9月30日、日曜日。
仕事は続き、疲れは溜まり、全身の倦怠感や、痛み、顔の筋肉の軽微な痙攣なども生じてきていた。……。
10月の6日を過ぎれば、少し楽になる(はず)なのだ。
もうちょっと。
日曜日、仕事はあるが、午前中、時間が空いた。
寝ていようかと思ったが、それよりも、走りたがっている。
身体や、心が。
気をつけて。
ちょっとだけ走ることにした。
家を10時前に出る。1時半くらいまで時間がある。
雨具をしっかり持ち、空を見上げて晴れている方へ。
中山峠(国道230号)方面へ走り出した。
まだ、紅葉には早いけれど、早い樹は少しずつ色づき始めている。
峠近く。雲が厚く、風はひんやりとして、今にも雨が落ちてきそうな空模様。
秋が深まっているのを感じる。
やや肌寒い中、秋冬用のウェアは正解だった。
寒くもなく、でも暑くもなく。
ひんやりした空気の中を、ゆきかぜは快調に走っていく。
峠をそのまま駆け下り、止まることなく、国道276号線を、喜茂別から京極町へ。
そのまま北上して、いつもの農道へやってきた。
羊蹄山。今日は雲を被っているが、この姿も雄々しく、美しい。
羊蹄のふもとの秋は、石狩よりも少し、進みが早いように思えた。
同じ場所、振り返ると、収穫した芋が、大型ケースに入れられて出荷を待っている。
イタドリの葉が、もう茶色く枯れ始めていた。
先日、カモの親子がいた水路は、もう水を抜かれて、コンクリの底を見せていた。
収穫の終わった畑。まだのところもある。
向こうに雲を被っているのは、ニセコの山々だ。
ちょっと風に吹かれたら、出発する。
今日は時間がない。
身体も、心も、走ることを求めている。
あまり、止まらない。
トイレ休憩もしなかった。
はっきり止まったのは、ここだけになった。
走りながら。
畑の向こうに羊蹄山が見え、
農道は広く、交通量はほぼ皆無で、
ゆきかぜのおとなしめの排気音が、ぱかぱかと、響く。
もっと回せば、たくましい音になるのだが。
「緑の白樺」も、今日は止まらない。
あっという間に、通過していく。
そこから、走りながら南をちらっとみると、羊蹄山と、向こうに尻別岳が見える。
厚い雲。圧倒的な風の質量。
今夜から台風24号の影響下に入る予定だ。
(北海道の石狩や後志など西部は、今回の24号ではそれほど大きな被害はなかった。)
風の中を走るのは、ちょっとつらいが、とても自由だ。
この自由を、僕は欲していたのだ、と、車上で思う。
シールドをあげると、風に湿りけを感じ、同時に、秋の質量を感じる。
走りながら思い切り深呼吸する。
国道393を走って赤井川村へ入る。
いつもは寄る道の駅も、そのまま素通り。
キロロ~朝里方面へ。
ただ走っていく。
やっぱり走りながら。
乱れる風に、乱れるススキ。
乱れずに立つ、奥の山。
走り去る、僕とゆきかぜ。
そのまま毛無峠を越えて、小樽市朝里へ。国道5号で札幌市に帰ってきた。
秋の中、ただ走り回っただけ。
なんだか20代前半の、夜中、景色も見えないのに、広島県の農村をつなぐ山道や、温度の瀬戸から島々の海岸線を、ただ走り回った、あの頃を、少し思い出していた。
ただ走り回る。
こういう走り方もしていたなあ…。
若くて、苦しい時期だった。
今は仕事に追われての逃避行だが、ただ走り回るこの気持ちは、
どこかで通じているのだろうか。
そんなふうに少し感じた、9月最後の日曜日だった。
”ただ走り回る”
返信削除同じところばかり走り回ってる僕は、この響きが近いのかも知れません。
なんだか嬉しくなりました^^
Hiroshi Mutoさん、こんにちは。
削除走って、休憩して、景色眺めて、写真撮って、風に吹かれて、散歩して…
なんてことが、ここ数年多くなったなあ…と、改めて思いました。
20代の頃は、ただ、走り回っていたなあ…と。他に何もしないで…。
Hiroshi Mutoさんも、やはりそのクチですか、そして今でも…?
まさしく、そのクチです。
削除20代の頃は、行く先決めて景色を眺めることはあっても、それ以上はほとんどなし(お金もなかったですし)本当に走り回ってただけ。(+ほんの時々タンデム)
写真を撮ったり、行った先の美味しいもの食べたりと、楽しみは多少増えましたが、基本何も変わってないですね(成長してないとも。。。苦笑)
バイクとの対話の間口は少しは広がってる、、、かな?
Hiroshi Mutoさん、
削除やっぱり、御同輩。「RIDER世代の生き残り」ですね。
いつまで、どこまで、走れるか、ゆっくりじっくり、
人生も走り回りたいなと思います。