2021年5月4日

ペアスロープのグローブ「鹿屋島」(ロング)インプレッション


今シーズンから、春秋用ツーリンググローブとして、我が家に来たのが、
ペアスロープの「鹿屋島」(ロング)だ。既に通勤に使い、4月12日のツーリングでも使用した。その使用感をレポートしたい。

ペアスロープの鹿屋島ロングは、税込みで17050円。
ツーリング用のグローブとしては、高い方だ。
しかし、結論から言うと、その価値は十二分に感じられた。


写真は、もう一月、通勤やツーリングに使用したもので、新品時に比べると、しわや汚れがついている。

概要から述べていこう。
ペアスロープのツーリング用グローブ、鹿屋島ロングは、香川県にある「屋島工房」が製作している、ペアスロープブランドのグローブだ。
「鹿」屋島の名前の通り、鹿革のグローブで、ニュージーランド産の鹿革を奈良県の工場で鞣し(なめし)、香川県の屋島工房で制作している。(ペアスロープHPより

革の厚さを正確には記載していないが、1.2㎜以上とある。クシタニのステアグローブの革の厚さが1.3㎜だが、触った感じでは、同じくらいと思われる。
グローブ用の革としては、厚手の方に入る。

「ロング」と名前にある通り、裾が長いタイプ。ベルクロで絞った裾の中は、降り曲下られた裾部分が切れることなくつながっている。つまり、裾をウェアの上から被せてベルクロで絞れば、隙間風をほぼ完全にふさぐことができる。



縫製はガンカット製法と言われる、指の内側に縫い目の来ない製法。中指と薬指の付け根で接続する縫い合わせがあるが、気にならなかった。
それ以外は縫い目が操作系の部分になく、手袋の内側で縫い目が当たって不快になったり、指と爪の間に縫い目が当たって嫌な感じになったりすることがない。

革は厚いが、握った時にできる皺が煩わしいことがないのが驚きだった。
同じような厚さの「グリップスワニーG2」や、「クシタニステアグローブ」では、グリップを握った時に指の腹側にできる皺がいがいとごわついて、これはそういうモノだと受け入れてしまえば特に問題なかったのだが、このグローブの握り心地を知ってしまうと、かなり我慢していたんだな…と、思わされてしまう。


この鹿屋島の最大の特徴は、グリップを握った時の操作のしやすさ、握った際の不快感のなさ、しなやかな使用感なのだ。
これは、僕が36年間バイク用グローブを使ってきた中で、ツーリング用グローブとしては、ベスト1だった。

とにかく革がしなやか。
守られ感があるのに、しなやかで柔らかい。やさしい着け心地だ。



裾を閉めた感じはこれくらい。
フリースの上から締めているが、冬用のウェアの上からでもしっかり締まり、そして袖口との間が外れて冷風が浸入することがない。

北海道に住む僕にとって、ツーリングで寒さを気にしなくていい時期は、2,3か月しかない。
しかも還暦迫る僕は冷え性もあって、身体を冷やすことは極力さけたい。
普通のミドル丈の3シーズングローブでは、裾とウェアの袖口の間が、走っているうちに外れたり、隙間が空いたりして、そこから入り込む走行風が手首から肘へと入り込み、身体を冷やしてしまうのだ。

これは僕の場合、無視できないポイントで、暑い時期、時間帯を外せば、グローブはロング丈が僕の標準になっている。


握り込んだところ。
このグローブには樹脂製のプロテクターはついていない。
その分しなやかで、革は横方向に伸縮性もあるので、握り込んでも突っ張り感はない。
繰り返しになるが、革がしなやかで指の内側にできる握り皺も気にならないのが不思議だ。



てのひら側には、当て革の補強がある。操作に邪魔にならないように、当て革の形も研究されていて、気にならない。掌底部は、転倒等で地面に着く場所であり、衝撃吸収とそのまま路面を滑った時の擦り切れの予防として2枚重ねになっている。
てのひら側の小さな丸穴は、当て革と下の革と位置が重なっていて、通気孔になっている。
てのひらは、ものすごく汗をかく場所だ。
研究の末に、最小限の穴で蒸れを吐き出すのに、この位置と個数、大きさになったそうだ。



指を曲げたところを小指側から。
内側に縫い目がないので、不快感がない。
外側にある縫い目通しがこすれることがあるが、通勤とツーリングでは全く気にならなかった。
しかし、レーシンググローブでは、このかすかな引っかかりを嫌って、内縫いになっている。縫い目も多く、指を4つの縫い目でしっかり支持する効果もあるそうだ。

用途が違うのだから製作の目標も違う。ツーリンググローブとしては、外縫いの方が気になることが少なく、僕の好みに合っている。



ひとつ疑問なのがこの裾のベルクロだ。
ごらんのように幅が狭い。問題なく止まるからいいのだが、もう少し幅広でべったりつけてしまう方が僕の好みではある。
おそらく、使用上この幅ではがれることなく留めるには十分だから無駄にベルクロを広くして剥がす時に不要な力がいらないようにしているのだと思う。
また、一日何回も脱着するのに、ベルクロが強すぎると着脱が面倒になるし、革も毎回必要以上に強い力で引っ張られるわけで、それで幅をこれくらいにしているのだろう。
ただ、僕の好みだと、もう少し幅広の方が好みだ。



「PAIR SLOPE 鹿屋島」の型押。この当て革も、裾が横に伸びて隙間が空くのを防いでいるのだろう。

あとは耐久性だが、とても使いごこちがいいので、通勤につかうのが、もったいなくなってきた。通勤には別のグローブを買って、ツーリングで長くつかいたい…。
そう思わせる一双だ。

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