2017年2月7日

「迷走」さん「MotoGPライダーのライディングフォーム」へのレスポンス。(3上)


迷走」さんMotoGPライダーのライディングフォーム」へのレスポンス。
第3回は、マーベリック・ビニャーレス選手のライディングです。
セパンテストで、3日目、総合トップの最速タイムを叩き出した、ヤマハのビニャーレス選手。
ホンダのマルクマルケス選手と比較しながら、例によってど素人、ライテクオタクの妄想を続けましょう。




セパン3日目、2番手タイムはホンダのマルク・マルケス。
全開記事にも出てきましたが、今回はスライドしまくりではなく、むしろロッシ、ストーナーに比べると、スライド角は少ない方です。

マルケスと言えば、豪快な進入からクリップまでのスライド。
80年代のスペンサーを彷彿とさせる、鋭い倒し込み。そしてどんな状況だろうが、アクセルを開けていって、滑りながらもつじつまを合わせて立ち上がっていくような、そんなシーン。
最もグリップのいい最適解を常にぎりぎりのところで渡っていこうとするロレンソとは対極のように思えます。


象徴的なのはこのライディングでしょう。
マシンは深くバンクして、フロントもリヤもなんだかずるずる滑りながら、それでも曲がり、旋回加速して走っていってしまう。ライン変更はスライド量の調整で自在。
これは最速ラインというよりも、バトルに強いスタイルです。
切り返しや、クロスラインでのオーバーテイクは、本来ロッシの十八番だったもの。
それをやり返すような、このアグレッシヴなライディングスタイル。
この写真は、上の写真より旋回半径が小さく、しかもまだ立ち上がりというよりは旋回中。
バンクは深く、頭部はまだ、車体のセンター近くにあります。
あまりに早い倒し込み、そして大幅に自在に帰るスライド量をコントロールするには、このポジションがいいのです。これも、スペンサーに似ています。ただし、スペンサーよりもずっと伏せていますが。

対して、比較にしている後ろ向きの写真は、もう少し大きなコーナーの、しかも立ち上がり部分。もうスライド旋回から、トラクションを生かして脱出加速に移りたい部分です。
そこで、車体を起こしてその代わりに上体を思い切り内側へ入れ、重心を内側の低いところにおいて旋回を助けながら、前へと進む方向へと、荷重を転換していきたいところです。

マルケスの写真はこれ以上アップできないのですが、外足の使い方は、ストーナーやロッシよりもむしろロレンソに近いです。これはビニャーレスもそうなのですが、上体を大きくイン側へ伸ばすように落とし込む、このスタイルとも関係していると思います。
本来のバンク角よりもバイクは起きていて(起こしていて)、さらにアクセルを開けてのスライドが起きていますから、横Gは相当に大きく、しかも車体を外側へ目繰り返すようなモーメントが働いています。それに対抗して、この状態でバランスするために、上体は大きくイン側へ落とし込み、かつ、左足全体で、全身をぶら下げるように、別の言い方をすれば、左足をひっかけて、イン側へマシンを引っ張り込むように荷重をかけ続けています。
その状態で遠心力とバランスしているわけです。
だから、外足のホールドは、かなりタイトになります。
これが静止状態なら、上体の荷重は腕でもかなり支えることになりますが、猛烈な旋回から立ち上がりの加速状態にあるため、上体の荷重は加速Gによって、お尻の方へかかります。

ストーナーやロッシが大きくスライドさせながらも美しい力の抜けた(かのような)フォームだったのに対して、ロレンソ、ビニャーレス、マルケスは、緊張感のある、車体を起こしつつ旋回加速から脱出加速に移してるのに、上体はイン側へさらに巻き込もうとしているという、複雑さを見せています。

二人のフロントタイヤの向きを見てみましょう。
両者とも、かすかにカウンターステア、逆ハンドルになっていますが、それは、本当にわずかですね。
つまり車体の進行方向から言えば、前後輪ともにイン側に切れてコーナリングフォースを発生させた状態で走っています。
スライド走法の最も効率的な走りは、(大雑把に乱暴に言えば)ステアリングがまっすぐな状態、ゼロカウンター状態でのスライドです。
実際にはリヤのスライド量の方が大きいのに、ゼロカウンターを維持しながら、まっすぐ直線に向かって加速しようとしている。
二人の写真からはそういう意志を感じます。

おっと、ビニャーレスのフォームについて、詳しく述べる時間が無くなってしまいました。
ちょっと連載がしつこくなりますが、続きは次回で。

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