夏から、冬へと。
足を止めることがない。
それがまだ8月でも。
夏のように暑くなる一日でも。
秋は、空からやってくる。
どこまでも広くて、開放的で、叫びたくなるような、夏の空。
どこまでも高くて、美しくて、ため息がでるような、秋の空。
駆け足の、秋。
今年は10月に雪が降った北海道。
稲刈りは、9月のうちに済む。
昔は寒くて稲作には適さなかった北海道。
今は品種開発などで、おいしいお米もたくさんとれて、
ブランド米に迫る美味しさで、ブランド米よりも安い北海道米は、
ごはんの美味しさにこだわる外食産業から大人気だ。
走った後の、キン、キン、というシリンダーの鳴り。
空冷エンジンならではのあの音も、秋が一番きれいに響く。
ブレーキディスクも、すぐに冷えていく。
しゃがみこんで、パーツをしげしげと眺めるのも、秋が一番多い。
秋は、花も多い。
菜の花、ひまわり、ラベンダー、ルピナス…。
北海道の有名な花たちは、夏が多いのだけれど、
バイクを止めた田舎の道端に咲く、野の花は、秋が一番きれいだ。
あかまんま、ホトケノザ、キキョウ、……。
それから、それから……。
名も知らぬ、花たちが、ささやかに、咲いている、秋空の下。
秋は、一日も、歩みを止めない。
白樺や、カツラは、早く色づくほうだ。
少しづつ、空が静かに、澄んでいく。
空が高くなるほどに、秋は深くなっていく。
支笏湖の秋。
静かな秋を、走る幸せ。
洞爺湖の秋。
寒いのに、暖かい。
秋の冷たい空気と、暖かい日差し。
輝く湖面は、ライダーたちの弾む心を映している。
ニセコの里の秋。
暮らしがあって、日々の働きがあって、季節との触れ合いがある。
ライダーは、そこにちょっとだけお邪魔させてもらう。
その暮らしの場を、通らせてもらう。
だから、その土地への敬意が必要だ。
イタヤカエデは黄色く色づく。
秋の終わりの近きを告げる。
今年の春から秋の命の豊饒さを、もう一度歌い上げる。
獣たちも、鳥たちも、虫たちも、今年も豊かに、生きた。
僕は、どうだったか…。
森は、色とりどりに。
思い思いの錦繍をまとって。
やがて山の上に雪が降り、冬が急ぎ足で、駆け下りてくる。
空からやってきた秋は、空から、去っていく。
秋が終わるよ。
冬支度を、急ごう。
夏用グラブで、手がかじかみ始めたら、冬はすぐ、そこまで来ている。
毎年思うのだけど、秋があと一か月長かったら秋を十分楽しめるのではないかと。
返信削除晩秋の風景が長すぎる~!
美笛キャンプ場の写真イイですね~。
水際までバイクをもっていくのは大変じゃ無いですか~(笑)埋まりそう!でも良い画が取れましたね~。
いちさん、こんにちは。
削除秋は一番好きな季節です。
あっという間に駆け抜けますね。
美笛の写真は、キャンプ場ではなくて、行く手前を右折すると湖畔で出られる道があるんです。
写真の右ぎりぎりまで道が来てるんですよ。
軽いV7は簡単でした。埋まらないようにサイドスタンドの下に、そこらへんの石をおいて。