2014年11月23日

初冬の東千歳を凍えながら走る。

11月23日(日)。
天気予報では、晴れで、気温は最低+2℃。最高+6℃。
明日が雪のちらつく予報だから、今日がたぶん最後のチャンス。
体調はいまいちだったが、ゆきかぜと、今シーズン最後のツーリングに。
ここのところ3年続けてシーズン締めは東千歳方面へのショートツーリングなのだが、今年も出かけてきた。




午前9時。
東千歳の丘の上から東側を眺める。
「食は農業だ!」の大看板と「パレットの丘」の看板。

東千歳は、美瑛や富良野と似た、そして少し違って独特の魅力のある丘の風景が続く農業地帯。畑作と酪農が主な産業だ。

看板がない方が、ずっと素敵だと思うけれど、それはそれ。
「食は農だ!」と大声で叫ぶ、そういう若い農家の人たちの力があっても、いいじゃないか。

今日は気温5度。強い風が吹いていた。



裏道をポクポクと走り継いでいくと、社台ファームへやってきた。
競走馬の場産地と言えば、北海道では日高地方だが、東千歳、追分地方にも競走馬の牧場はいくつかある。
僕は競馬はしないし、競走馬の名前も知らない。ただ、馬はとても打つくしいと思う。
寒風の中、広々とした牧草地がいくつもあり、その中で、何頭かづつ固まって、馬たちが草を食んだり、佇んだりしていた。



右手の茶色い馬2頭は親子だろうか。
こちらを見ているのが母馬、母馬の方を見ているのが、今年の春生まれた仔馬だと思う。
大きくなった。これから寒くて長い冬を越す。


東千歳、追分の丘は、緩やかな丘と小さな森、畑、牧草地が交互に現れる。
脇道にも魅力的なものが多いが、畑の中で行き止まりになったり、畑と区別のつかないようなところまで道が踏み込んでいきそうなところは、その手前で止まって引き返すのが旅人のルールだ。
タイヤや靴裏に着いた細菌が畑のジャガイモに甚大な被害をもたらすこともある。

ふと、国千田独歩の書いた「武蔵野」の風景は、こんな感じだったのかと、思ったりもする。
植生も家屋も、地形も違うけれど、冬の葉を落とした林と畑の風景は、何かしら人生の感慨を去来させる。


晴れた空は、日本海側の冬晴れ。
小さな雲が西風に運ばれて、急ぎ足で通り過ぎ、日なたと日陰の模様を大地に描いていく。


ゆきかぜの走行距離の積算計は7800kmを少し越えたところ。
今年は通勤にも使ったというのに、シーズンで3000kmも走れなかった。

仕事で休日が殆んど取れなかったのが主な原因だ。

バイクで走れなかったせいか、単なる更年期障害(男性にもある)か、今年は精神的コンディションも総じてあまりよくなかった。
常に仕事に追われてぎりぎりなのだから、余裕もないし、状態がいいはずもないのだが、ここ2年ほど、特に仕事が詰まりすぎている状態が続いているから、改善しなければならない。

もっとゆったり生きないと、いい仕事もできないし、いい人生もおくれはなしないのだ。


広い丘の畑の中に一本目立つ、背の高い樹。
農場のシンボルツリーだ。
例えば明治の頃、この樹を目印にして雪原の中を我が家へたどりついたことも多くあっただろう。

 寒風に当たり続けて、体が冷え、手がかじかんできた。

僕の防寒ウェアは、20年前、1994年にバイク雑誌『ビッグマシーン』誌の創刊記念プレゼントに応募のはがきを出して当たった「agora」というたぶんもう今はなき、イタリアのメーカーの防水ジャケットなのだが、さすがに20年間、冬季はほぼ毎日着続けてきたので、くたびれていて、まだ切れそうではあるのだが、防寒性は徐々に下がってきているように思う。

さらにGPZ1100に長年乗ってきた僕は現在冬季用のバイクグローブを持っていないのだ。
GPZ1100のカウルの性能は非常に高く、厳冬期でも3シーズン用のグローブで走れるほど、手元への寒風を見事に防いでくれていた。
また、上半身への風も整流し、防寒着一着分の防寒性能を持つカウルだったのだ。

ゆきかぜはカウルを持たない車体だから、手元にも全身にも、走行風や雨はそのまま当たる。

昨年もそのまま走行してやり過ごしたのだが、今日は走っていても最高6℃。だいたい4~5℃の中をずっと走っていると、予想以上に体が冷えてきたのだった。



20代の頃は、凍えながら、震えながら、かじかみながら、一晩中走っていたこともあった。
それだけの体力があったのだろう。

50代の今、冷えは大敵だ。
左手が痺れ、左半身に首から方、腕にかけて重い痛みが走る。腕をセメントで固められて根こそぎ引っ張られるような、そんな痛みだ。

ひきかえそう。

もっと走っていたいのだが、体が冷えて悲鳴を上げてきた。
このコンディションで走り続けるには、もう一段上の防寒対策が必要だ。
そういう年齢になったということだ。

まだお昼前。
でも、進路を我が家の方角へ向ける。
速すぎないように、冷えすぎないように、でも暖かい我が家へ早く帰れるように。
一本中の広域農道を、我が家へ向かってゆきかぜと走った。

8 件のコメント:

  1. 東千歳ですか。今日は天気が良かったでしょう?
    でも寒いですよね。ノンカウルのV7では厳しいですよね。心臓より遠い箇所から
    寒さはやってきますから、手袋はいいのを選びましょう。
    もう樹生さんも電熱ウェア装備ですね~。その日は近いですよ。
    kaoriさんも装備したようです。もう震えて乗る状態ではないですよ~。
    冬のライディングが劇的に改善されます。

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    1. いちさん、こんにちは。
      天気が良くて風が強く、寒い一日でした。
      走る気持ちよさと久々に「骨身に沁みる」寒さで、
      「防寒をしっかりしなくては」、と改めて思ったショートツーリングでした。
      冬用のグローブ、探しています。

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  2. kaori2014年11月26日 7:43

    樹生さん おはようございます。
    北海道は冬になり、ワタシは遠くに離れました。

    聖地巡礼のときにシーズンラストをここで迎えたことが
    つい先シーズンのような写真です。
    あの時も寒くほんのすこしの午後の日差しを頼りに
    走りました。帰りはそのまま、バイク屋さんへ冬期預けに
    入りました。

    冬の旅は実は北海道では難しいです。
    緯度の高さから ほんの短い期間しかありませんので、
    自分でも冬の走りはありませんでした。
    今回のシーンは貴重な北海道の冬の旅がみれて
    よかったです。

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    1. kaoriさん、こんにちは。
      大阪での暮らし、そしてW3=650RSとのバクライフ、順調に進んでいる御様子、ブログで拝見しています。

      この場所は2010年の10月31日に、「町内会」のツーリングで訪れた場所でした。
      (『聖地巡礼―バイクライディングin北海道』2010年11月2日記事「ハーベストクルーズ1」    (http://blog.goo.ne.jp/takkikazuhito/e/7f2c778d220e01b0ace078d05911757d)
      10月終わりでしたが、寒い日でした。
      今年の北海道の11月は例年よりも暖かかったようです。
      11月23日にバイクで走れるなんて、そんなにないですね。

      すぐに路面が凍結し、積雪期に入ってしまう北海道は、バイクでの冬旅は、特別なタイヤなどの装備をしない限り、一般的には難しい。
      以前暮らしていた広島の方が、冬の間も走っていたので、結果、0℃~5℃域でもよく走り、冬の旅も多かったです。
      若かったこともありますが、結婚前はクリスマスツーリングや年越しツーリングなどにも毎年のように出かけていました。

      kaoriさんの冬の旅、電熱ウェアも手に入れられて、どんな旅をなさっていくのか、楽しみにしています。
      とはいえ、大阪でも寒い日は心底冷えますよね。
      年末に向かい、お仕事も忙しくなってくることと思います。
      どうぞ、風邪などひかれませぬように、お気を付け下さい。

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  3. もう厳しい冬なのですね。

    次のシーズンも、楽しく元気に走れますように。。

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    1. tkjさん、こんにちは。
      ありがとうございます。
      あまり走れないシーズンでしたが、久しぶりの一泊ツーリングに行けました。
      来シーズンはもう少し走りたいと思っています。
      走る時間を作り出したり、疲れないように装備も整えたり、いろいろ工夫をしながら
      バイクライフを楽しみたいと思います。

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    2. とにかく、“忙しすぎる”のが気になります。
      ご自愛ください としか言えないのですが。。

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    3. tkjさん、ありがとうございます。
      異常な忙しさは私の業界全体に蔓延していて、年々ひどくなり、
      入院したりする人も増え続けているのです。
      日本の社会的問題の一つではあると思うのですが、
      自分が壊れないように、気をつけていきたいと思っています。
      ありがとうございます。
      tkjさんもご自愛ください。

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