2017年1月28日

ゆきかぜの秋(2016)

北海道の秋は、駆け足で駆け抜けていく。
夏から、冬へと。
足を止めることがない。



それがまだ8月でも。
夏のように暑くなる一日でも。
秋は、空からやってくる。


どこまでも広くて、開放的で、叫びたくなるような、夏の空。

どこまでも高くて、美しくて、ため息がでるような、秋の空。


駆け足の、秋。


今年は10月に雪が降った北海道。
稲刈りは、9月のうちに済む。

昔は寒くて稲作には適さなかった北海道。
今は品種開発などで、おいしいお米もたくさんとれて、
ブランド米に迫る美味しさで、ブランド米よりも安い北海道米は、
ごはんの美味しさにこだわる外食産業から大人気だ。



走った後の、キン、キン、というシリンダーの鳴り。
空冷エンジンならではのあの音も、秋が一番きれいに響く。
ブレーキディスクも、すぐに冷えていく。
しゃがみこんで、パーツをしげしげと眺めるのも、秋が一番多い。



秋は、花も多い。
菜の花、ひまわり、ラベンダー、ルピナス…。
北海道の有名な花たちは、夏が多いのだけれど、

バイクを止めた田舎の道端に咲く、野の花は、秋が一番きれいだ。
あかまんま、ホトケノザ、キキョウ、……。
それから、それから……。
名も知らぬ、花たちが、ささやかに、咲いている、秋空の下。




秋は、一日も、歩みを止めない。

白樺や、カツラは、早く色づくほうだ。

少しづつ、空が静かに、澄んでいく。
空が高くなるほどに、秋は深くなっていく。


支笏湖の秋。

静かな秋を、走る幸せ。



洞爺湖の秋。
寒いのに、暖かい。
秋の冷たい空気と、暖かい日差し。
輝く湖面は、ライダーたちの弾む心を映している。



ニセコの里の秋。

暮らしがあって、日々の働きがあって、季節との触れ合いがある。

ライダーは、そこにちょっとだけお邪魔させてもらう。
その暮らしの場を、通らせてもらう。
だから、その土地への敬意が必要だ。


イタヤカエデは黄色く色づく。
秋の終わりの近きを告げる。

今年の春から秋の命の豊饒さを、もう一度歌い上げる。
獣たちも、鳥たちも、虫たちも、今年も豊かに、生きた。

僕は、どうだったか…。


ヤマモミジは赤く。




森は、色とりどりに。
思い思いの錦繍をまとって。



やがて山の上に雪が降り、冬が急ぎ足で、駆け下りてくる。

空からやってきた秋は、空から、去っていく。

秋が終わるよ。
冬支度を、急ごう。

夏用グラブで、手がかじかみ始めたら、冬はすぐ、そこまで来ている。

2 件のコメント:

  1. 毎年思うのだけど、秋があと一か月長かったら秋を十分楽しめるのではないかと。
    晩秋の風景が長すぎる~!
    美笛キャンプ場の写真イイですね~。
    水際までバイクをもっていくのは大変じゃ無いですか~(笑)埋まりそう!でも良い画が取れましたね~。

    返信削除
    返信
    1. いちさん、こんにちは。
      秋は一番好きな季節です。
      あっという間に駆け抜けますね。
      美笛の写真は、キャンプ場ではなくて、行く手前を右折すると湖畔で出られる道があるんです。
      写真の右ぎりぎりまで道が来てるんですよ。
      軽いV7は簡単でした。埋まらないようにサイドスタンドの下に、そこらへんの石をおいて。

      削除