Kと久しぶりに走ったツーリング。
1日目は、とにかく走って走ってだったが、2日目は昼前には解散。
苫小牧から支笏湖へと登って行った。
Kの行きつけの喫茶店が支笏湖温泉にあると聞き、いつもは寄らない支笏湖温泉に立ち寄った。
駐車場が有料で、バイクも100円とられる。
100円が惜しいわけではないのだが、(惜しくもあるのだが^^;)
支笏湖温泉に停めても、温泉に入るつもりもないし、土産物屋や食事にも興味がないので、もう何年も立ち寄っていなかったのだが、久しぶりに行ってみたのだった。
Kのいう喫茶店はマスターが結構気まぐれで、開いているときといない時に規則性がないという。
つまり、気まぐれなのだ。
今日は…と行ってみたが、開いてなかった。
まあ、いいか、と少し散歩して、遊覧船の出ている船着き場のウッドデッキにあるテーブルと椅子の席に座り、ソフトクリームを食べたり、湖を眺めながらとりとめのない話をしたりと、まったりした時間を過ごした。
湖上には足こぎの白鳥型ボート、エンジン付きの遊覧船。
ひときわ高い山は恵庭岳だ。
札幌オリンピックの時には、国立公園内の樹を伐採して、この山に男女滑降のコースを作った。
恵庭岳から支笏湖へと駆け降りる滑降コース。
今、札幌市真駒内と支笏湖を結ぶ公道393号線は、その時、札幌から滑降コースへ直接行くために作られた道だ。
現在の感覚では信じられないような話だ。
その時には、ロープウェイも作られたそうだ。その遺構を訪問した記事をウェブ上で見つけた。
オリンピック終了後、コースは二度と使われることなく、植林され、道だけは残った。…のだが、
夏の間、素人目には、どこがコースだったかわからないのだが、Kによると紅葉に季節になるとはっきりと植生の違いが分かり、元コースが識別できるという。
40年以上経つわけだが、そう簡単には、自然の復元はできないということだ。
支笏湖温泉から湖の上を30分くらいで遊覧する定期船が出ている。
いつも明るい洞爺湖に比べると、支笏湖はいつもどこか暗く、厳しい表情を浮かべている。
しかし、この温泉郷付近から見る風景は、その厳しさが少し和らいでいるように見えた。
それは、観光開発された風景が、そう思わせているのかもしれない。
また、今日の穏やかで晴れ渡った天気が、そう思わせているのかもしれない。
Kと僕は、1時間余り、腰かけたまま、いろんな話をして時を過ごした。
駐車場には係員がいて、バイクも見ている。だから、盗難には遭いにくい。
そのための100円だと割り切れば、ここに停めて昼飯を食い、少し昼寝して帰る…というのもありかもしれないと思った。
さて、帰る。
Kは支笏湖線を走って恵庭方向へ降りていって帰ることにし、僕はそのまま札幌方向へ北上することにした。
そらは青く、湖面はさらに青く。
気持ちのいいクルージングができる湖畔の道を、Kと僕はゆっくり走った。
支笏湖が意外と広い。
少し走ると、観光船も来ないエリアに入っていく。
恵庭岳が徐々に近づき、湖の厳しい表情が、また表れ始める。
学生時代、Kと僕は同じアパートの向かい合わせの部屋に住んでいた。
そのころからバイク仲間だったし、音楽や、文学についても語り合ったりしていた。
大学祭のステージに二人でアコースティックバンドとして上がって演奏したこともある。
もう、30年の時が流れた。
それぞれに結婚し、仕事や子育てや、さまざまな問題に悩まされながら、結構お互いにぎりぎりのところで毎日を闘っている。
今回話してみて、それを改めて感じた。
バイクで走ってみても、20代前半のあの頃の、まだ何者でもないあの時期の感覚は、戻ってはこない。
あの頃はあの頃なりに現実は重く、バイクでどんなに走り回っても、逃げられるものではなかった。
今、バイクで走ることで逃げられるとは、もう思ってはいない。
だが、単に気晴らしや、楽しい趣味として、バイクと付き合っていくのでもない。
Kも僕も、お互いに自分とバイクとの付き合いは違うのだが、
どこか共通のものを、今回も感じた。
「また走ろう」
互いに約束して、Kと別れた。
(「Kと走る。」完)
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