2016年7月16日

暑い日に。3

ニセコパノラマラインに入った。
この道に関しては、前のブログで記事で書いたこともある。(こちら
北海道を代表する観光道路の一つでもあり、とても走りやすく、晴れれば景色もよく、路面状況もよい。
北海道ガイドブックやドライブガイドなどには必ずと言ってもいいほど載っている道だ。

ちょうど昼時だったのだが、驚いたことは交通量が少ない…というよりもほとんど皆無に近いことだった。

5月末までは雪に閉ざされて冬季通行止め。
6月は山菜取りの車で混み合い(しかもブラインドカーブの途中に駐車して山菜取りをする人たちもいて、かなり危ない)、9月末~10月の紅葉シーズンには、紅葉狩りの車で大渋滞することもある。
なのに今日は車もバイクも観光バスもいないとは、どういうことだろう。

パノラマラインは名のとおり、日本海側の岩内側では、眼下の平野と海、積丹半島の景色が美しく、ニセコ側では山岳や盆地の景色が美しい。
その美しい景色がパノラマのように広がり、しかも走るごとに景色を変えていくという、磐梯吾妻スカイラインのような変化の楽しめる道だ。
しかも路面もいい。

そして直線とカーブのリズムもよいので、止まって写真を撮るよりも、そのまま走り続けたくなる道なのだ。
ゆっくり走っても、十分に楽しめる。
北海道ガイドのどこでも推奨されているのもうなずける。


今日はハンドリングテストとライディングのリハビリのために来たわけだが、空いているにも関わらずあまり飛ばす気になれなかった。

以前GPZで訪れたときには「この道は攻めるには高速すぎる」と感じた。それは今回も変わらない。

V7Specialは、最大出力でも50ps。登りの短い直線では出したとしても140kmくらいまでだろうか。
しかし、パノラマラインにけっこうある、180度近く回り込んだ中速カーブ、というか、大きめのヘヤピンのようなコーナーでは、腕さえあればレプリカとまではいかないが、安定して相当に速く走れる。

この意外なほどに高いコーナリングの潜在能力(ポテンシャル)こそが、W800との違いだ。
バンク角もかなり深く、ノーマルステップでも最初に路面に擦るのはサイドスタンドである。
ベビーフェイスのバックステップに換装した現在では、車体はどこも接地しない。
自分として安心できるバンク角までしか倒していないので、実質の有効バンク角はもう少しあると思う。
走行後にタイヤをチェックしたところ、ラウンド形状の幅の狭いバイアスタイヤでも、前後とも端まで接地していた。空気圧は2.5kgと指定通り。

ほぼリーンウィズで走り、後半若干腰を内側へ入れて走った。
もしももう少し腰をずらして、かつ膝を開けば、おそらく最初に接地するのは膝のバンクセンサーということになろう。
今回はわざわざセンサー付きの革パンツまで履いていったのに、そこまで試さなかった。
というよりも、ライディングの感覚が戻り切っていないのと、体調の悪さがあって、試せなかったのだ。

革パンツは20年前のコミネ製、スパジオ。かなり汚れているが、まだまだ使える。
バンクセンサーはもう、4年くらい路面と接していない。
もしかして、このままもう、使わないのかもしれない…。




V7のノーマルサスは、フロント側にはまったく調整機構がない。
リヤはいじれるのはスプリングのプリロードのみ。
何度かいじっているが、プリロードを抜くと舵角が減り、同じ速度ならよりバンクしなければならなくなる。
僕の体重(現在は74kg。ベストは67kgくらい。うう、メタボだ。)では、プリロードをねじ切り部から10mm程度まで緩めると、ハンドリングが重くてフロントの舵角が入らなくなり、走られたものではなくなる。
逆に締め上げていき、25mmにすると、今度はフロントの舵角が入って相対的にバンク角が減る。
その分、神経質になっていく感じで、ちょっと気が抜けない。

現在は23mmになっているが、だいたい30kmくらいから高速コーナーまで、バンクして旋回状態になると、切れ込むこともなく、舵角が足りなくて過剰にバンクしている感じもなく、両輪がバランスして旋回している感じの、いわゆる「ニュートラルステア」な感じになる。(たぶん若干アンダーステアになっているのだろうが、感覚的には手放しできるニュートラルステアに感じる。)

右コーナー、左コーナーとも、違和感なく、ハンドリングはいい感じだ。
タイヤが摩耗してきているので、倒し込み初期は重くなっているし、旋回力の立ち上がり方も、新品タイヤの頃からみると、少ししてから立ち上がってくるという感じになっているようだが、それほどの違和感はない。
前のピレリもそうだったが、メッツラー、レーザーテックは摩耗に関して、ハンドリングの崩れが少ないのかもしれない。いや、幅広ラジアルに対しての狭いバイアスの違いなのかもしれないが。

僕は昔から右コーナーが苦手ではない。
元来左利きなのも関係しているのかもしれないが、最近は左コーナーよりもむしろ右の方が走りやすいと感じるほどだ。


以前のように攻めたてる走りをしないので、下りも登りもそんなに違いなく走っている。
フルブレーキも殆どしなくなった。
ただ、時々練習すべきだとは思うのだが。街中でパニックブレーキになることもあるだろうから。

変えたポジションは、ブレーキングでも問題ないが、このシーンばかりは上体が今より起きていてステップが前にあったノーマルポジションの方がホールドが楽だった。
今のポジションは油断すると強いブレーキングでハンドルを持つ手で上体を支えてしまう。
下半身をしっかり決め、背筋で上体を支えきるためにも今のポジションではステップの靴底のグリップが重要になる。その点、ベビーファイスのステップは非常に良好だ。

パノラマラインの頂上の駐車場には、たくさんの車が止まっていて、バイクも数台来ていた。
登山やトレッキングの人たちがたくさん入山していたのだ。
それにしては一台も車に会わずに上がってこれたのは、ちょうどお昼時で、移動する車がたまたまいなかっただけなのかもしれない。

昆布温泉側に入っても、ほとんど車には合わなかった。




よく雑誌に載っているコーナーに来た。
混んでいる時には路肩にバイクを止めることも、写真を撮ることも遠慮されるのが、今日はガラガラなので、ちょっと停めさせてもらって写真を撮った。

すると下からバイクの音がして、一台上がってきた。
僕に気づいて、手を上げてくれた。
ホンダのNC。大きなバッグをリヤシートに積み、トップケースもつけた、ツアラーの方だったのだろうか。
静かでペースも落ち着いているが、メリハリのある、見ていても気持ちのいい走り。
飛ばさなくても、バイクらしい、気持ちのいい走りはできる。
その見本のような走りだった。



同じコーナー。
NCのライダーが去ってからもしばらく風に吹かれていた。

さて、そこからパノラマを下っていく。
途中、五色温泉の方へ少し寄り道をした。
こちらの道も、道は空いていたが、五色温泉の前の駐車場にはバスが停まり、登山やトレッキング、温泉客の人たちでにぎわっていた。


2016/7/13 13:07 ニセコパノラマラインから五色温泉への道で。

いい天気。
気温も上昇してきている。

さあ、山を下っていこう。(つづく)

7 件のコメント:

  1. おぉ!確かに先ほどググって見たコーナー。。。
    赤井川村からの帰りに寄れるかな?w

    返信削除
    返信
    1. tkjさん、こんにちは。
      パノラマライン、晴れていればおススメの道の一つです。
      このあたりは温泉も多いので、ちょっと寄り道して露天風呂に入ってしまうのも、
      旅の疲れを取ってリフレッシュするのにいいかもしれません。
      8月が迫ってきましたね!

      削除
  2. パノラマのコーナー楽しいけど、怖いね~。特に下りのヘアピンは車速とバンク角が変わるので
    苦手です。おまけにかなり回り込んでいるので、先が見えないし最初の入力だけだと回りきれない。
    大体、コーナーはここ数年上手くいった試しが無い。タイヤの性能もあるし、自分の体調と路面の
    問題も大きいです。
    通常のバイクならオーバースピードでも修正しやすいけど、ルマンだと厳しいね。
    やっぱりシャフトドライブに縦置きエンジンは乗り方も違うのでいつも考えて操縦
    ってことになる。
    感覚では行けないな~って感じかな。回転の下からのトルク変動もナーバスに
    なる要因。上は慣性を抑え無いと回転の戻りが遅いので、コーナーを飛び出し
    そうになります。
    こんなにバイクと格闘してるので、他のバイクが楽に見えます。実際4気筒のバイク1000CCに
    乗った時に、なんて平和で楽なんだと思いました。でも、直ぐ飽きそうになるのは予想出来ましたね。
    そうなったら、バイクをやめることになりそうで、未だにモトグッチから離れることが出来ないで
    いるんです。
    ラジアルが履ける足回りとフレームの強化、及びエンジンの低重心化と、あと30キロの軽量化を
    してくれれば、かなりいけるのかと思います(笑)
    樹生さんのV7はコンパクトで軽いのはいいのですが、もうちょっと排気量が大きくて
    ホイールベースが長ければいいな。スイングアームをミッションケース受けじゃ無く
    フレーム受けにしてくれないかな~なんて妄想してしまいます(笑)

    返信削除
    返信
    1. いちさん、こんにちは。
      そうなると、マーニですか。

      中速以上の180°カーブで下りとなると、
      倒し込みからすべて開け開けでは速くなりすぎますね。
      カーブを分割して、一度閉めてもう一度曲がりなおすようになります。
      V7の場合、それでもきれいに対応してくれるので、その自由度はGPZ1100より大きいです。
      これは慣性マスの大小の問題だと思います。

      僕はもう150km/h以上の世界はいらないので、V7でOKです。
      もちろん重量車にはその世界だけの醍醐味がありますが。
      0~140までの世界の中で如何に走るか、その課題が今おもしろいです。

      削除
  3. こんにちわ。いつ見ても気持ちのいい道です。
    空も緑も透明で切ないくらいきれい。
    樹生さん、いちさんのお二人ともの大きな背中をみて走ったことのある
    ワタシの脳裏にはライディングがしっかりあります。
    ほんといい走りされてます。
    背中に哀愁なんかも見てとれたりして。。

    もうZ2改での風景が瞬時で融けるあの加速も感覚が少し薄れています。
    人車ともお話にならない走りだけれど、かろうじて手元にある旧いW3で 
    美しい北の道を再び走りたいものです。
    大地に根ざす樹もゆっくりとみたいなあ。。

    返信削除
    返信
    1. kaoriさん、こんにちは。
      お元気ですか。

      晴れたパノラマは久しぶりでした。
      この空と、薄い透き通るような緑は、東北にもなく、北海道ならではのものですね。

      ホンダNCのライダー、本当にきれいに、気持ちよく走っていました。
      オートバイで走る以上、スピードから無縁というわけにはいかない。
      でも、速度が落ちても、敏捷性が落ちてきても、走りを深めていくことができれば、
      ただ余裕で走るのではなく、ゆっくりなりの真剣さで走り、その走りによって
      自分も救われるような、そんな走りがあるのではないかと、考え、模索しています。

      kaoriさん、W3で北海道、もう一度、いつかぜひご一緒したいです。

      私も体力と忙しい仕事の疲労との闘いが、この夏も続きそうです。

      削除
  4. KEI Cさん、こんにちは。
    いい感じですね。
    タンデムで、無理せずにとなると、現実的、止まっている時間も楽しめるプランだと思います。
    あとは天気ですね。晴れますように!

    返信削除