2018年10月2日

ただ走り回る。


9月30日、日曜日。
仕事は続き、疲れは溜まり、全身の倦怠感や、痛み、顔の筋肉の軽微な痙攣なども生じてきていた。……。
10月の6日を過ぎれば、少し楽になる(はず)なのだ。
もうちょっと。
日曜日、仕事はあるが、午前中、時間が空いた。
寝ていようかと思ったが、それよりも、走りたがっている。
身体や、心が。
気をつけて。
ちょっとだけ走ることにした。






家を10時前に出る。1時半くらいまで時間がある。
雨具をしっかり持ち、空を見上げて晴れている方へ。
中山峠(国道230号)方面へ走り出した。
まだ、紅葉には早いけれど、早い樹は少しずつ色づき始めている。


峠近く。雲が厚く、風はひんやりとして、今にも雨が落ちてきそうな空模様。
秋が深まっているのを感じる。
やや肌寒い中、秋冬用のウェアは正解だった。
寒くもなく、でも暑くもなく。
ひんやりした空気の中を、ゆきかぜは快調に走っていく。

峠をそのまま駆け下り、止まることなく、国道276号線を、喜茂別から京極町へ。
そのまま北上して、いつもの農道へやってきた。


羊蹄山。今日は雲を被っているが、この姿も雄々しく、美しい。
羊蹄のふもとの秋は、石狩よりも少し、進みが早いように思えた。



同じ場所、振り返ると、収穫した芋が、大型ケースに入れられて出荷を待っている。
イタドリの葉が、もう茶色く枯れ始めていた。
先日、カモの親子がいた水路は、もう水を抜かれて、コンクリの底を見せていた。


収穫の終わった畑。まだのところもある。
向こうに雲を被っているのは、ニセコの山々だ。

ちょっと風に吹かれたら、出発する。
今日は時間がない。
身体も、心も、走ることを求めている。
あまり、止まらない。
トイレ休憩もしなかった。
はっきり止まったのは、ここだけになった。


走りながら。

畑の向こうに羊蹄山が見え、


農道は広く、交通量はほぼ皆無で、
ゆきかぜのおとなしめの排気音が、ぱかぱかと、響く。
もっと回せば、たくましい音になるのだが。


「緑の白樺」も、今日は止まらない。
あっという間に、通過していく。


そこから、走りながら南をちらっとみると、羊蹄山と、向こうに尻別岳が見える。
厚い雲。圧倒的な風の質量。
今夜から台風24号の影響下に入る予定だ。
(北海道の石狩や後志など西部は、今回の24号ではそれほど大きな被害はなかった。)

風の中を走るのは、ちょっとつらいが、とても自由だ。
この自由を、僕は欲していたのだ、と、車上で思う。

シールドをあげると、風に湿りけを感じ、同時に、秋の質量を感じる。
走りながら思い切り深呼吸する。

国道393を走って赤井川村へ入る。
いつもは寄る道の駅も、そのまま素通り。
キロロ~朝里方面へ。
ただ走っていく。


やっぱり走りながら。
乱れる風に、乱れるススキ。
乱れずに立つ、奥の山。

走り去る、僕とゆきかぜ。

そのまま毛無峠を越えて、小樽市朝里へ。国道5号で札幌市に帰ってきた。

秋の中、ただ走り回っただけ。

なんだか20代前半の、夜中、景色も見えないのに、広島県の農村をつなぐ山道や、温度の瀬戸から島々の海岸線を、ただ走り回った、あの頃を、少し思い出していた。

ただ走り回る。
こういう走り方もしていたなあ…。
若くて、苦しい時期だった。
今は仕事に追われての逃避行だが、ただ走り回るこの気持ちは、
どこかで通じているのだろうか。

そんなふうに少し感じた、9月最後の日曜日だった。

4 件のコメント:

  1. ”ただ走り回る”
    同じところばかり走り回ってる僕は、この響きが近いのかも知れません。
    なんだか嬉しくなりました^^

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    1. Hiroshi Mutoさん、こんにちは。
      走って、休憩して、景色眺めて、写真撮って、風に吹かれて、散歩して…
      なんてことが、ここ数年多くなったなあ…と、改めて思いました。
      20代の頃は、ただ、走り回っていたなあ…と。他に何もしないで…。

      Hiroshi Mutoさんも、やはりそのクチですか、そして今でも…?

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    2. まさしく、そのクチです。
      20代の頃は、行く先決めて景色を眺めることはあっても、それ以上はほとんどなし(お金もなかったですし)本当に走り回ってただけ。(+ほんの時々タンデム)
      写真を撮ったり、行った先の美味しいもの食べたりと、楽しみは多少増えましたが、基本何も変わってないですね(成長してないとも。。。苦笑)
      バイクとの対話の間口は少しは広がってる、、、かな?

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    3. Hiroshi Mutoさん、
      やっぱり、御同輩。「RIDER世代の生き残り」ですね。
      いつまで、どこまで、走れるか、ゆっくりじっくり、
      人生も走り回りたいなと思います。

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