2013年8月18日

V7エンジン性能と最高速




番組の途中ですが…

じゃなかった、ツーリングレポートの途中だが、今回のツーリングで我がV7Specialゆきかぜ号は走行距離が2500kmを経過。馴らし終了までもう少しの時間と距離は必要なものの、全開高回転走行は解禁となった。(勝手にしただけだけど)
そこで、先にそちらをレポートする。

ゆきかぜ(=MOTO GUZZI V7Special 2012)の諸元表は、以前ようこそV7(2)で記事にしたが、エンジン形式と性能の部分だけ書き抜くと以下の通り。

    エンジン型式     4ストローク空冷90°V型2気筒OHV2バルブ
排気量         744cc
最高出力       37kW(50 PH)/6,200rpm
最大トルク      60Nm/2,800rpm
トランスミッション形式   5速リターン
クラッチ形式      乾式単板クラッチ

最高出力は50馬力。これはV7クラシックだった旧型よりも2馬力、日本仕様としては10馬力アップしている。
とはいえ、50馬力である。僕のかつての愛車、GPz400F-Ⅱは54馬力だった。名車の誉れ高い現行CB400SFは53馬力を1万0500rpmからたたき出す。CB400SFの最大トルクは38Nm/9500rpm。馬力は400ccクラスで、トルクはやはり750クラス分ある、ということか。
 ちなみに最新水冷ネイキッドスズキGSR750の最高出力と最大トルクは、106ps/10000rpm、80Nm/9000rpmである。

似たような空冷ツインの仲間、W800の最高出力と最大トルクは、48ps/6800rpm、62Nm/2500rpm。意外なことに?Wの方が高回転で最高出力を発揮する。

実際に走ってどうか。

極低速走行は1速限定で可能。しかし、2速でゆっくり走るのは向いていない。2速以上だと1500rpm以上、できれば2000rpm以上は常にキープしたくなる。
『ライダースクラブ』誌によれば、V7はトライアンフやW800、ドカティモンスターなどよりも「ドコドコ感」があるらしい。
そうした振動は全域で感じる。かつてのモトグッチは高回転域で振動が収まって行くという特性を示したが、V7の場合、5000rpm以上で回転が滑らかになるが、無振動にはならなかった。
また、何度も書いているが、走ってさえいれば、シャフトドライブでの「伝統的」なトルクリアクション(アクセルオンで右に振られ、アクセル急閉で左に振られる)は全く感じない。

トップ5速では、3000rpmで時速80km。
時速60km時の回転数は2250rpm。この回転数、2000~2500くらいは穏やかで流すのに適している。
大型マルチエンジンの中には6速1500rpmからでも加速していく性能のあるエンジンもあるが、V7は5速では2000rpm以下にしたくない感じだ。
5速の2000rpmは約53km/h。時速50km以下の速度では、4速以下のギヤを順次使うことになる。
エンジンを回していくと、
力が弱く、付きはいいがややぎくしゃくする1500rpm以下、
振動がまろやかで心地よく、穏やかに巡航するのに向いている1800rpm~2500rpm
しっかり加速もして、でも扱いやすくもある2500rpm~3500rpm
力強くなり、しっかりタイヤが路面を蹴っ飛ばして走る感じが爽快な3500~5000rpm
高回転域で力は強いが扱いやすく、全開も可能、表情を換えずにリニアに力を上げ、回転を上げていく感じの5000rpm~7000rpm、
といった感じだ。


各ギヤとも、7000rpmでリミッターが作動する。
燃料カットか点火カットか、両方かわからないが、7000rpmまで直線的に非常にわかりやすく出力を上げてきたエンジンがいきなりビビビビ…と、出力を間引きされた感じで7000rpmを維持するようになる。その効き方はやや唐突。
6200rpmが最高出力だから、7000rpmに向けて徐々に出力は下がっているはずだが、あまりそのことは感じさせない。各ギヤでスロットルをストッパーに当てて全開固定してみても、5000から7000の間は表情を変えずに一定の加速を見せ、7000で突然頭打ちになる。

メーターにはレッドゾーンがないが、レッドゾーンに入る前にリミッターを効かせてしまう設定のようだ。感覚的には、まだまだ高回転を許容してくれそうな感じだが、一瞬なら壊れないかもしれないが、用心して使ってくれ…という領域をライダーに預けずに、リミッターで制限してしまって回しすぎによるエンジンの破壊を防ごうとしているんだな…と感じた。

計算上、最高時速は187km/h近辺。これ以上はリミッターがきくので出せない。
ネイキッドでもあるし、風圧との戦いもあり、さまざまな条件によるが、実際の最高速はそれよりちょっと下あたりと考えた方が現実的だろう。

メーターの数字の刻みは、1972年のV7sportのものを踏襲しているそうだが、速度計、回転計ともに振り切ることはないようだ。

最高馬力が出ている6200rpmを中心とした5000rpm~7000rpmのあたりは、エンジンの方が2字曲線的に吹け上がろうとしないので、コントロールしやすく、その手ごたえもリニアで、右手での車速や加速加減のコントロールが面白い。
反面、恐怖を感じるほどの猛烈な加速はしない。
ライダーが意図的に持ち上げない限り、加速時のフロントアップ(ウィリー)はない。

 

全閉位置と全開位置にマーキングした。
V7のアクセルグリップの開度は90度以内で、握り替えずに全閉から全開まで操作が可能。
アクセルの開閉に対するエンジンの反応はとてもよく、きちんと開けただけ反応して力を出そうとする感じだ。

 最初だけばっと反応してそのあとちょっとついてこない、いわゆる「ドン付き」はない。
出力自体が低いためと、空冷のレスポンスの遅さがあるために、最新のSSから乗り換えると、穏やかな特性に感じると思う。
また、初心者が乗ると、入力に即座に反応するので、慣れるまでは神経質で疲れるバイクに感じるかもしれない。

全閉時。
全開時。


 アクセルを閉じると、減速しようとする。
平地を一定速で巡航している時のパーシャル域がやや狭いので、エンジンは加速しようとするか、減速しようとするかになりがちだ。
従って何も考えず車列の後を延々巡航するようなシーンはあまり得意ではない。
しかし、今回のツーリングでは、車列の後を走ることが何回かあり、その際には別に何も掻痒は感じず、そうしたシーンが苦手なこともまったく忘れていたから、慣れの問題かもしれない。

エンジンブレーキはそれほど過大ではない。しかし5速ミッションはワイドだから低回転域以外ではシフトダウン時に回転を合わせる操作を要求してくる。
そうしなくてもダウンできるが、合わせた方が気持ちよく走れるのだ。

V7のエンジンと車体は、どんな乗り方でもまあまあ許容する一方、明確に「ここはこういうふうに扱ってほしい」というメッセージを発してくる。
そしてその操作の違いによって反応が明らかに変わる。

よくイタリアンバイクは走ると疲れるけれどもその疲労が心地よいとか、疲れるがまた乗りたくなるとか聞くが、そういうところに違いがあるのかもしれない。



僕の購入候補にはこのV7の他にW800も入っていたのだが、W800はさまざまなバイク雑誌で共通して言われていたのが、のんびり走ることやツーリングには向いているが、コーナリング、特にコーナリング中にアクセルを開けたときのトラクション旋回があまり得意ではないということだった。
『バイカーズステーション』では、コーナリングもかなりよいとしながらも、トライアンフのボンネビルと比較試乗してボンネビルに惨敗していた。 
『ライダースクラブ』では、空冷ツインのエンジンを作る心意気に感動しながらも、コーナリングのトラクションに不満を感じて、スイングアームのピボットを上げたら云々と根本氏と竹田津氏が対話していたりしていた。

もう速く走ることをしない僕だが、コーナリングには愉しみを持っていたい。
それは通過速度を上げていくということではなく、オンロードバイクならではの繊細なコーナリングそのものを楽しんで乗りたい気持ちがまだ捨てきれないのだ。
かつ、僕はツーリングライダーだし、ダート道へも踏み込んでいくので、純粋なスプリンターは僕に合わない。
そんなこんなでV7になったのだった。

さて、コーナリング時のエンジンの表情だが、先に述べた力がリニアに出るということ、開け閉めに対するレスポンスがいいことなどから、コーナリングは非常に楽しい。

例えば細いタイヤと縦置きツインエンジンで軽い車体という、左右に傾けるときに抵抗の少ない特性を生かせば、直進からバンクした状態までは軽く、スパッと寝かすことができる。そのとき、バイクだけを力でえいやっと傾けるのではなく、身体ごと、バイクと一緒に内側へ倒れ込むようにすれば、コーナリングの初期から大きく向きを変えることができる。
この傾きをアクセルを開けることで止め、そのまま旋回に入っていくことが可能だ。

また、普通にコーナリングしていて、カーブの後半でアクセル開度を徐々に開けて行くときでも、その開け方に比例して力強く路面を蹴る感じが伝わってくるので、飛ばさなくてもコーナリングに安心感と充実感がある。

むしろ、フレーム剛性も低いこのバイクは、高速で突っ込んでクリッピングまでブレーキを残しながらフロントに仕事をさせ、クリッピング付近でぐりっと回ってアクセルを開けて強烈に旋回しながら立ち上がっていく…という現代的なコーナリグには向かない。

昔ながらのカーブ手前でしっかり減速し、バイクを傾ける時が一番遅い時で、後は開け開けでコーナーをいかに加速しながら気持ちよく脱出していくかを味わう、スローイン、ファーストアウトが原則のマシンだ。
その時にこのエンジンの使い切れるパワーや、リニアな力の出方がとても楽しいのだ。
バイクを右手で操ることの楽しさを味わわせてくれる。

コーナーに関しては、『バイカーズステーション』誌の試乗でかなり速いと報告されている。
僕の実感としても、中速コーナーまでなら十分に速いと感じた。

ただ、速度が三桁を超え、立ち上がりではたちまち200km/hに迫ろうかというようなサーキット走行としては、アンダーパワーに感じることだろう。
また、バイクの馬力による到達速度や、高速道路での度胸試しのようなぶっとぶ速さを「武器」として持ちたい層は、初めからこのバイクを相手にしないだろうが、買ったとしても満足できないだろう。

ハンドリングやコーナリングに関しては、今後も「V7ライディング」のラベルの記事の中で、いろいろとレポートしていく予定だ。


今回のツーリングでは、暑い気温の熱いアスファルト上での走行あり、それほどでない通常の気温での走行もあり、直線路あり、ワインディングあり、ダートあり、雨あり、高速道路ありと、さまざまな状況下でゆきかぜを走らせることができた。

走行2500kmを越えて、2回のパンクと、なぜか最初にスイッチを入れたときにニュートラルランプが点かない他にはトラブルはない。
オイルの沁み、漏れもどこからも発生しない。エンジンも今のところ好調。
ブレーキも好調。塗装の剥がれや、上記以外の電装系のトラブルも発生していない。
イタリア車は壊れると昔はよく言われたものだが、「トラブルフリー化」は年々進み、だいぶ問題ないレベルまで来ているのではないか、…とは、これも誰かが言っていたことだ。
スイングアームの裏側や、プラスチック製のフェンダーの裏側にある配線の処理なんかをみると、「雨が多く降ってそれでも泥はねしながら乗る国の人間のことなんて考えてないだろう」なんて言いたくなる場合もあるのだが、どう乗り、どう付き合っていくかは、ライダー次第だから、そうした突っ込みどころとも付き合っていけばいいのだと思う。

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