道道106号線を北上し、稚内市内についたのは、ちょうど午前9時ごろだった。
稚内市には何回か来ているが、防波堤には言ったことがなかった。
尋ねてみると、ギリシャかローマの建築のような、美しい意匠の大きな半ドーム型の防波堤だった。
道道106号線を北上し、稚内市内についたのは、ちょうど午前9時ごろだった。
稚内市には何回か来ているが、防波堤には言ったことがなかった。
道北の天塩町から稚内へ、日本海沿いを走る道道106号線は、サロベツ原野の中、人工物はその砂利道だけ、ガードレールも電線も、何もない、どこまでもばっすぐな道として有名だ。天気がいい時は海の向こうに利尻山が見える。
午前3時。札幌の街を走り出す。
さすがに9月下旬ともなると、3時は朝というよりもまだ夜という感じだ。
走り出して15分。
これから郊外や海沿いの風の強い地域を走ることを考えると、やはりこの装備では寒さが来ることが予想された。
若い頃はともかく、60を越えた今は、寒さと闘うことは御法度で、いかに寒さを感じず、体力を温存するかが重要になる。
広い道路の側道に入り、上下レインウェアを着て、それを以て防寒とした。
2023年9月24日、日曜日。
午前2時08分。ベッドの中で目が覚めた。
この5年くらい、目覚ましをかけたことがない。目が覚めてしまうのだ。それだけ、毎日緊張していることだから、いいことではないと職場の臨床心理士に言われた。
すべてのことに全力になりすぎている。家族と、仕事に全力で向かいすぎている。趣味はないのか?
バイクで走ることです。
思い通りに走れてる?
いえ。
家族のことをして、仕事をして、残った時間でバイクに乗っているでしょう?
そうですが?
だめです。走りたいときにバイクで走りましょう。残った時間で家族のことや仕事のことを考えればいい。
……。驚きの提案だった。