2017年2月12日

選べるということ。

ホンダのスタンダードビッグネイキッド、CB1100が、
CB1100,CB1100EX,CB1100RSの三展開となりました。
出典はホンダのHPから。(以下同)

EXはハンドル高もハイ、ロー、2タイプ復活して選べるようです。

これはEXハンドルが低いのは<typeⅡ>。高い方が<typeⅠ>です。
前後18インチ、スポークホイール。
サイドカバーの前、インジェクション後ろにあるカバーに縦に入る銀色のラインは初代CB750Fourへのデザインオマージュでしょうか。
サイドカバーの前の方に並んでいた縦のスリット、その縦ラインを思い出させるようなデザイン処理です。

それにしても、CB750Four、美しいですね。



これは「EX」や「RS」のつかない、「CB1100」。
CB1100は、シリーズ全車にABS標準装備となりました。
加えてこのEPackageには、ETC車載器、グリップヒーターおよび専用インジケーターランプも装備されています。

マフラーが左右2本出しになって、騒音、排気ガス規制が世界標準化されたのに伴い、国内専用仕様がなくなり、音量は若干上がっているとのインプレッションは丸山浩選手が言っていました。
電気自動車やハイブリッド車の低速時の無音走行が危険で、人工的に音を出すようにすることなど、騒音をできるだけ小さく、が無条件正義だった時代も終わりを告げたようで、なんだか感慨深いです。

EXに比べると、見た目はスポーティーに見えます。
燃料タンク容量は、EX,RSが16ℓまで上げたのに対して、CBは変わらず、公称14ℓのままです。

写真出典はこちらから。
RSは見た目がさらに走りに振ったように見えます。
このルックス、どこかで見たことがあるような記憶が…。
CB1100が発売されて間もなく発表された、龍神Japanさんのコンプリートマシンに雰囲気が似ているのでした。

CB1100RSの特徴は、前後17インチホイール。
リヤは180サイズのワイドタイヤ(CB1100,EXは140サイズ。)

ショーワの前後サスペンション、ブレーキマウントはラジアルタイプ。
リヤスイングアームも独自のアルミ各断面。
攻め立てても、すごく応えてくれそうですね。

今回、CB1100シリーズは、3タイプ揃ったわけですが、
海外では、EXとRSが標準となるようです。
確かに、フランジレスの燃料タンク、乗り心地を向上させたシートなど、新デザインはEXとRSに充てられ、CB1100は、「旧モデル」の雰囲気がします。
しかし、ホンダはちゃんと、CB1100にも、新しいエンジンや、新サスペンションを組み込んでいます。スリッパ―クラッチなども装備して従来から5万円アップにとどめたのは偉いというべきでしょう。
もしかしたら、GPz1000RXや、ZX-10、ZZR1100が発売された後もカタログから消えずに販売され続けたNinja、GPz900Rのような存在に、CB1100はなっていくのかもしれません。
いや、まったく個人的な感想を言えば、そうなってほしいような気がします。
今回のEX,RS。
この2つのタイプは、いわば、ユーザーのニーズの多様化に合わせて、選択肢を増やしたもの。
走りと総合性能のキング、CB1300市リースがある中、空冷CB1100を選ぶユーザーは、「鷹揚さ」や、「ただ風の中を走りたいという気持ち」を抱いている層。

だから、よりゆったりとして、豊かな感じに。
フランジレスタンク。手作業でしあげたサイドカバーのヘアライン。前後18インチスポークホイールも、スタンダードな雰囲気を醸して。


対して、前後17インチ、ワイドタイヤ装着のRSは「その脚まわりに、その佇まいに。走りを愉しむ、というスタイルを貫く。」というデザインコンセプト。
HPのデザインイメージ写真も下のようなもので、サーキット志向ではなく、バイク好きの大人が節度を守りつつ、でも「走り」を「愉しむ」という、「スタイル」を掲げて、そのことそのものを楽しんでいる感じですね。

痒い所に手が届くというか、消費者のニーズに細かく応えるというか、そういうモデル展開は、最近ではむしろ、BMWの「RnineT」シリーズなど、外国のモデルから来ているような気がします。
それを、ずっとユーザー本位で続けてきたのは、アメリカのハーレーダビッドソンです。
細かいバリエーションを多く揃え、ユーザーの走る愉しみに答えようとしてきました。

しかし、ここ最近のBMWなどに代表される「選べる」細かさには、私は個人的にはあまり乗れない感じを受けています。

EXタイプのホンダHPの写真。
エンジニアブーツタイプのライディングブーツ。
ウォッシュ加工を施していない厚手のブルージーン。
薄手のライダース。ツーリンググローブ。
ショルダーバッグ。
森の中を走るシチュエーションはしかし、日帰りツーリングというよりは、
ふらっと走りに出た感じ。
自由に、気の向いた時に。
ライディングを、安全に考慮しながらもカジュアルに、大人の余裕で楽しむ。
そういう上質な趣味を感じさせます。


RSは一転。
背景は都会。しかし、この道はなんでしょう。いや、道なのか?
全身黒のライダー。
上下の革はプレーンで硬質な質感。
足元はレーシングブーツでなく、エンジニアブーツタイプのライディングブーツ。
そしてフルフェイスのヘルメットの帽体は、まるで70年代のもののよう。
この走りのイメージ。
安全性には万全を期している。
でもレーサー的ではない。
最新のスタイルも取らない。敢えてのレトロ感。
う~ん、「わかってるライダー」の、上質な嗜み。

………。

でも。

いかにもコマーシャリズムの世界で生きてきた人の、おしゃれでハイセンスでクリエイティヴな演出はいらない。
……そう、思ってしまうのです。
われながら、ひねくれてますけれど。


私の全く個人の好みの話をすると、CB1100の最大の魅力は、何かに特化していないことだった。

追求したのはあくまでスタンダードさ。
ネオレトロなセグメントには入ってしまうけれど、例えばEXのような使用も、RSのような使用も、それはライダーの走りと生活スタイルのなかで、徐々に決まったり、変化したりするもの。
1台で、RSのようにも、EXのようにも楽しめ、それは、もしかしたら10年くらいの長い付き合いの中で、年齢や生活の変化とともに徐々に変わっていくもの。
そして、その変化をも真ん中で受け止めて、さらに深い懐を見せてくれるマシン。

ライダーとともに人生のステージを歩き、渡っていくマシン。
それが私のイメージするCB1100です。

市販バイクのメインストリームにおいて、性能やスペックにしのぎを削る時代は終わった。

お客様にいかに「バイクのある生活」を提案できるか。
社会や人生の中で、きちんと位置付けられ、健康で、安全で、豊かなバイクライフを提供する。
そんなふうに、バイクマーケティングも変わってきているように思います。

ハーレーは、日本車が怒涛のスペック拡大戦略でレースでもマーケットでの圧勝していたときに、現在と同じ「ハーレーのマシン」を作ることに徹して、一時危機的な経営状態に追い込まれました。
ハーレーダビッドソンは、売れても、売れなくても、そういうバイクづくりしかできない、それを推し進めてきたメーカー。
(もちろん、売るための、私から言わせれば「ひどい」モデルも出したり、結構頑張っているのですが、根っこは変えられない気がします。)

ビモータは、自分たちのいいと思うバイクを妥協なく作り続け、何度も倒産しました。
最近では、アグスタがそういう感じですね。でもアグスタ、本当に作りたいバイクだけを作っていた方がよかったんじゃないか、規模は小さくても…と思うのは、甘ちゃんの戯言か。


どう使うかは、俺が決める。
愛車と自分とのストーリーは、走ることでしか始まらない。
走り出してみなければわからない。

だれかが用意した、おあつらえ向きのバイクライフをたどって、バイカー気取りをしたいわけでも「モテおやじ」になりたいわけでもない。(ほんとはなりたいけど、そんな幻、すぐ醒めるし、すぐ飽きる)

どんなに走っても、飽きることのない、少々使い方を外れても、へこたれない、
変なスタイルを押し付けてこない。
素のバイク。

等身大で自分と歩めて、そしてトライしてみて引き出しの多さ、その奥深さ、ライディングの楽しさ、バイク旅の楽しさの扉を開けてくれるような、圧倒的なスタンダードバイクこそが、ほしい。

CB1100にEXとRSが生まれたことは、歓迎できる。
でも、CBというモデルの本当の価値は、スタンダードのCB1100にある。

真ん中の、スタンダードの凄さを、もっとアピールしてほしい。

そんなふうに思ったのでした。



【注意】本記事は、バイクド素人の本ブログ管理人=樹生和人があくまで個人的な感想を述べたものです。他の考え方、他の人の嗜好を否定するものではありません。いろんな考え、意見があり、そうした多様なバイク観があって、自分だけのバイク論を持っている…。または、そうしたことをことさらに意識せずとも、すなおにバイクに乗り、走る、ともに暮らすことで、バイクライフが豊かになっていくことを決して否定するものではありません。

4 件のコメント:

  1. CBは正統派で好きなんですが、あの大きさと
    重量はどれくらいなんでしょう?
    250㎏は越えてしまうのかな~。
    あまりに重いと考えちゃうね!
    走り出せば軽いのかもしれないけど
    ちょっとね~~♪

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    1. いちさん、こんにちは。
      CB1100の重量は252kgくらいですね。
      でもCB1300からは20kgくらい軽いですし、
      低重心ですので、まあまあの感じかと思ったりもします。

      …といっても、僕自身軽いV7を選んでいますが…^^;)

      好みのバランスは人それぞれですよね。
      軽量級の小気味よさを愛する人もいれば、
      弩級のフラッグシップでないと…という人もいる。
      バイクも、人も、本当にいろいろで楽しいです。

      …で、僕は、「一台で何でもタイプ」みたいです。

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  2. 樹生さん、こんにちは。

    CB1100 の6速std(無印)に乗っています。


    新しいCB1100は、私はあまり好きになれません。
    何だかいじり壊しているような気がします。
    売れると思えない。

    何にもしなかった方が「素材」として人気を長くキープ出来たんじゃないかな、
    と思ってしまいます(6速は助かってますが)。


    因みにCB1100、重いです。

    走っていると感じませんが、
    実は先日、初めて立ちごけをして重さを痛感しました。

    暖機を全くせずに発進してしまい、最初の一時停止から右折、
    という所でエンストしてして、傾いたまま停止。
    もはや支えられませんでした。
    そのままゆっくりとガシャン。

    2年間まったくの無傷だったのに。
    ショック。

    お陰で生まれて初めてのバンパーの無い大型車の引き起こし。

    自分にもかろうじて起こせる、と分かったのは収穫でしたが、
    今は腰が筋肉痛です。

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    1. モリシーさん、こんにちは。

      デザインは人によっていろいろ意見が分かれるところですが、
      僕もCB1100の、もとのデザインが一番いいと思います。
      好きです。

      でもバイクデザインって、写真で見るのと、実際に見るのとで印象がだいぶ違ったりしますよね。
      ホンダのことですから、実車の方が写真よりずっとかっこいいかもしれません。
      でも僕はやっぱりEXやRSに振るのでなく、素のCB1100がいちばん好きなんですけれど。

      たちごけ、大変でしたね。
      僕も元の愛車、GPZ1100の時は、倒したり転んだりしたときはほんとに困りました。
      270kgだったので、渾身の力で起こすって感じで。

      V7になって、装備でも200kg切っているので、
      こちらの取り回しはだいぶ楽になりました。

      筋肉痛、お見舞い申し上げます。
      早く治るといいですね。

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