汚れたジャケット

 先日、ツーリングで自分のジャケット姿に、ちょっと落ち込んだのだ。

クシタニのプレセプトジャケット。

たしか、2012年春に買ったから、丸11年が過ぎて、12年目になる。

表は綿100％

ただし、脇、腕の内側、肩口にストレッチニットを配している。

中にフィルムがあり、生地自体は防風、防滴。

袖口など、ところどころに革を配したデザイン。

裏地はポリエステルメッシュ。

表地は綿だが、カットは完全にスポーツモデルのそれ。

高速で走っても、バタつかない生地の張りがあり、前身頃が短く、乗車姿勢がもっともストレスがないように作られている。

…と、それはいい。

問題は、その外見のくたびれ方だ。

もともと全体がニットや裏地が見えている部分と同じ濃紺だったのだが、長年紫外線を浴び続けて脱色し、排ガスやら埃やらにさらされて、埃色になってしまっている。

写真では陰影のように見えるが、実際には皺で陰になる所に日光が当たらないので、色褪せの違いがこういう模様になっている。

こびりついた汚れの中には落ちないものもある。

これが革ジャンなら、経年変化も味のうちとなるのだろうが、

この場合は、汚いだけだ。

そもそも、僕は外見にこだわりがない方で、いや、無頓着に過ぎるというべきか。

機能さえしっかりしていればいいという考え方だった。

また、僕が若い頃はみんなそんなに金持ってなくて、いいウェアを常に清潔に着るだけのゆとりもなかったのだ。

バイク乗りは汚い服を着ていたものだった。一部のちゃんとした人たちを除けば。

それは昔の登山者の服装と似ていたかもしれない。

しかし、時は流れた。

そして僕はもう、60代に入って、若さゆえに許させる外見の無頓着を、自分の年齢では恥だと思わなくてはならない齢になった。

まあ、簡単に言えば、不潔な中年や老年は、嫌われる…というわけだ。

安物の汚いウェアの下から、ギラギラした若者の顔がのぞけば、それも若さの美だと言われるが（最近はそれもだめらしい。中高生から男女ともエステに通って脱毛やらするのが増えているそうだ）、やむを得ない場合は別として、なんとかできたろうに不潔さを放置している中年以上の人間は、嗜みや礼節に欠く。

べつに悪いわけではないが、少々恥ずかしいことではある。

いちど、徹底的にクリーニングしてみて、それでも行けるかどうか見てみようか。

2014年に買ったカントリージーンズライド（現エクスプローラージーンズライド）も10年目。こちらもかなりくたびれてきている。

足元のモンベル・タイオガブーツワイドは、まだまだへこたれずに元気だ。

これはたぶん、ほぼライディング専用になっているから、使用頻度が少ないせいだと思う。

60代になり、

身体も変わってきている。

ちょうどヘルメットは今年ジェット、フルフェイスとも入れ替わった。

そろそり、60代の走りに向けて、

装備を入れ替えていく時期なのかもしれない。

できれば、老いてもキャリアを感じさせるような、「洗練」を身にまといたいものだ。