2015年1月14日
V7に求めていいもの。いけないもの。(^^;)
MOTO GUZZI V7も、2015年モデルではⅡとなり、さらに性能をアップした様子。
私の「ゆきかぜ」は旧モデルになりました。
しかし、性能が上がったとは言え、基本的な性格は大きく変化はしていないと思います。
はたして、V7クラシックから始まったこのV7シリーズ。何を求めてよく、何は求めてはいけないのか。
簡単に整理してみたいと思います。
注意!1 この記事はあくまで樹生の個人的印象であり、あまり信用できません。
注意!2 この記事にはジョークが混じっています。そういうものとして読んでね。
V7に求めてはいけないもの
1. 「うわー、すげぇー、」という、街や旅先の人からの有声、無声の感嘆の声。
ビッグバイクに乗る人の心理として、本人が否定してもどこかにある、「俺は強い」と見られたい願望。 それをかなえてくれる周囲の称賛や感嘆は、V7では手に入りません。「通」な人は、「あ、モトグッツィだ。珍しいのに乗っているな」と、ちらっと思ってくれるかもしれませんが、そんなことはまれ。400ccネイキッドバイクくらいの扱いを受けることは覚悟しましょう。それがいやな人は、各メーカーのフラッグシップマシンに乗るべきです。まちがいなくスゲーです。
これ、本音では結構な人が持ってる願望なんですね。自分の心とよく相談しましょう。
V7に求めてはいけないもの
2. 「うわ、速ええ、ついて行けねえ!」という高速道路での仲間のライダーからの嫉妬。
V7の最高速はおよそ180km/h強。実用上は何の問題もありません。
速度無制限のアウトバーンでは、最高速付近、例えば170km/hで巡航を続けることも可能でしょう。しかし、200km/h以上でぶっとばしていくようなことはできない。高速道路で誰もついて行けない伝説のマシンではないのです。実際にしないにしても、そういうことが「できる」マシンに乗っているという自己満足。これもまた、実は本音のところでは抗いがたい誘惑です。その誘惑に素直な人は、V7では全然満足できないでしょう。
V7に求めてはいけないもの
3. コーナーの立ち上がりで、「うおっ!もうあんなところに!怒涛の加速!ついて行けねえ!」
という、ライダー仲間からの驚嘆。
V7の最大トルクは60Nm/2800rpm。
車格も最大出力(50ps)も400ccクラスのV7ですが、トルクはしっかり750クラス。全開にすれば、相当の加速を、しかも低回転からしてくれます。しかし、最新のスーパースポーツのような、カタパルトから発射されたかのような怒涛の加速は無理です。
ただ、狭く小さいワインディングなら、上手な使い手が乗れば、V7は相当に速いです。コーナーの通過速度が速い上にわかりやすいパワー特性で速くからアクセルが開けられ、しかも高トルクを低い回転数から発揮して6200rpmまで直線的に伸びていく出力は、劇的なものはありませんが、パワー不足だなんていってる間に、後続を引き離すことは可能。
立ち上がり加速も結構速いんですが、絶対的な加速はそれはリッタークラスのスーパースポーツの方があります。
V7にもとめてはいけないもの。
4. どんな状況でもビタッと安定して路面に張り付いているかのような、絶大な安定感。
V7のタイヤはバイアス。タイヤのサイズは前100/18インチ 後ろ130/17インチ。
最新のスポーツラジアルのような、強大なグリップ力はありません。V7のグリップ感は、もう少しソフトな感じ。接地面が常に少し動きながら、全体としてはグリップしている感じです。それでも不安感はなく、むしろわかりやすい感じでグリップに信頼がおけるので、慣れてしまえば問題ありません。
V7にもとめてはいけないもの。
5. 12月の冷たい雨の中を2日間、2000kmを走りぬいてもその翌日けろっとして出勤できる耐候性。
V7は雨の中の走行も平気です。ウェットでのグリップ感は、むしろ分かりやすくその意味では雨にも強いバイクです。
しかし、ノンカウル。左右に張り出したシリンダーが膝への寒風を防いでくれる効果は有りますが、寒い雨の中の長時間、長距離走行となると、さすがに体力勝負になります。
そこまでヘビーな走りを楽しみたい場合は、やはりカウル付のツーリングモデルの独壇場となるでしょう。
こういう使い方がしたい方は、GPZ1100とか、BMWのRTとか、そういうのがいいですね。
V7に求めてはいけないもの。
6.ひりひりするようなコーナリングの切れ味。
かつての愛車、カワサキのツーリングスポーツ、GPZ1100のコーナリングは「まさかり」か大ナタのような重厚なものでした。
V7のコーナリングは、よく切れるナイフか小刀。スパッと切れる切れ味は、小気味の良い鋭さ。
しかし、カミソリのような、ひりひりするコーナリングの切れ味まで求められると、ちょっと応えきれない感じはあります。
それは、バイアスの細いタイヤ、スーパースポーツに比べると柔らかいフレームなど、限界域が低く設定された故かと思います。
低いとは言っても、一般道での能力としては十分。いや、使い手が走らせれば相当に速いです。
どれくらい速いかって?小説『風のV7』を読んでください、なんつって。(^^;)
V7に求めてはいけないもの。
7.何も考えずにバイクに寄り添いながらいつまでも走り続ける癒され感。
これはもう、ハーレーダビッドソンの独壇場。
しかし、国産で言えば、カワサキW800はこの場面では相当に「いい」らしい。
そしてCB1100。これはクルージングするには本当にいいらしいです。ハンドリングも素直で軽い。
V7は750ccツインエンジン。昔なら大排気量でトルクフルで憧れのマシン。
現在では中間排気量。エンジンの仕上げもマナーが良い。馴らしが十分に終われば(私の場合、5000kmかかりましたが)歩くようなスピードでも滑らかに走行できます。ドコドコいう鼓動はありながらも低速域の滑らかさもちゃんと兼ね持つ、すごい性能のエンジンです。
でも、何も考えずにただバイクに身をゆだねられるかというと、違う。
V7は、きちんとライダーが操作しているという感覚を常に求めてきます。それは、神経質なものではないけれど、自分が操作していることを忘れさせてくれない。見ただけでコーナーに入っていくなんてこともない。リーンはとても軽いですが、そのきっかけはライダーがちゃんと作ってやる必要があります。また、気持ちを込めてコーナリングするのと、ただ座ったまま傾けてコーナリングするのとでは、旋回力もコーナリングの気持ちよさも違います。「気持ちを込める」なんてオカルトっぽく感じるかもしれませんが、これは実際は体重の預け方の問題です。ただ座っているのではなく、自分の身体の預け方をコーナリングにふさわしいものに変えていくことを指しています。詳しくはいつか項を改めてお話しします。
じゃあ、逆にV7に求めていいものは?
いろいろありますが、順不同で。
V7に求めていいもの
1 「走ろう」、と思った時にさっと跨ってパッと走り出せる、気軽さ。
2 街中で、アクセルの一開けで車群を置き去りにできる実質的な速さ。
3 1リットルで25kmくらい走る燃費と、一回の給油で350kmは安心して走れる航続性。
4 ライダーの関与度が高く、正確に応えて、自在で且つ相当に速いコーナリング性能。
5 雨でも鼻歌を歌いながらバイク散歩と気取りたくなる、レイン走行時の安心感。
6 かわいさと猛々しさが同居したパワーと車体のバランス。
7 エンジンと車体の限界域まで徐々に攻め込めていける充実感。
8 遅くなく、速すぎない速度設定で、欲求不満と罪悪感にあまり苛まれないバイクライフ。
9 あまり目立たないので街並や田舎の風景にもこっそり忍び込める控えめな存在感。
10 一日に600kmくらいではお尻が痛くならないすわり心地のいい固めのシート。
11 わかりやすくて扱いやすいブレーキ性能。
12 普通のダートなら平気で入って行ける、走破性。
13 走ることそのものが楽しいと思える、バイクの原初的な魅力。
などだと、私は思うのですが。
あくまで私個人の感想ということで…。(^^;)
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こんばんは。takaです(^-^)
返信削除今回の記事、読み応えがありました。
で、感じた事。
「ん~、SRと同じだぁ」(笑)
SRも、車格で見栄ははれません。
パワーも、加速も自慢できません。
最新の機構なんて、全くありません。
てか、そう面に対して「もう十分見栄や自慢はしたから、身の丈で楽しもうか」
って、気持ちの整理が出来たからこそ、SRを心底楽しめています。
V7も「大型」ではありますが、コンパクトですものね。
解ったオーナーが選ぶバイクだと思います。
時代は、大型初心者大半です。
もう少し時間が経過すると、「本物」だけが残るでしょうね。
自分の尺度で、バイクを選べるライダー達が。
確かに、スキルより少し無理めなバイクにチャレンジする楽しみも、解りますけどねぇ(^_^;)
全てのライダーが、怪我せず無事故で楽しんでほしいですね。
akaさん、こんばんは。
削除SRのハンドリングは再評価されていますね。フレーム剛性やパワーから絶対速度は高くないものの、そのハンドリングの楽しさは素晴らしいと、根本健氏や佐藤康郎氏などが書いていました。
もちろん、シングルエンジンの味わい、敷居は低いけれども、本気で走らせるとなると相応の技術を要求してくるスパルタンな一面など、尽きせぬ魅力のあるバイクだということですね。
実は私の中にも、大見得を切りたい気持ちや、日常がヘビーだからこそたまの休日は思い切りチェンジして物凄いバイクに乗りたい気持ちは結構あります。^^;)
ただ、私のバイクへの要求って、かなりわがままなもので…、それでV7になってしまった…というのがだいたいのところかと思います。
今は「ツーリングブーム」だそうで、私のような中・高年がバイクに還ってきたり、初めて乗り出したりして、バイクで楽しむ人が増えているそうです。
雑誌も増えていますよね。
入口はかっこからでもいいと思います。(私なんかすけべな下心もかなりありました。)しかし、例えばバイク旅の深い味わいや、バイクライディングの、なんというかハウツーだけでない、これも深い味わいなどについて、バイクジャーナルがもう少し発信してくれたらなあ…とも思います。
バイク趣味は登山と一緒で、お手軽だったり、楽しいだけだったりするものではないです。危険とも隣り合わせであることを十分にわきまえつつ、人がどうであれ、自分のスタンスで深く楽しめる趣味。そんな文化について、もっと深いモノが読みたいなあ…と思うし、ビギナーの方々にも、今の楽しさを謳歌することを十分に認めながら、それぞれの方向でもっと奥深く、もっと味わい深い世界もあるのだということを、少しずつ表現する…そういうバイクジャーナルがもっとあってほしいと、個人的には思っています。
takaさんのおっしゃる「自分の尺度」の素敵な例が、たくさんあるといいなあと思います。
大阪在住、2013V7レーサーに乗っております。うん、うんとうなずけるとこ満載でした。
返信削除三岡 眞理さん、こんにちは。
削除コメントありがとうございます。共感していただけて、うれしいです。
「ブログ村」にも参加せず、細々と書いているブログです。
しかも北海道なので、冬は走れません。
こんなブ当ブログですが、よかったら時々のぞいてみて下さい。
どうぞ、よろしくお願いします。
あらためて、いいバイクだなぁ。。。
返信削除と本当に思いますね(^^♪
すべてに控えめな感じがしますけど、
その実これほど贅沢なバイクは他に見当たらない
というのがボクの感想です。
アドレナリンの出るバイクではありませんが、
幸せになれるバイク。
ありそうで無いんですよね。
ボクにとっては奇跡のバイクです。
今の時代に新車で買えることが
信じられないくらいです!
シャモンさん、こんにちは。
削除総合性能で言えば、ホンダのNC750シリーズの方が高いような気がしています。
しかも、今回取り上げた求めていいもの、いけないもの、の価値判断では、かなり重なっているモデルです。
でもV7は、シャモンさんのいう「幸せになれるバイク」という点で、僕の心身に響きます。
誰にでも無条件に勧めるモデルではありませんが、かなり幸せ度の高いモデルのような、そんな気がしています。
昔から40年以上基本の変わらないバイクなのに、一種不思議な感じがします。
私が齢をとったというのも、関係しているのかもしれませんが。