでラインや姿勢等勉強しながらの方が楽しかったです(笑)
    2次旋回時のラインの自由度を増やす事が次の課題となりました。
    進入時から見直すつもりです。
    まだまだ先を走るほどの腕がない(笑)緊張しました。

    快走はできない時間帯でしたが、自分も今年初の充実したライディングで
    疲れが出てきていた頃でしたので、十分に楽しめました。
    あそこからもう一つ峠があるのは嬉しいですよね。
    朝里峠に感謝です(笑)


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    1. ST4さん、こんにちは。
      勝手に解析してすみませんでした。
      私、走る人を見て、いろいろ解釈する癖があるんです。

      一般的には、前の方がいろいろ気をつかいますよね。
      走りながら交代しつつ、最終的には前、後ろ半々くらいの比になるように
      走るようになると、これは相当にこなれたペア走と言えると思います。
      2台には2台ならではの走りのノウハウがあって、これは雑誌などでもあまり語られませんが、
      かなり面白いテーマだとは思います。

      喫茶店から道の駅まで1時間20分、ノンストップで走ってしまったのは、僕のプランニングがちょっとまずかったかなと思っています。
      ショートカットになっても、40分くらいで道の駅につくようにした方が、一日全体の走りと休憩のバランスとしてはよかったかなと。
      プラン、ルートを磨くための教訓にしたいと思います。

      毛無峠、ゆっくり走っても、走りだけ考えても面白いですね。
      これも再発見でした。

      そしてあれで走りたくなって朝里に向かったのですが、これが気持ちよかった。
      朝里峠、感謝ですね。

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