2014年12月25日

V7と付き合うコツ(2)

V7と付き合うコツ(2) 「丁寧に奥まで。」

V7はイタリア車だからと言って、特別に扱いにくいとか、反対に特別にすごいとか、そういうことはありません。とても素直な操作性ですし、とてもタフなバイクです。ただ、雑に扱われることを少し嫌います。少しだけ丁寧に、基本どおりに扱うコツをつかめば、とても気持ちよく乗れます。




「奥まで丁寧に」、それはV7の操作系、特にギヤチェンジ時のシフトペダルと、ブレーキレバーについてのコツです。


シフトから行きます。
V7ゆきかぜ号の左側、こちらがシフトペダル側です。
まず、目立つのはペダルが長い。ステップの後ろから前に回り込んでくるくらい長い。
これはレバー比が大きいことを指しています。つまり、ペダルを大きく動かしても、作用点での動きは少し。単純に考えれば、重さは軽くなるが、ストロークは長くなる計算です。

そしてペダルの回転軸、固定されたところから先はどうなるかというと、フレームの奥、スイングアームの向こう側で、リンクを介して上へ短いシャフトが伸び、スイングアームの裏?あたりでピロボールにより、また力をリレー。
その先は写真では見えませんが、動きが90℃回転して、変速機へと伝わって行きます。

結構複雑ですね。そして機械機械していますね。好きです、こういうの。

さてさて、さっき言ったように、レバー比が大きいと、シフトペダルのストロークが大きくても、実際に作用している点では動きは少しになります。その分、大きな力を発揮している(逆にいうと、重くて、レバー比を大きくしないと大変)といえます。

実際のゆきかぜ号のシフトストロークは、測ったことはないですが、実はふつう。
特にストロークが長いとは感じられない。
つまり、ギヤ比から考えると実際のギヤボックスのストロークはかなり短い。
だから、ここはしっかり奥まで、ストロークが止まる終点までペダルをやさしく、すばやく送りこむ必要があるのです。中途半端では、ギヤが入りきらないこともあり得る。

そのかわり、すばやく、やさしく、しっかり奥までストロークすると、ギヤはきれいに気持ちよく切り替わります。



なんとなく乱暴に、ガツンと蹴り込んだり(シフトダウン)、ぐわっと掻き上げたり(シフトアップ)せずに、ちゃんと下へ、上へ、停まるところまで素早く送り込む。確実に止まるまでは靴の裏や甲側で力を加え続け、奥に当たると同時にかかる力をゼロにする。
それが決まれば、もう気持ちのいいシフトができます。

これをさらに確実にするには、シフトを掻き上げる瞬間にギヤにかかる力がゼロになってギヤが浮いているような状態に持っていくと最高にいい。
シフトアップの時は瞬間アクセルを少し戻しますが、そのロードが抜けた瞬間なら、クラッチを切らなくてもすっとギヤは入ります。が、ここで念のために瞬間クラッチを切ります。


これはクラッチレバーをフルストロークせず、クラッチミートするポイントから一瞬「くっ」と引く程度。
クラッチを切らなくてもシフトできるのですから、万一の保険のようなもの。
そして、クラッチが切れている時間が長いほど、次にミートするときにクランク側の回転数と、ギヤボックス(出力)側の回転数が合いにくくなります。ここが瞬間くらいで、その瞬間にギヤの比の分だけ、エンジン回転が微かに落ちてくれればそれでOK。むしろ加速したいのですから、回転が落ちすぎるのは大きなマイナス。ほとんど落ちないままでつながる感じでもいいのです。
まるでシームレスギヤボックスのようにシフトできたら、それはもう夢のよう。

シフトダウンの時は逆に一瞬空ぶかしして回転を合わせますが、この空ぶかしの最初とクラッチを切ることをシンクロさせてギヤの荷重をゼロにしてシフトすると、これもしんじられないくらいするっと、といいますか、ぬるっと、といいますか、瞬時にギヤが切り替わり、空ぶかしで回転が合ったぶんだけ、クラッチをつないだときのショックもないという、これもまた、夢のようなシフトになります。


国産のスポーツバイクの中にはシフトがカツーン!、カツーン!と決まる気持ちいいバイクもあります。
また、多少ガチッ!と叩き込んでも10万キロ以上へこたれない、カワサキのGPZ君のようなバイクもあります。男のバイクだね!

V7ゆきかぜのシフトは、そのどれともちょっとだけ違う。
レディを扱うように、丁寧に、でも少し強引に、でもその強引さは自分勝手でなく、必ず相手が望んでいる強引さで。
馴れてしまえば、無意識にでもできてくるようになるコツなのでしょうけれど、この扱いをすると、本当に変なショックを感じないで変速ができ、下手にすると、その分何らかのショックがちゃんと帰ってくる。

この慣れれば無意識と、ちゃんとしてないと拗ねるので、ちょっと意識、のバランスが、たぶん絶妙なんだと思う。

これ、計算して作ったのか、それともテストライダーとエンジニアがうまいもの食いながら喧々囂々の議論をして、また走りまくって、調整しまくって、職人技でなんとなく作ってしまったのか、やたらリンクが多くて、しかもピロボ―ルジョイントは結構後輪の跳ねとか、直接当たらないにしてもかかるところなのに、カバーもなしで剥き出し。だからグリースが切れたら、ギシギシ言い出してしまうだろう、そんな機構をながめながら、

イタリヤ人の考えることはわからん。

と、ニヤリとしながらつれづれに考えてしまうのでした。

おっと、ブレーキに関しては、次回。(つづく、です。)

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