2013年11月15日

IPONE『RoadTwin』インプレッション

「小春日」のツーリングでは約180kmを走行した。
ゆっくりが多かったが途中、少しエンジンを回してレブリミッター(7000rpm)に当ててもいる。
入れ替えたエンジンオイル、IPONE「Road Twin」について、印象を報告しよう。

IPONE RoadTwin 4ℓ入 10,080円
結論から言うと、振動がまろやかになり、しかも低回転で車を前にだす力が大きくなった気がする。
M4と比較して、ということになるが、狭角Vツインエンジンに的を絞って開発されただけあり、その性能は素晴らしいと感じている。

◇始動性◇ 
IPONEの100%化学合成油はその分子構造の大きさゆえか、低温時の粘性が高い。簡単に言うと、「とろみ」が高くてはちみつみたいな感じだ。その分、始動にはほかのオイルよりも長めのクランキングを必要としたり、暖気に少し時間がかかったりする。
しかし、温まってしまえば、とても上質な感じがずっと続く。

しかし、このメーカーのオイルの特徴は、増粘剤などを混ぜているのでなく、元々のオイルベースの分子構造から大きくしているので、劣化速度が非常に遅い、つまり高性能が長く維持できることにある。
すぐにしゃばしゃばになってしまったりしないのだ。
したがって、交換の感覚も広く取ることができる。
本当にエンジンを酷使する人や、コンディションを長く維持したい人などは、通常のオイルの場合、交換インターバルを2000km~3000kmごとにしていると思う。しかし、IOPNEオイルの場合は、5000rpmは交換不要である。しかも、非常に熱に強いので、よく言われる、「夏と冬の両方をオイルに経験させてはならない」というのも当てはまらない。大丈夫である。
ズームさんでは、オイル交換の管理は距離でのみ行っている。酸化速度が極端に遅いのだ。


◇振動軽減・走行感覚◇
「RoadTwin」にしてから、はっきりと変わったのがエンジンの振動だ。以前書いたように、V7はクラシックからストーン又はスペシャルに変わった時、エンジンの馬力も上がっているが(日本仕様で40psから50ps)、振動がやや硬質になったと言われている。
実際に乗っても、思ったよりもパカパカパカ…という感じで固い感じがしたのだが、「RoadTwin」を入れたあとは、文字通り、上質なオイルでエンジン内部がコーティングされたように、振動の質が滑らかになった。これなら角がまろやかなので、長時間でも気になりにくい。
このコーティング感を何と言ったらよいのか…とにかく非常に気持ちいいのである。

モトグッチのエンジンは縦置き90°Vツインエンジン。ビッグエンドのクランクピンを共有するタイプなので、(一般的にそうだ)、理論上、一次振動の発生はゼロになる。コンロッドの幅分だけ横にずれるため、完全に無振動にはならないが、回せば回すだけ振動がなくなっていき、高回転を維持すると、無振動になる…というのはモトグッチの伝説的エンジン特性だ。

V7は各ギヤ、7000rpmでリミッターが効き、エンジン回転はそれ以上上げられなくなるが、7000rpmまで、完全に無振動にはならない。
しかし、4000rpm以上はハンドルバーに伝わる振動が徐々に消えて行き、殆ど感じなくなるほどだ。
高回転域では振動はステップ周辺に出る。細かな振動がステップを通して足裏に感じられる。
4000rpmから上は、淀むことなく、直線的に回転計の針は上っていく。マルチエンジンのように高回転で2段ロケットに点火したかのような急激なパワーの盛り上がりは感じないが、リニアに上昇するエンジンは50psと言えども十分に力強く、速い。

インジェクションエンジンでマナーよく調律されているから、中速域から完全にアクセル全開でストッパーに当てたまま7000のレブリミットまで持って行くことにストレスがない。
低速コーナーからの立ち上がりでは、かなり「遅くない」走りが可能だと思う。

IPONEエンジンオイルの強靭な油膜は、確実にエンジンを守り、ブローバイガスの発生を抑え、パワーを逃がさず、結果、燃費もよくなり、排気ガスも少しクリーンになる。

少し全開にするとすぐに熱ダレして粘度が下がってしまうオイルと違って、安心して全力疾走ができるのだ。
今回、全開は何回かしたが、人車ともに限界まで速く走る(もちろん、安全を確保した上で、その範囲の中で、という意味だ。)ことをしていないので、そのあたりのレポートはできないが、現実的なロードの仕様では、まず性能不足を感じることはありえないだろう。


◇レスポンス◇
僕はプロではない(どころか素人としても上級とは言い難い)ので、客観的で正確な把握はできないが、オイル交換後、エンジンのレスポンスは確実に好転した。
特にカーブで開けた時に、開度に応じたパワーを遅れずに出してくれる感じは、速く走らなくても、それこそ交差点の左折時にも、開けた分だけそれが正味前へ出ようとする力に変換されている感じで、とても楽しく、かつ安全だし疲れない。このレスポンスが一定でないと、猛烈に神経が疲れることになる。もともとV7はそのあたりが、ほんのわずかにとぼけた感じで、しかしそのとぼけ方は一定であり、実際には必要なパワーがちゃんと開度に応じて出てくれるので、とても気に入っていたのだが、『RoadTwin』ではそこのところのフィーリングがさらに向上している。
これは気持ちいい!カーブで開けない人にはあまり違いが感じられないかもしれないが、このよさは予想以上で手離しがたい感じだ。



◇燃費性能◇
IPONEのHPによると、好燃費も実現するとのことで、これは以前のGPZ1100に入れていた「FullPowerKatana」でも、最高で27ℓ/kmという実績もある。
V7に関しては、今は入れたばかりだから、もう少し走って何回か給油したのち、燃費を比較してみたい。現在は評価を留保しておこう。


◇耐熱性能◇
油温計を付けていないので、実際の油温がどれくらいかはわからない。(いつか付けたらきっと楽しいだろう)
しかし、自転車よりも遅く、ダートをローギヤで数キロ連続走行しても、熱ダレのような症状は一切起こらなかった。
オンロードバイクで林道を走る時には、タイヤ性能や重心などの関係から、オンオフバイクよりも相当速度は遅くなる。空冷エンジンの場合は熱が風で飛ばされにくくなるために熱だまりができてエンジンによくないし、オイルの温度も上昇して粘度が下がったりする。
僕はオンロードバイクでの林道走行距離だけは一般のロードバイク乗りに比べてかなり多い方だと思うが、その経験からしても、IPONE「RoadTwin」は低速運転時での耐熱性能、つまり過酷な条件下でのエンジン保護性能もそうとうに高いだろうと思われた。


◇経済性◇
ℓあたりの単価は約2500円と、安くはない。しかし、1500円のオイルが3000kmしか持たないのであれば、IPONEの方が安い。
また、IPONEオイルを入れている人たちの愛車の走行距離とコンディションを実際に見聞きすると、エンジンの寿命を伸ばす能力は(つまり保護能力だ)非常に高く、そういう意味ではさらにお買い得ともいえる。
このあたりのバランスは人によって違うだろうから、あまり強調するのはやめておこう。
ただ、僕はバイクに対しても維持コストをそうとうケチる方だと思うが、IPONEを高いと思ったことはない。

ああ、なんだか出来の悪いテレビショッピングみたいになってしまったが、
偽らざる実感である。

ということで、総合評価は、「非常によい」である。
これからゆきかぜは冬眠に入るが、冬をまたいでも性能劣化はないのか、走行5000kmで交換しようと思っているがその間に、フィーリングの劣化はどれくらい起こるのか、など、来シーズン、続編をレポートしたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿