2020年11月14日

「リアステア乗り」に適しているのは?(2)

 Ninja250R。緩い前傾。ツーリングにもよさそうだ。
(写真出典は、カワサキイチバン「Ninja250Rインプレッション」より。)

さて、質問者さんが迷っているのは、コーナリングを楽しみたくて、リアステア乗りしたいが、Ninja250Rがいいか、250TRなどのオールドタイプの方がいいか、です。


カワサキ250TRは、250cc単気筒を積んだマシン。
チョップドカスタムや昔で言う「スカチューン」で楽しんでいる姿は、ここ札幌でもよく目にします。

さて、「リアステア乗り」といっても、人によってイメージするものが違い、ライテク談義も混乱気味です。
ここでは、「コーナリングで開け開けでリヤからぐりぐりと旋回力を発揮して旋回―立ち上がっていく、気持ちいいトラクション旋回の乗り方」くらいにしておきます。

こういうイメージ。

または

こんなイメージの旋回です。

現代のスーパースポーツは前輪荷重が大きく、エンジンも前輪に近く、車体のヨー軸が比較的前にある。前輪からタイヤの高いグリップを生かしてぐりぐり曲がっていく、そんなイメージです。

対して、昔ながらの「リアステア乗り」では、1980年代後期に世界チャンピオン、ワインガードナーが言っていたように「旋回に入ったら前輪はいらない」「後輪一本で曲がっていく」という感じのイメージ。

イメージとしては、後輪荷重の大きい、アンダーステアになり気味のマシンの方が、そうした旋回を実感しやすい。

このリアステア旋回には条件があり、コーナリングで後輪に大きなトラクションがかかっていることが必要です。しかも、ただ加速方向でなく、より内側へ、後輪をねじりながら内側へ旋回していくような、そういう「感じ」で路面を蹴っていく感覚。これがあると、気持ちいいリアステアが楽しめます。
それこそ、時速20kmでも、30kmでも。

ここで重要なのは、開けた時に有効なトルクが後輪を回す力として伝わるかどうか。
路面を蹴る力が内向力を高めるほどにぐっと来るかどうかです。

正直に言えば、ここでグイっという力感や、進路を内側に変更するまでのトラクションを得ようと思うなら、250㏄は、やや力不足な感がすることも否めない。

ここはトルクが大きい方が有利で、400㏄クラスの方がその力は感じることができます。

では、250ccでは無理なのかというと、そういうことはなくて、特にシングルやツインエンジンは、公道の低・中速コーナーなら、中回転域からのアクセルオンで十分な内向力、
路面を蹴る感覚を味わえます。
「使えるパワー」を駆使して駆け抜ける快感は、十分味わえる。

ただ、高速域になってくると、そこから開けても、パワーが上昇するというだけで、ドドッというか、ぐいぐいッというか、そういうコーナリングは期待できない。

誤解してはならないのは、では遅いのかというと、そうではなくて、マシンの軽量さと、そこからくる運動性の高さを生かし、相当に速いコーナリングが公道レベルでは可能です。

もう30年以上前になりますが、よく聞く伝説で、「峠でナナハンをぶっちぎるセローを見た」というのがありましたが、あながち嘘ではなく、それは道によっては十分に可能でした。

さて、後輪主体のトラクション旋回を満喫したいとき、

ツインでやや前傾、動的なフロント荷重も高めなNinja250Rと、乗車姿勢も起きて、後輪にしっかり荷重がかかりそうな250TR、どちらがいいか。

上の写真を見ていただくと、Ninja250R、やや前傾ですが、コーナリング中にアクセルを開けていったとき、ライダーの荷重が後輪にしっかりかかるように設計されていることが見て取れると思います。

下の250TR。サイドスタンドが路面に擦りそうですからフルバンクしていますね。
フロントフォークとブレーキホースの曲がり方から、前輪にも荷重がしっかりかかっていることがわかります。右手を見るとアクセルは全開位置のよう。
上のNinja250Rでは前輪にかすかに内向舵角がついていますが、250TRでは、舵角はほぼついていないようですね。リヤ18、フロント19インチのタイヤ、よく見るとかすかに逆ハン気味になっているようにも見えます。

Ninja250Rはリヤのグリップと内向力で旋回していき、フロントが外側を少し舵角をつけて回っていく弱アンダーステア、
250TRは、リヤが旋回しながら外側へ少しずつ軌道をずらしていき、そのスリップアングルで足りないバンク角を補いつつ旋回していく、ややオーバーステア気味のハンドリングです。
つまり、この写真くらいの良識を守りつつの峠快走レベルだと、むしろNinja250Rの方がリアステアが感じやすいと言えると思います。

250ccシングルなら、250TRよりも、エストレアの方が、リアステア旋回的な感じになるのではないかと思います。


さて、もう少し考えましょう。 (つづく)

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