2016年8月20日

どうしてほしがってる?


実は私、片付けが幼い頃からの「大の苦手」です。
仕事上のことは、破綻しないように相当に気を付けてやっていますが、プライベートではなかなか片づける気になれない。
そして片付けること自体が好きでない。やっても、気持ちよくない。苦痛でしかないのです。
これは、生活者としてはなかなか困った弱点です。
ある日妻が言いました。
「今、手に持ってるモノは、どこへ置いてほしがっているか、そのモノにきくのよ。」


これはどこへ片づけようか…ではなく、お前はどこへ帰りたいのか?と聞くと、どこへ置くかが自然に定まってきて、散らからなくなる…というのです。

「私はいつもどこへ置いてほしいの?ってきいてるわよ。」

なるほど。

自分で片づけるときは、どこがいいんだ?どこだっけ?と、自分に問いかけてしまい、いらいらしたりするんですが、(これは私が片付けが大の苦手だからと思います。)
「どこに置いてほしいか」だと、気持ちに距離感がでて、「待ち」のスタンスをとれるので、変な力が抜け、ちょっとのタイムラグも苦にならなくなるのです。



バイク操作も、そうだよなあ…と、片付けとは関係ないことを考えていました。
これはもう、古くから言われつくされたことなのですけれども。

最初は、バイクと自分との間に「関係性」が成立していないために、どうしても「どう操作するか」、どこに力をいれ、どの順番で、どのタイミングでどの方向にどれくらいの強さで入力するか…と、こちらの入力操作の方に意識が行かざるを得ません。

バイクで走る時間が積み重なっていくにつれて、次第に、ひとつひとつ意識していた操作入力が、無意識化するようになっていきます。
個々の入力への意識が全体としての動的認知になっていく…と言ってもいいかもしれません。
動作が自動化することで、入力に集中していた意識を、他のことに向けられるようになり、今の動きは少し重かったとか、少し速すぎたとか、いつもよりも軽いとか、なんだかしっくり来てない感じがするとか、いろいろ感じられるようになってきます。

そうすると、バイクの作りや原理に反した入力をしたときには動きが重かったり、動きがぎこちなかったり、うまく動かなかったりし、うまくいったときには、軽い力でスムーズに、しかも快感と感じるほどに気持ちよく動くことに気付くようになります。

ここからがバイクとの対話の深まりです。
実は超初心者の時から、バイクとの対話は始まっていました。
アクセルを開けるとブルンと震えて前へ出ようとするとか、ブレーキをかけるとただ減速するのではなく、最初に前のめりになるとか。

自分の操作によりバイクがどう動態を変えていくか、今、バイクの状態はどういう状態でいるのか。
そういうことを感じながら、最も効率のよい、無理のない入力をしていく。
すると、本当に気持ちいい。
まるで、機械であるバイクと生き物である自分とがシンクロしているかのような、自分の体の延長にバイクがあってそして地面を蹴って動いているような、そんな感覚になれます。

バイクは今、どうしてほしがってる?
そのセンサーを働かせて、自分がそれに応えていくように操作する。
それはオカルトでもセンチメンタリズムでも、メルヘンでもなくて、
操作していくときの、人間側の認知の問題なのです。

カーブでは車体を傾け、停止するときは支えないと倒れる。
バランスで姿勢を維持して走っていく二輪は、もともと自分で安定している3輪、4輪よりも、人車一体(総体)でのバランス状態が重要。
そのために、自分とバイクの質量と動態を合わせてトータルで認知しその先の状態をイメージする必要があります。

そのとき、思考戦略として、どう操作しようか、ではなく、どうしてほしい?こうかい?と、問いかけながら、その結果をフィードバックしながら走る…ということが有効になってくるのです。

バイクにちょっと性的なイメージがある(…なんて考えることが偏愛的バイク乗り男性の気持ち悪いところなのかもしれませんが^^;)のは、そんなこともあるのかな、などと考えたりもしています。

3 件のコメント:

  1. KEI Cさん、こんにちは。
    ジムカーナをやられている方ならではのコメントかと思います。
    私はもう少しゆっくりのリズムで考えています。
    自分とマシンの動きが自然にシンクロしていくような、そんなイメージです。
    と、言っても、我が強いとなかなかうまくいかなくて、難しいなあと思うこと度々です。

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  2. takaです
    我が家では、私が片付け上手で、妻が片付けが苦手です(笑)
    なので、趣味の片付けとなると、ディスプレイしたくなったり(^_^)

    『バイクは今、どうしてほしがっているか』
    良い表現ですね。使わせてもらいます(笑)
    私は、同じ様なことを『バイクの邪魔をしない』って、表現していました。
    リラックスして乗るほど、バイクが発する情報『言葉』が、届きますよね(^_^)

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    1. takaさん、こんにちは。
      100の夫婦には100の個性が、ですね。

      例えばタイムを削るとか、相手を追い抜くとか、
      いろいろやっていくと力でねじ伏せる要素がどうしても入ってきて、
      気をつけないとバイクの声が聞こえにくくなりますよね。
      リラックスして乗ることでバイクの言葉が聞こえるって本当にそうだと思います。
      なかなか難しくて、うまく行ったと思ったり、全然ダメだったりです。
      それもまた、楽しみの一つ。ゆっくりやっていきたいと思います。

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