2016年1月17日

「弾丸ツーリング」考4

さて、弾丸ツーリングの実例や漫画の中の話などを見てきましたが、弾丸ツーリングとは、どんなものか、少しまとめて考えてみます。今日は弾丸ツーリングとはなんぞや。定義してみましょう。ああ、無意味。(今日も文字だけの戯言です。)




「弾丸ツーリング」は、弾丸というくらいですから、いろいろ寄り道したり、ゆっくりじっくり旅するタイプの旅ではありません。

大前提として押さえておきたいのは、ツーリングには本当にさまざまなバリエーションがあり、そのどれもが優劣で計れるものではないし、タイプに括ることにも、あまり重要な意味はないということ。

その上で、無数にあるツーリングスタイルの中のひとつの傾向、パタンとして、「弾丸ツーリング」なるものをプロトタイプとして上げて考えるのも、あながち無意味ではないだろう、ということです。

さあ、改めて参りましょう。
弾丸ツーリングですが、その定義は、例えばウィキペディアなどに載っているほど、メジャーな単語ではありません。
しかし、だいたいの定義で言えば、

1 かなりの長距離を、
2 あまり長期間でなく、
3 一気に走ってしまう、
4 走り中心のツーリング。
というところでしょうか。

ここで、


1 かなりの長距離を、

どれくらいの距離なら弾丸ツーリングと言えるか。
人により、距離はさまざまでしょう。
また、片道だけでもいいか、出発地に帰って来なくてはいけないか、という点では、どちらでもよいということになると思います。
例えば、九州から秋田に転勤、赴任することになった。転居は通常通り行い、勤務も初めて、ひと月後、預けておいたバイクをバイク屋さんから受け取り、九州ー秋田片道を一日、一気に走る!となると、これは片道でも弾丸と言えるでしょう。
片道を弾丸のようにぴゅーっと走り、帰り道は長距離フェリーを使う…。この場合、半弾丸と言いたくなりますが、前期の引っ越し片道が弾丸と呼べるなら、この片道フェリーも、走った片道分は弾丸だと言っていいと思います。
ふつうにゆっくり走って日帰りできる距離を、急いで半日で日帰りしても、それは弾丸とは呼べないでしょうし、(いや、人によっては呼ぶかもしれません。)
1000kmを越える距離でも、10日以上もかけて、あちこちじっくり見ながら、または途中で何日か滞在しながら走る場合には、弾丸と呼べないでしょう。

この距離、もしも正確に、また公式にツーリングをカテゴライズするならば、おおむね「何km以上」とか、決めるのでしょうが、そもそも旅は人がするもの、旅人にとって遠い距離ならば、それは長距離だし、全然遠く感じないなら、何kmあっても弾丸にはならないでしょう。



2 あまり長期間でなく、

弾丸が、銃口から放たれてゆっくり時間をかけて到達する…というのはイメージに矛盾がある。
やはり、できるだけ速く、時間的に早く、短い時間で走るときに弾丸ツーリングの呼称がふさわしい。
例えば、原付で60km/h以下しか出なくても、ひたすら遠くの目的地に向かって走り続けるなら弾丸ツーリングと言えると思います。
しかし、距離との兼ね合いになりますが、何か月も旅しているのは、どんな長い距離でも弾丸には似つかわしくないように思います。
できるだけ早く、遠くに。
それが弾丸ツーリングの要。
世界最長、最大の弾丸ツーリングは、例えばダカールラリーのイメージではどうでしょう。
途中一日のオフ日がありますが、それなしに走り続けることはまず無理なので、それも含めて弾丸と呼んでいいと思います。



3 一気に走ってしまう。

これも弾丸ツーリングのイメージです。もちろん、安全のために1時間走行したら10分休む、を3回繰り返したら、大休憩30分を挟む…というのは、一気に走るに含めます。
食事休憩もOKですし、安全のためにとる仮眠もOKです。
泊を伴うほどの長距離では、宿に泊まるのも(キャンプでも)OK。
「走れメロス」は、命を懸けた弾丸ランニングですが、彼も川を渡ったり、山賊と闘ったり、途中で倒れて眠ったりしています。しかし、早く、遠くへ走ろうとしていることは変わりない。その場合は、弾丸ツーリングとみなします。
無理はいけませんからね。
漫画「キリン」では、ポルシェとの競争中に邪魔が入って危険なことがあると、なんとみんなで急遽PAに入って会話しています。浜松までどちらが速いか、狂気の競争をしているはずだったんですが、意外とちゃんとしてますね。
あんまり、途中途中で長く止まっていては弾丸になりませんが、必要最低限のストップは、弾丸とは言えども、ツーリングをしていくのに不可避。そこは大人の判断で。



4 走り中心のツーリング。

弾丸ツーリングは、実は走りだけでは成立しません。
遠くの目的地の設定があって、初めて、そこへ矢のように、いや、弾丸のようにすっ飛んでいくことが可能になるのです。
従って、気分のままあてもなく、弾丸ツーリングに出ることはありえない。
なにか、走り以外の目的があり、遠くに目的地があり、そして時間制限がある。
この3拍子揃った時に、初めて弾丸ツーリングが発生するのです。

しかし、必然的にそのツーリング、走っている途中は「走り中心のツーリング」になります。
ツーリング中でも走り中心にならないツーリングも結構多いものです。
例えば、恋人とのタンデムツーリング。走っている時でも中心は走りではなく、タンデムの恋人です。
おいしいものを求めるグルメツーリング。気持ちがどっちにあるかで、弾丸になるか、ならないかが決まります。
「ラーメンナイト」は夜中にラーメン屋へ走って行く話でしたが、あれは実は走りに中心のある弾丸ツーリング。
高速やワインディングを走っても、爽快な汗をかいたあとのうまいものに重点があれば、それは弾丸ではなく、グルメツーリング。
「ケンタウロス」の600マイルブレンドは、あの喫茶店が藤沢にあったら、きっとわざわざ飲みに行ってないね。遠くまで一気に走る、そんじょそこらの奴らじゃついてこれないペースで、その速さでその距離を!という驚きの距離を走るからこそ、彼らはやってたんです。あれは、グルメツーリングじゃなくて、弾丸ツーリングです。



さて、弾丸ツーリング、実施の際に気を付けることは、それはもちろん、たくさんあります。
その危険性については言うまでもないのですが、一応、次回押さえておきたいと思います。

2 件のコメント:

  1. 一番覚えている弾丸ツーリングは妻と二人で行った厚岸牡蠣祭り日帰りです。
    朝4時に出て23時前くらいに帰ってきた気がします。
    本別か士幌かあのあたりで日没を迎えてしまって、狩勝で帰ろうと思ったけど大人しく日勝だなーなんて思ったのがとても記憶に残っています。
    距離的に800kmくらいで僕はさほどでもなかったんですが、妻がボルティーでそれだけ走ったのはある意味僕より弾丸だなと感じます。
    凄く印象的なツーリングで良い思い出です。
    昨年の暮れに子供が生まれたので、二人でバイクに乗れるのがいつになるか分かりませんが、またいつか夫婦でツーリングに行きたいなと、色々なツーリングを思い出しては感じています。
    僕たち二人のツーリングというものが出来ていたんだなと、今になって思います。

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    1. 金田さん、こんにちは。
      お子様のお誕生、おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
      すこやかに、成長されますように。

      厚岸牡蠣祭り日帰りはハードですね。単気筒で延々走るのは、なかなかきついものがあると思います。名車、ボルディの面目躍如という面もあるかもしれませんが、奥様の根性(?)も素晴らしいですね。
      きつくても、その方が印象に残ったりするのも不思議です。
      子育てはまたひとつの長い未知の旅ですが、どうぞ、楽しんでくださいますように。

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