その外観は、普通の住宅をそのまま改装して利用したもので、まったく目立たない。
よほど気をつけないと、通過してしまう、そんなカフェだ。
十勝に住んでいた15~11年前、僕は時々、このカフェに来ていた。
十勝平野を見渡せる、大きな窓。
全てオーナーの女性の手作りのおいしいケーキ。
そして珈琲。
室内には静かにクラシックが流れ、とても落ち着いた雰囲気。
疲れたとき、静かに読書をしたいとき、このカフェは、豊かで静かな時間を提供してくれた。
豊頃のハルニレを後にして、ちょうどお昼時。
11年ぶりに、うづきを訪ねたのだった。
オーナーはとても上品な女性。
ひとりで店をやっている。
開いているのは木曜日から日曜日までで、10:30~18:00までの営業。月~水は休みとなる。
この日、注文したのは、バナナキャラメルと、ブルーベリーパイ。
そしてマイルドブレンドのホットコーヒー。
11年ぶりの味。とてもおいしかった。
どぎつくなく、自然で、でもしっかりおいしい。
珈琲も味がしっかりしていて、とてもおいしい。
珈琲はお代わりをした。
店内はこんな感じ。
大きな窓からは、十勝平野の風景が望める。
季節ごとに表情を変える景色が美しい。
木の床、木の机、椅子。
民家の部屋の間仕切り、壁を取り払って一続きの空間にしている。
壁はしっくいの手塗り。
アンティークな感じが基調で、オーナーのセンスがいい感じ。
この内装は少しずつ変わってきているが、受ける感じは11年前と変わらず、オーナーの穏やかで深みのある感じ、そのものだ。
今日のケーキのサンプルも、もちろん本物を展示しているのだが、その棚もおしゃれだ。
入口はこんな感じで昭和40年代の玄関アーチの意匠がなつかしい。
雲が広がってきた。
十勝地方の天気予報は、午後3時頃から所によって雨。
それにしても広い。
この畑の広々感はなかなか僕の写真に写ってくれない。
オーナーに11年ぶりに訪ねた話をし、写真を撮っていいかを訪ねたら、快くOKしてくれた。
店とはいえ、屋内を撮る場合には、やはり持ち主の了解を得てからにすべきだろう。
了解を得て写したものの、写真を撮ったりせずに、ただケーキと珈琲を味わい、心地よい空間に浸っていただけの方が、たぶん、ずっとこの店の良さは味わえるし、写真を撮ることで、何かとても失礼なことをしているような、何かを壊しているかのような、そんな感じに襲われたのだった。
たぶん、それは風景でも同じことなのだろう。
写真を撮ることで、初めて得られることもある。
が、同時に写真を撮ることで、失ってしまうものもある。
「うづき」の駐車場の縁に停めたゆきかぜ。
コスモスが咲き、道具小屋の向こうには広大な畑が広がっていた。
これで、今回の旅で訪ねたいところはすべて訪ねた。
後は帰ろう。
無事に、できれば午後5時までには自宅に帰りたい。
あと、250kmくらいか。
ゆきかぜともう一走りだ。(つづく)
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