2020年9月24日

秋の真ん中(3)

赤井川村のカルデラ盆地を後にして、「道の駅あかいがわ」でトイレだけを借り、国道393号線を南下して、俱知安町に入った。
いつもこのルートは北上してくるのだが、今日は南下してみた。
同じ道でも、進行方向によって見えている景色は全然違う。
393はどちらも美しい道だが、南下する方がダイナミックな景観の変化が楽しめる気がした。

2020/09/20 7:17
俱知安町で、市街地の北側をパスして、国道5号へ抜けようと考えた。
地図も見ずに、適当に走ってみた。
碁盤の目のように規則正しく畑の中を、東西、南北に走る道。
それは、ここが「開拓」された土地だということを物語る。
古くからの人々と自然の営みの中で自然に踏み固められ、できて、長い時間をかけて道として育ってきたものではなく、地図上で引かれた線に応じて道を作り、区画を決め、開拓した証だ。

僕は、羊蹄山麓の今の農の風景がとても好きだ。
何度も見に行きたくて、バイクを走らせる。
でも、
開拓前、原始の森が繁っていた頃、ここはどんな風景だったのだろう。
つい150年前のこと。

2020/09/20 7:18
今となっては、僕には想像できない、「つい最近」までの、この土地の姿が、
今日の秋空の下で、幻のように、脳裏に浮かび上がる。

でも、それは、僕の妄想。

実際の風景は、また大きく違ったものだっただろう。



2020/09/20 7:24

少し移動した。
道路が未舗装になり、それでも直線的に急坂で丘を登り、丘の上で両側の畑に挟まれながら、まっすぐ進んでいく。

この道は、どこまで行くのだろう。

7時半も近いと言うのに、光線がまだ朝の表情だ。
本当に陽が短くなった。



前方には羊蹄山。



側方には、豆畑。
カラカラに乾いて、もうすぐ収穫だ。



2020/09/20 7:25


鳥の声が聞こえ、赤とんぼが飛んでいる。

陽は暖かく、風はひんやりしている。

今日は昼までに帰らなくてはならないが、この朝の風景だけで、十分満たされた。

ゆきかぜ、僕等は、季節の中にいる。

大空の下にいる。
大地の上にいる。

秋の、真ん中に。

(「秋の真ん中」 完)

2 件のコメント:

  1. 走り、立ち止り。MCと路の上。
    これ以上の贅沢と、至福の時間を、知らないでいます。
    樹生さんの写真を拝見しながら、記事を読みながら、
    わたしまでとても、満たされました。
    走るって、ほんとうにいいですね。

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    1. selenさん、こんにちは。
      ほんとうに、走るっていいですね。
      深呼吸できて、余計なものが洗われていくような感覚があります。
      シーズンもあとわずかになりました。
      かみしめて、走っていきたいと思います。

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