国道230号線を南へ、そして西へ。
中山峠を下りると、喜茂別町の田園風景が広がる。
畑の雪はまだ消えていないが、もうすぐ春の耕起が始まるだろう。
そして輝く春の陽光。
気持ちいい。
この場所も、最初に北海道に住んだ昭和62年、63年、1987年、88年の時から好きで、何度も通った場所だ。
その頃の愛車は、カワサキ、GPz400FーⅡだった。
なつかしい。
あれから35年が過ぎようとしている。
ここは、「羊蹄山ビューポイント」として設置されている駐車帯の一つ。
尻別川越しに、羊蹄山の麓から山頂まで見晴らせる場所だ。
今は白樺の樹も裸で、向こうの土地が隙間から透けて見えるが、もう少し立つと白樺の白い幹と緑の葉のそよぎの向こうに羊蹄山がそびえている風景に替わる。
そうだ、僕がずっと「秘密の場所」と呼んでいた、大富牧場へ行ってみよう。
いつ名前がついたか知らないが、そこはいつの間にか「望羊の丘」と名付けられ、昭文社のツーリングマップルの表紙を飾ったりして、いまだにトイレも自販機も何もない、ただの牧場を横切って走る林道なのだが、わりと有名になってしまった。
僕が訪れる時は、たいていは無人で、静かな時間を過ごせるのだが、今日はどうだろう。
そこが僕のお気に入りの場所だ。
左の道は除雪が続いていたが、右側の道は除雪してなく、ここで行き止まりになっていた。
左の道は除雪が続いていたが、右側の道は除雪してなく、ここで行き止まりになっていた。
自然の雪解けを待つのだろう。
5月の中旬には、完全に解けるだろう。
振り向くと、雪の残る大地に、尻別岳と羊蹄山の二つの山が美しくそびえていた。
広い。
北海道を感じる瞬間だ。
まわりには誰もいない。
風が少し吹き、その音が聞こえるだけだ。
尻別岳は、星の王子様に出てくる「帽子の絵」みたいだ。
尻別岳の向こうに見える山は、スキー場のスロープが見える。
ルスツだ。
春スキーのシーズンも、もうすぐ終わる。
やはり美しい。
手前の雪原はやはり牧草地。
ここは結構大きな牧場なのだ。
羊蹄山の麓に見える四角い雪原は、あれは畑。
浮かんだ雲の影が、山にさしている。
羊蹄山はいつも雲の中に姿を隠している。
晴れるのが珍しいと言われる山だ。
今日はついていた。
今年も来ました。
山で最初に芽吹くのは、ネコヤナギ。
山で最初に咲くのは、コブシ。
カラマツ、白樺、残り雪。
質感は低い。
もう一回、ゆきかぜを停めて、ゆきかぜと羊蹄山を眺める。
陽射しが暖かい。
寒さを感じない。
光の春。
すっかり春が来ていた。
さあ、北側を回って、赤井川へ抜けて、帰って行こう。(つづく)
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