2020年10月19日

やさしい時間へ。(1)

10月18日(日)。
北海道は土日ともにいい天気。
紅葉もそろそろ見頃を迎え、きっと紅葉の名所は、みごとな風景と、それを愛でる人たちで賑わっていることだろう。

僕はと言えば、このところ押し迫る仕事と余計なストレスなどにやられ、睡眠不足が続き、顔の筋肉の痙攣が止まらず、なのにこの週末も出勤+持ち帰り残業で相当にグロッキーになっていた。

日曜日も4時に起き、やっと仕事が上がったのが午前11時。しかし、月曜日にはこのプレゼンをもとに、さらなる〆切に追われ、来週の金曜日まではもっと眠れないのは分かっていた。

さらに次の週の月曜日、その週末…と、11月11日くらいまでは、怒涛の仕事オンパレードなのは、確定しているのである。
少しでも寝て、体力を回復しよう……。

と、思って昼食を摂りながら外を見ると、見事に晴れている。

ああ、こんな日は今シーズンはもう、ないかもしれない。
でも、今から走っても、どこも行楽の車で混み合っているだろう…。
疲れた…、眠い。

食事後に寝室に倒れ込んで寝てしまった。

目覚めると14時。
ちょっとしか眠っていないのか…。
でも、すっきりした。

そうだ、夕日だけ見に行くのはどうだろう。

実は夕べから走る準備は整えていたのだ。
ただ、仕事で走り出せなかっただけで。

くるっと回って往復100kmなら、ちょっとなら行けるかもしれない。
無理ならすぐ引き返そう。

そう思って家を出た。

札幌市の北方向、石狩市から国道231に出る交差点で信号待ちをしていると、
たくさんの車やバイクが行き交っている。やはり交通量が多い。
そしてバイクも多い。今日は絶好のツーリング日和だ。

自分の体調をモニターしながらぼんやり交通を見ていると、
231号線を南に向かって走る一台のバイクが目についた。

青い。

一瞬で感じる、この感覚。

ルミナスピーコックブルーのGPZ1100。
左出し集合管の音。

絶対に間違えるはずがない。
僕が2013年春まで乗っていた、GPZ1100だった。

「あ!」

そう思う間もなく、僕の目の前を左から右へ、すーっと走り去って行った。
あっという間に見えなくなる。

まるで追憶の向こうへ駆け去るように。

一瞬、時に巻き込まれるような感覚を感じる。
1995年から2013年まで。12万キロを共にしたGPZ。

新しいオーナーの下で、元気に走っていた。


もしもゆきかぜに心があるのなら、「どうしたの?」と訊いただろうか。
そしたら僕は、なんと答えただろうか。
不思議な感じに僕は包まれる。
胸が温かいのか、締め付けられるのか、それが同時に来ているのか、自分でもわからない。

でも、やっぱりほっとしたのだ。
元気だった。走っていた。
GPZ。

信号が青に変わった。

僕たちも行こう、ゆきかぜ。

軽やかに、秋晴れの空の下を、ゆきかぜは走る。
国道231から、337へ。
石狩川を渡ったら、道道112で北へ向かい、道道が曲がるポイントでもまだ真っ直ぐ行く。

右手に田園風景。
左手に高圧送電線を運ぶ鉄塔が並ぶ。

一本木を見つけて停まった。

木の根方に石碑が一つ。
『馬頭観世音』と書かれている。


ここは石狩郡当別町獅子内。
もうちょっと北には獅子内神社があって、そこには馬頭観世音像があるらしいのだが。

この樹は、ハルニレか。 
石狩平野のこの辺りは、開拓以前、森が深く、ハルニレの樹もたくさんあったらしい。
その生き残りの一本だろうか。

でもこの樹は若い。
ド素人の僕が勝手なことを言っても、おかしいだけだが、たぶん樹齢で150年~200年くらいではないだろうか。

つまり、開拓当時はかなり若い樹で、木材として切り倒されても全くおかしくなかったのではないかと思う。

なぜ、周りの樹がほとんどすべて切り倒されて畑にされていった中で、この樹を残したのだろう。
そして、ここは獅子内神社の参道でもないと思うのだが、どうしてここに馬頭観世音の碑があるのだろう。

道端の草に座り込んで、ちょうど枝の影に隠れてちらちらと揺れる木漏れ日を楽しんでいたら、静かでほとんど車が通らない道に、結構バイクが走っていく。

この道はどうやら、道道81号線から国道337号、札幌大橋へと向かう、地元ツーリングライダーたちの抜け道になっているらしい。


秋のたんぽぽ。
綿毛が揺れる。

午後3時。
もう太陽は低い。

ゆきかぜ、
日暮れまでもう2時間もない。

今日は海に沈む夕日を見に行こう。

君と。

(やさしい時間へ つづく)

4 件のコメント:

  1. 樹生さんこんばんは。

    まずはご自愛下さいませ。
    自分もストレスにより、失声、難聴、ドライアイ、不眠等々の症状が出て長期休養を取りました。

    GPZ君との邂逅。
    GPZ君にもし心があるなら「前のオーナーまだ走ってる、ちょっとお疲れ気味かな?」と思ったのではないかでしょうか?

    週末は寒くなるそうですのでお大事に。
    次回の夕日が楽しみです。

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    1. 緒崎さん、こんんちは。

      ありがとうございます。
      緒崎さんも大変だったのですね。

      気をつけていきたいと思います。

      秋もだいぶ進みましたね。
      走れるのもあとわずかになってきました。

      この日は雪虫がたくさん飛んでいました。

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  2. そうか!18年間!18年間は長い長い時間ですね!

    おっと、振り向けば、ワタシがリターンして今月でちょうど18年です。
    (手始め?に、'90 CBR250RRでした。(^_^;))

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    1. tkjさん、こんんちは。
      2002年10月12日にリターンされたのですね。
      それから18年。
      長いですね!
      18周年おめでとうございます。

      赤井川の記事も拝見しました。
      ありがとうございます!
      tkjさんのCBRさんが、赤井川にいるのは、
      とても感慨深い風景です。
      道の駅で「あかりん」のかりんとうも買ってくださいましたね。
      あれももう4年前なんですね。
      新しいRR-RのCBRさんとも、
      すでにいっぱい走ってられるようで、
      なんか、うれしいです。

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