2021年6月30日

丘、快晴2(親子の木、ケンとメリーの木)


千望峠から、道道510号などをつないで、美瑛町、「北西の丘展望公園」にやってきた。
ここで、トイレを借り、自販機で飲み物を買った。

良く晴れ、青空が広がり、山のところから上昇気流で積雲ができ始めている。



大雪山系の山並み。
広がる丘は、大雪山系の火山噴火による火砕流、土石流によってできたもの。
すさまじい噴火活動だ。

ここ、北西の丘展望公園からは、どちらに走っても美瑛の丘を巡る道を楽しむことができる。
今日は、時間もないので、美瑛町の北西側、この近くだけをくるっと回ったら帰ることにしよう。



5分ほど走ってやってきたのは、親子の木として有名なカシワの3本の木だ。
両側の大きな木の真ん中に小さな木があって、親子みたいに見えるということで名づけられている。
ここは、なだらかな丘陵の稜線を行く道。
このように、見晴らしもいい。
人もしばらくはいなくて、丘の風に心地よく吹かれることができた。

この観光地で、夏で、晴れて、昼間で、こんなに空いているのは、本当に珍しい。



ゆきかぜを停めたところから、樹の反対側を眺めたらこういう風景だ。
丘の畑が、どこまでも続いている。



手前は春まき小麦だろうか。奥にあるのはなんだろう。花をつける前のジャガイモか。
その向こうに小さな谷があり、また奥に丘が続いている。


6月23日。夏至の2日後の強い日差し。
昼が近くなると、山の上昇気流は時として入道雲になる。
今日はまだ、そこまで大地が温まっていないようだ。
積雲が連なり、流れていく。



「ケンとメリーの木」は、ポプラの大きな木だ。
ポプラは短命の木で、100年を越えると、だいぶ老木だ。
この木は何年ぐらいだろう。
幹がすかすかで家具にもならず、薪としてもあまり優秀でないポプラは、パイオニアプランツ。
発育が早く、早く老化して朽ち、その間に足元の土を豊かにする。
やがてその土を糧として、別の木が育っていく。

あの木はきっと、畑の持ち主が目印に植えたものではないだろうか。

そうしたシンボルツリーは、美瑛や富良野だけでなく、北海道のいろんな場所で見ることができる。

美瑛や富良野の風景は、写真家と、テレビのCMによって一気に人気になり、さらにテレビドラマ「北の国から」の人気が、観光地としての富良野を不動のものにした。

もちろん、それからもう40年、人々のさまざまな工夫や努力が、富良野、美瑛の観光地としての人気を保っている。


まだ12時前。
今から引き返して、夕方より前には帰りたい。
そう、明日(6月24日)は仕事があり、その準備を今晩しなければならないのだ。

久しぶりに訪ねた美瑛の丘。
観光地化はさらに進み、風景も少しずつ変わっていた。
イメージもさらに手垢にまみれたものになってきているかもしれない。
しかし、いいものはいい。
基本的には農の風景。
命をつなく、食糧生産の現場が、この富良野の丘の風景なのだ。
そうした営みが、続いていることが、北海道の強さでもあり、魅力でもあるのだと思う。

ただ走り回り、通り過ぎていく僕とゆきかぜ。

風景の中で、少しの後ろめたさと申し訳なさと、大きな解放感や幸福感を感じて、
その両義的な感覚にすこしくらくらする……。
それもまた、旅というものの、醍醐味のひとつなのかもしれない。

さあ、帰ろう。ゆきかぜ。
安全運転で。
(丘、快晴 完)



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