2017年6月24日

言問(2)

忙しさと疲労で、記事の更新が停まってしまった。再開します。
6月18日(日)、朝6時半、家を出て北へ向かった。
札幌市街地を抜け出し、国道275号線を北上する。
2017/6/18 7:54
道の駅「つるぬま」で休憩した。


いつも最初の休憩に使う当別のコンビニは通過した。出発前にゆっくり朝食を食べ、体をほぐしてから出発したためだろう。止まるリズムにならなかった。
つるぬまでは、トイレと水分補給をと思ったのだが、店が開く時間でもなく、自販機の飲み物はつめたいものばかりだったので、そのまま出発した。
先にいたバイクと人たちと会釈を交わして、

「おさつない」のあたりから増えてきた交通量を避けるように西側の道に逃げる。
JRの踏切を渡って、山側の道を新十津川まで走った。
新十津川からまた国道275に戻り、北上して道の駅「うりゅう」に寄らずに通過して道道47号に入った。妹背牛、深川へと抜けるこの道は地図でみると車で混みそうだったが、実際に走ってみると、ほぼがらがら。田園風景が左右に広がり、拍子抜けした感じ。これからもこの道は使おうと思ったほどだった。

深川市街地の手前で道道281号線へ。快走路を快適に疾走して、再び国道275に合流する。
途中、一台バイクを追い抜いた。
車線左側を制限速度プラスアルファで、緩やかに流すネイキッド。
白いウェアとヘルメットの走る様子は、得も言われぬ余裕がある。
ああ、こんなふうに美しく走る人もいる。
手を上げ、挨拶して、追い抜かせてもらう。
ヤマハのXJR系ネイキッドだった。

雨竜川沿いの浅く狭い谷を快適に行く国道275。
少し行くと、高橋峠のイチイの看板が。
2017/6/18 9:06

通過してから戻ってみたが、どこにも森の中に入っていく歩道がない。
どこだ…?と思っていたら、道の脇に立っていた樹がそれだった。
2017/6/18 9:07
なるほど、美樹が太く、まわりの若く、勢いのある樹に囲まれて、小さく見えるが、これは老樹だ。
由来等は不明だが、深川市の保護樹木に指定されている。
2017/6/18 9:08
看板の写真では、足元の道はダートになっていて、道幅も今ほど広くない。
道路整備も年々進んでいるのだ。
2017/6/18 9:08

イチイの巨樹、老樹にはよくあるのだが、主幹が枯れて脇の枝が緑で樹形を作っている。
以前はもっともっと高く大きい木だったはずだ。
このあたりの原生林も一時、軒並み伐られているはずだ。この樹はなんらかの理由で伐られることなく残されたのだろう。

樹を見上げて、ぶんやりしていたら、さっき抜いたXJRのライダーがやってきた。
僕が手を振ると、にこっとわらって、通過していった。
ショーエイのJクルーズ。笑顔が素敵な紳士だ。

安定したペースで、去っていく。

僕も出発しよう。
イチイに僕なりの挨拶をささげ、ゆきかぜを走らせる。

…と、2~3kmくらい行くとまた道端に大きな看板が。
2017/6/18 9:15
「鷹泊岩」とある。この辺りはトンビが多く。いつもその岩にトンビが止まっていたので、鷹泊岩と名付けたとある。
2017/6/18 9:15
雨竜川の対岸に見えている大きな岩がたぶんそうなのだろう。

このあたりまで来ると、道北という感じがひしひしと感じられてくる。
なんというか、人の影やにおいが薄くなってきているように感じるのだ。
もちろん、アスファルトの道路は快適で、整備は行き届き、「開発」はしっかり進行していることを強く感じる。
しかし、風景全体の中で、人間がなじみ切っていない感じ。野生というか、自然というか、そちらの方が勝っている感じが、じわじわと増してくるように感じる。

2017/6/18 9:23
国道275で幌加内峠を越えると、平らなところでも牧草地と道路、電線、電信柱、標識いがい、あまり人工物を見ない瞬間が増えていく。

本州で、こんな状態のところはあまり見たことがなかった。
北海道に来てからは、よく見かける光景だ。

北上を続け、のども乾いてきた。
幌加内の中心地も通過し、道の駅「森と湖の里ほろかない」で休憩した。

トイレ休憩と缶コーヒー。
身体をほぐす。まだ朝の9時半過ぎだというのに、すで疲れを感じる。
これはツーリングの疲れというよりも昨日までの疲れだ。
いずれにしても、無理はできない。
身体を屈伸し、凝りをほぐすようにし、飲み終えた珈琲は捨てるゴミ箱が見当たらないのでつぶしてタンクバッグに入れ、ヘルメットをかぶってグローブをはめていたら、バイクが1台入ってきた。

XJR1200、jクルーズのヘルメット、白いゴールドウィンのウェア。
さっきの人だ。
先方も気づいたのか、停車したらこちらに歩いてきた。
「こんにちは。」「こんにちは。」挨拶を交わす。
話してみてもとても気持ちのいい、紳士だった。
きれいな白髪。ひきしまった、でもとても穏やかな表情。
1990年から持っているXJR1200で今日は走りに来たという。
ただものではない。

そんな感じがしたが、あまり詮索は失礼だろう。そのまま数分間、歓談させてもらって、別れた。
素敵な出会いだった。

さて、さらに北上。国道239との合流点、そばで有名な「霧立亭」の前には、たくさんのバイクが停まっていた。
僕は通過する。そのまま北上、朱鞠内湖に着いた。
2017/6/18 10:25
ゆきかぜの走りは快調。
北のダム湖、朱鞠内湖は人造湖としては日本最大の面積を持つ。ダム湖には数多くの中島があり、ダム湖の入り江は入り組み、全体を見通すことはできない。
この写真でも、下の写真でも対岸に見えているは中島で、湖の東西幅の五分の一にも満たない距離しか見えていない。

2017/6/18 10:28
ちょっとの寄り道だけで、朱鞠内湖を出発することにした。
もう、朝の11時が近い。
少し先を急ぐことにしよう。
ここまで来たからには、行きたいところがある。
行けるかどうか、走りながら考えてみることにした。
(つづく)

2 件のコメント:

  1. 樹生様
    こんにちは、ST4です。
    私はこの日、海側より霧立峠に入り往復しており、
    似たような時間帯に近くに居りました。
    この辺りまで来ると、私も自然の気配の濃い道が多いと感じます。
    路肩の見通しも悪く、動物が出て来そうな緊張感はありますが、
    自制することなく適度な速度調節ができ、
    人も少ないので、走った感覚がより感じられるようで、私は好きです。

    私も朝、日帰りで天売島に向かうジェベル乗りの方とお会いしました。
    振る舞い、走りがとても紳士的な方でした。
    単純なのですが、そのことで、気持ち良く過ごせた一日となった気がします(笑)

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    1. ST4さん、こんにちは。
      ST4さんも近くを走っていたのですね。
      霧立峠付近は、走るということに関して言えば、北海道の中では数少ないロングワインディング快走路だと思います。
      走りに気持ちよく、でも風景は僕にはいつも少し寂しく感じて、不思議な気持ちがします。

      走りのきれいな人、つつましくて、紳士的な人に会うと、ほっとします。
      でもそういう人の方が、じつはその走りに唸らされることが多くあります。
      無茶に飛ばしたりはしないのに、走りに圧倒されるというか、
      見とれてしまう感じになるのは、たいてい一人で紳士的に走っている人が多いです。

      そういう出会いは、とても気持ちいいものですね。
      なんだか、何度も、じんわりと、うれしくなります。

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