2023年4月30日

RIDERS CLUB No,1~No.126 到着

一昨日、家に帰ると、段ボールが3箱、届いていました。
注文していた『RIDERS CLUB』のバックナンバー、創刊号から126号までのセットが届いたのです。 


1977年から1988年まで。
日本のバイクブーム絶頂期を迎えていく時期を記録した、貴重な資料であり、日本のモーターサイクル文化の最高峰(と、言ってしまいましょう)を築き上げた、モーターサイクル・ジャーナリズムの鑑とも言うべきRIDERS CLUB。

(もちろん。オートバイ誌、モーターサイクリスト誌など、優れたバイク雑誌は先行してありました。しかし、バイクが空前のブームとなって行く中で、その渦中に身を投じながらもそのブームの意味を厳しく捉え、しかも世界的視野から最先端の技術、バイク文化のあり方などをハード、ソフト共に最も誠実に、エンス―ジャスティック(ああ、懐かしい)に論じ切ったと言えば、RIDERS CLUBが完全に群を抜き、孤高の存在だったと言っていいでしょう。


1962年生まれの私がバイクに乗り始めたのは、1984年の夏。
その頃、大学の後輩の下宿で本棚に「RIDERS CLUB」を見つけ、とんでもないものを見つけた!と欣喜雀躍して翌号から1999年まで、欠かさず買っていました。

1993年に子どもが生まれ、1999年に北海道十勝地方に移住。
大きな本屋も少なく、仕事と子育てに忙しく、当時の愛車GPZ1100の年間走行距離も1,000kmを切り、「RIDERS CLUB」も途絶えがちになり、また、狭いアパート暮らしで引っ越しを繰り返す中で、置き場所もなく、床も抜ける(!)おそれもあるとして、RIDERS CLUBのバックナンバーは殆どタダ同然で古本屋さんに売却してしまいました。

2004年に十勝から札幌に移住。
2006年末に小さな家を建て(35年ローン)、2007年にバイクブログをはじめました。

子どもが中学生になり、休みの度に家族で…ということもなくなり、しかし、若い時のようにいつでもどこまでもさすらうような走りは許されず…。また、公道での走りを極めて行きたいという、若い頃からの厳しいあり方も、もう路上では許されない年齢でもあり、時代ににもなっていました。自分のバイクライフは、どうあるべきか…。
なにか綴りながらやってみよう。と始めたブログ。
そのあたりから『RIDERS CLUB』も再び買い始めていましたが、編集長も変わり、雑誌の方針が少しずつカジュアルになるにつれて、渇きがいやされないような、そんな感じも受けていました。

この頃から私の購読するバイク雑誌のメインは『RIDERS CLUB』から『BIKERS STATION』にシフト。
『OUTRIDER』と合わせて毎月必ず3冊買い、プラスしてこれは!と思う号は別の雑誌も買う…というルーティンに変わっていきました。

今では、『BIKERS STATION』、『OUTRIDER』は休刊。
『RIDERS CLUB』は根本健氏が完全に抜け、小川勤氏も抜けて、ここ数年間では逆に面白くなってきています。元GPライダー中野氏、原田氏、青木氏をフィーチャーし、高橋剛氏の文章はいい意味でこなれて、最適化され、誠実で面白い、RIDERS CLUB誌が戻ってきている感もあります。

しかし、

1980年代のあの、『RIDERS CLUB』の圧倒的内容。文章の気高さ、写真の的確さ、そして美しさ。芸術品にして学術的な価値もあり、そしてライダーの魂を全力で込めている、あの圧倒的な内容とオーラにはついぞ出会っていません。

今回、幸いにもバックナンバーを購入できて、
しかも、1977年創刊の前、1975年の第1号、そして季刊の2号から6号までも含め、その後に月刊第1号から始まるという。なんというか、超豪華なセットが我が家にきたことを本当にうれしく思っています。

…というのは、コロナ前、私は10年間ほど、東京に出張になるたびに無理やり時間をこじ開けて神田神保町の古本屋外へ行き、RIDERS CLUBのバックナンバーを見つけては、2~3冊ずつ買って帰る…ということを繰り返してきたのです。
買い戻したバックナンバーは約50冊。

乗り物専門の古本屋さんに行けば、まだまだ全巻並んでいて、買ってもバックヤードから補給してすぐ並ぶ…という状態が5~6年前まではあったのです。

しかし、次第にバックナンバーの単価が上がっていき、欠番も生じ始めていました。
初代RZ250インプレッションの号、根本健がそのハンドリングを絶賛した「RGΓ400」の号など。

いつかは手に入るかもしれない、いつかであえて読めるかもしれない…そんな願いは、時とともにかなわなくなってきていました。

そこに今回見つけた、セットの販売。
これは、もう、ラストチャンスかもしれない。

そう思って、私には珍しく、見つけて数日以内に購入を決意、注文したのでした。


世知辛い世の中。
戦争、混乱、差別、隔絶。
不愉快な話題も多く、旧パラダイムでは進めないことは「わかってしまった」のに、新パラダイムへの移行ができない。
軽やかに新パラダイムに移行していると自称している人たちの、厚顔無恥ぶり、ナイーヴさには、いらだちや絶望感を禁じ得ない。
しかし、だからといって、旧パラダイムの美化に陥ることもならない。

私のような20世紀人にできること、すべきことは「温故知新」。
時代を超えるものを、去って行った時代の中から見出し、新しい時代の中に新たな命として生かしていく。

たぶん、これからの10年間で私のすべき「仕事」とは、そういうものになるでしょう。

その時、『RIDERS CLUB』のこのバックナンバーたちは、きっと私に力を与えてくれるはず。

段ボールを開け、中から丁寧に包装されたバックナンバーを取り出しながら、私の胸に去来した思いは、そういうものでした。


4 件のコメント:

  1. RIDERS CLUB の創刊号から10年分ですか!それはスゴい!!
    私が読み始めたのは83年からですが(世界GPの記事が第一のお目当てでした)
    樹生さんが書いておられるように、当時のRC誌の
    >>圧倒的内容。文章の気高さ、写真の的確さ、そして美しさ。
    全く同感です。
    あの質感と熱量は、紙媒体のあの時代特有のものなのでしょうか。
    不易流行。時代を超えるものが ”新しい時代の中に新たな命として" 生き残っていってくれる事を願って止みません。

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    1. HiroshiMutoさん、ありがとうございます。
      まさに!!!です。ただし、欠番もあります。上に書いたRZ250、RGΓ250、BIMOTAdb1、BIMOTA特集の号はありません。やはり、これは!という注目号は、早く市場からはなくなっていったようです。
      でも、それはしかたないことでしょう。
      むしろ、わずかな欠番だけで、我が家にライダースクラブ10年間分がやってきた!その奇跡のような邂逅に、今は感謝したいと思います。

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  2. 樹生さん、こんばんは。
    ご無沙汰しておりますがお元気でお過ごしのようで何よりです。

    https://twitter.com/nakajima46/status/1684135522078453761?s=20

    既にご存じかもしれませんが
    大変残念なことにBIKERS STATION誌の廃刊が決まってしまったようです。
    佐藤さんの体調も心配しています。

    ところで、非常に良い買い物をされましたね。
    羨ましいです。
    もしご近所なら樹生氏宅RIDERS CLUBコレクションを拝読しに
    毎日のように通ってしまうかもしれません。

    ところで、BIMOTAdb1特集号であれば差し上げることが可能です。
    たぶん、昨日本屋さんで購入して来たようなコンディションのはずです。

    あの号が発売された当時…繰り返し読むようと保管用と
    何冊かまとめて購入したからです。
    ご住所がお代わりでなければ
    何かの折にお送りするのでご笑納ください。

    それではまた、どうぞお元気で…。


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    1. 迷走さん、お久しぶりです。
      佐藤編集長、心配ですね。そして、きちんとしたモータージャーナリズムがまたひとつ、過去のものになってしまったことに悲しみを感じます。

      「RIDERS CLUB」、夢のようでした。
      あまりに圧倒的な宝を目の前にすると、一気に全部読みはできないものですね。
      最初は前から順に…と思っていたのですが、徐々につまみ食いみたいな読みかたになってしまっています。

      しかし、1977年から1987年というのは、本当にバイクの激動期で、パワーもハンドリングも、シャシーも、サスペンションの考え方も、一気に変わっていった頃です。
      そして、ラジアルタイヤが大きい。その変化の大きさを、当時の力の入った文章で読めるのは、本当に贅沢です。

      ああ、ぜひ、迷走さんとも共有したい、そんな世界です。

      ぜひ、一度、北海道ツーリングの途中でも、または冬期のオフシーズンでも、「RIDERS CLUB」を読みに、いらしてください。住所は変わっていませんので。

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