2023年8月31日

RIDERS CLUBを読み直し始めて…。

僕にとって「ライダースクラブ」は、非常に大きな意味を持つバイク雑誌だ。
特に1980年代半ばから、2000年頃までは、毎号繰り返し、それこそ擦り切れるくらい読みふけった。
青春のバイブルと呼んでもいい。柄谷行人とRIDERS CLUB、この二つを読み、バイクで走りながら、僕は20代、30代の自分を作ってきた。そう言えるほど、僕に強く、大きな影響を与えた雑誌だ。


その深い内容は、読んでも読んでも理解できなかった。
世の中には「言葉だけでは理解できない言葉」がある。
例えば、バスケットのレイアップシュート、「リングの上にボールを置いてくる」という言葉は、分かったようでわからない言葉だ。分かるのは、「それができたとき」だ。
また、素材や加工、機械的基礎知識がないと分からない表現も多い。
手加減なしの表現は、わからないことだらけでも、読んでも読んでもわからなくても、尽きせぬ魅力があった。難しいからではない。難しく書かねば届かぬところを、何とか書こうとして悪戦苦闘している文章、自分にも読者にも、「どうせこれくらいでしょう」などという舐めた切り方を許さない文章。
それにしびれた。
そのライダースクラブ創刊号~126号(少し欠品あり)のセットをこの春に購入した話は、以前したが、仕事やプライベートの多忙や疲労により、なかなか読み進められていない。
しかし、これは、10年以上かけて読み解いていく価値のあるものたちであることを、少しずつ齧り読みしている今の段階でも確信した。

そして、驚いている。

わかる。理解できる。
もちろんすべてではないし、分かったつもりになっていることも多々あると思うのだが、約40年前に何にもわからずに読んでいた内容が、今は自分の身体の中にある走行感覚とリンクして、理解できるのだ。これは本当に意外だった。

実際にその記事のマシンにふれたり、音を聞いたり、走らせたりすることができれば、それはまた「ああ!!、全く分かっていなかった!」と思うことになるだろう。
しかし、それくらいは、分かるようになっている自分に気づいた。

もちろん、趣味に過ぎないのだが、バイクと出会って40年間、いつも、心の大事なところにバイクがあり、その走りについて、自分なりに真剣に考え続けてきた…。
その蓄積は、やはりバカにならないのだと、驚くとともに、しみじみしているところだ。


出典「RIDERS CLUB №3(1978、8月号 11p) 

根本健は、最初期は編集部に所属していない。
創刊当時はヨーロッパにいて、プライベーターとして世界GPに参戦していたのだ。
創刊号から数号は、巻頭に2頁で「根本健だより」を連載している。

そして第3号には、コミネのツナギの宣伝として、根本健がフィーチャーされている。

若い!そして不敵な面構え。

こいつか!!こいつが根本健か!

出典「RIDERS CLUB №3(1978、8月号 11p)

ああ、本当にぞくぞくする。

1977年から1987年までの10年間は、バイクが大きく変わる時期でもあった。
特に大きかったのはラジアルタイヤのMCへの進出と浸透。
空前のバイクブームの隆盛と衰退。
レーサーレプリカの登場と、ポストレーサーレプリカを巡る試行錯誤…。

RZが、
CB-Fが、
KATANAが、
RGΓが、
Ninjaが、
RC30が、
登場してくる。

ルマンも、
900SSも、
KB3も、
db1も、
SRも、セローも、NRもこの時代だ。

そしてそれらに向かう全力のアプローチが、ライダースクラブを当時ある意味孤高の存在にしていた。
貴重な記録がここにある。

ノスタルジアではなく、未来に向けての遺産として、読み直すことに意義がある。

焦らず、じっくり。10年以上かかってもいい。読み進めていきたい。

2 件のコメント:

  1. ご紹介の雑誌は読んだこと無いですが、昔の雑誌には臭いや熱量が感じられましたよね。
    編集されてる方の強い想いがあった時代でした。

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    1. かっちんさん、こんにちは。
      そうですね、思い出しても、たくさんの雑誌がありました。
      ノスタルジアもあるんですが、それだけでなく、バイクという存在と、ライダーというあり方を、原点から考えていくためのたくさんのヒントが、あるような気がしています。

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