2013年8月19日

2013お盆走4双葉のミズナラ


津別町、双葉のミズナラは、津別町の双葉地区から林道を4.5kmほど入ったところにある。
昭和61年(1986年)に町有林の中で偶然発見されたそうで、周囲の山は幾度も山火事に遭っているといい、その生命力には驚かされる。
津別町のHPによると、推定樹齢は約1,200年で、幹周りは約6.47mで道内第3位の大きさ、樹高は約19mだそうだ。
 林道への表示や分かれ道の案内は読みやすく、分かりやすい。林業の町、津別町だが、樹も、それを訪れる人も、大切に思っているのが感じられる。

12:16PM 津別町双葉 双葉のミズナラ
看板からミズナラの樹までは20~30m。すぐそばにある。奥深い森の中。
熊よけのためにクラクションを長く鳴らす。

木の踏み段を上がっていくと、すぐ奥に見えた。


大きい!
写真では、ちょっと太い樹くらいにしか見えないが、その威容は、むしろ異様にさえ感じる。
胴回りが6.47mということは、円形だとすると直径で2m以上ということになる。
数値にすればそうでもなく感じるが、樹は生き物だ。あまりにでかい生物に出会うと、やはり気圧される。
とにかくでかい!しかも根本の方だけ太いのではなく、ものすごく太いまま、上に向かって伸びている。
まわりの樹々が若いのが気になったが、山火事に何度も襲われたというのであれば肯ける。
その山火事でも燃えず、倒れなかったというのか。

畏ろしさと、物珍しさと、厳粛な気持ちと、野次馬根性と、相反する感情を同時に抱かせるような、そんな威容だ。

根方の木の柵には、大きな枯れ枝が落下する危険があるためにこの柵より近づくのは遠慮してくださいとある。
小さな板への注意書き。相手を信頼して書いているのが伝わる。
こういう注意書きには従うことにしている。
いや、それにしても大きい。



この写真の部分で高さ10mくらいだと思う。樹高は19m。北海道の記念保護樹にはどう見ても高さを水増ししている看板もあるが(注意!ただし、看板設置後に大枝や主幹が折れて低くなった場合もあり得る。)、この樹の高さは記述通りだろう。幾星霜の間に、何度も枝が折れては伸び…を繰り返し、今の姿になったのだろう。もしも主幹が一度も折れず、今も伸びていたら、相当高かったことだろう。そこまで行かなくても、この樹の200歳くらいの時の姿、今から1000年昔には、すっくと立った巨大でのびやかな姿が、森の中で群を抜いていたことだろう。それとも、もっともっと長寿の先輩たちに囲まれて「若造」していただろうか。
大枝や幹についた苔が風格を感じさせる。


見上げるとお昼の太陽が枝間から射していた。
まわりの若い木々の若々しい葉に囲まれ、このミズナラも葉を付けていた。
ミズナラはどんぐりの樹の仲間。カシワの樹とは違うけれど、そんな感じの大きめの葉を持つ。
ほとんど風のない日だった。時折、風が上空を過ぎると、森全体がざわざわと鳴った。
名前が分からないが、鳥の声が聞こえていた。


大きな根方に、小さな芽が吹いていた。



柵は手前の一部にしかなかった。その柵が円形にあったと仮定して、また、上方に枝のないように気をつけながら、少し左右に回ってみた。
おおきなこぶ。ここにも昔、大枝があったのだろう。
岩のようだ。
しかし、岩ではない。
これが生きものか。


反対側に回ってみた。
やはり大きい。
斜面にしっかりと立っている。巨大な楔(くさび)が天空から突き刺さったようにも見える。
この土地の中心に突き刺した、そんな感じがする。




熊との遭遇を恐れて、僕はこの樹の側にいる間中、何かしら大声を出し続けていた。
オーバーに思う人もいるかもしれないが、ヒグマは本州の月の輪熊とは違う。
彼らの領域に僕が入り込んでいる以上、なるべく遭遇しないように注意し、自分が森の一部であると感じられないなら、できるだけ早くこの地から立ち去った方がいいのだ。

双葉のミズナラは、すくすくと高く伸びた後輩に囲まれて、あるで岩のように、どっしり立っていた。
(つづく)

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