2016年1月7日

Araiヘルメットの企業姿勢

この15年くらい、僕の頭を守り続けているのが、Araiのヘルメットです。
以前はSHOEI、SETA、など、被っていたのですが、だんだんArai一本になってきました。
以前も書きましたが、それは、僕の頭の形がAraiに合っているらしいから、と、もう一つ理由があります。


それは、「アライヘルメット」の頑固な企業姿勢が好きだからです。

現在、モトGPなど、2輪レースの世界では、ヘルメットも空力を重視したものがトレンド。
マルク・マルケスのSHOEI、ロッシのAGV、その他、縦長というか、後方に少し伸びた、流線形に近いものがトップモデルとなり、市販されるモデルも、そうした空力を生かし、GPイメージを反映したものが多くなってきています。

しかし、Araiは、丸い。
やわらかくて容易に潰れたりするデフューザー部分を除くと、昔からの丸い形を維持しています。
そしてトップモデルのGP選手が被っている帽体も、同じように丸い。
ダニペドロサ選手はアライユーザーですが、彼のヘルメットは、他の選手に比べて丸さが目立つように僕には見えます。



もちろん、ヘルメットの形を気にしてレースを見ているわけではないのですが、アライは他のメーカーのヘルメットが細長くなっても、頑なに丸い形を維持してきました。


今年の後半、それでも空力を少しでも改善しようと、透明な樹脂製のエアロパーツをつけてきていましたが(これはロッシのAGVもしています。)、それでも基本帽体の丸い形は崩さない。

それは、アライヘルメットの会社として譲れない方針があるから。
それを説明したのがHPにあるこのページです。

文章だけ引用します。
頭を守る確かなヘルメットに、優れた衝撃吸収性能は絶対の要件です。事実、アライの長い歴史は、これを高めてきた努力の軌跡でもあります。だが、どんなヘルメットでも、吸収できる衝撃の大きさには限界があるのも事実です。
一方、速度の二乗に比例し、いくらでも大きくなるのが衝撃のエネルギーです。だから、公道上でも、試験の衝突速度より速く走るライダーの頭は、とてつもなく大きなエネルギーを抱えることにもなります。そんな衝撃を吸収するなんて、どんなヘルメットにとっても無理です。
だから、当たる障害物は帽体の表面を滑らせ、衝撃は出来る限りかわす。そうすれば、限りのある衝撃吸収の性能も働く場を得て、カタチも大きさも予想の付かない現実の衝撃から、頭を護る可能性も生まれます。
万一の際、まっ先に働く“衝撃をかわす性能”には、“丸く、滑らかで、強い”帽体が、より有効であること、アライは長い歴史の中で学びました。公の規格がどうあれ、自らもバイク乗りで自分自身の頭も考えるアライは、この基本を決して忘れません。
衝撃は、出来る限りかわす。そして、かわし切れなかった分を吸収する。ヘルメットが頭を守る上での基本はこれ、とアライは考えます。
だから、アライのすべてのモデルは“衝撃をかわす性能”を考え、規格による頭部保護の範囲において、丸い滑らかな75R以上の球面の連続したフォルム※、そして強固なシェルを固守します。
<R75>、アライが提唱する大切な安全へのこだわりです。
アライヘルメットは、武骨なまでに、安全性を最優先して商品開発を続けてきました。
スクーターが流行り、半キャップ型のヘルメットが売れた時期も、Araiはそれをリリースしませんでした。

最近でも、バイザー内臓型のヘルメットが出て人気となっても、帽体内にそうした機構を組み込むことで衝撃吸収能力が少しでも低下することを嫌ってリリースせず、遅れてシールドの上にバイザーになるショートシールドを重ねる、というアイディアで商品を発売してきました。


それはどっちかかっこいいか、といえば、断然バイザーインだと僕は思います。
いや、もうちょっと正直に言えば、このプロシェードシステム、機能的にはいいのかもしれないけど、個人的にはかっこいいとは思えない…。

そして、バイザーインのヘルメットも、ちゃんと安全基準は満たしているわけです。

でも、Araiは、たとえツーリングモデルであっても、安全性への要求水準を決して下げない。
その点では、世界で最も安全に重点を置いたメーカーと言えると思います。

そして僕は、そういう企業姿勢がとても好きなのです。

わずかでもバイク事故による死亡率を減らし、命と幸せを守ろうとする企業として、僕はアライヘルメットを応援したい気持ちを持っています。



…といっても、僕はアライに忠誠を誓ったわけではないし、次のモデルはSHOEIかもしれません。

でも、効率とか、短期的な成果とか、○○賞とか、そんな価値観で包囲された時代だから、そんなに金銭的に余裕のある訳でもないのだからこそ、ここぞという出費には、納得のいく買い物がしたい。
もしも価格と自分のニーズのバランスが取れているなら、自分の応援する企業のモノを買いたい。
そんなふうに思うのです。

だから、ちょっと背伸びしても、やっぱりアライヘルメットを買うことになるでしょう。
応援したい企業がある、ということは、とても素敵なことだと思うので。

8 件のコメント:

  1. アライのヘルメットいいですね!でも高くて
    困ります。インナーバイザー格納型は欲しい
    です。夏の眩しい時は重宝しますし、助かり
    ますね~。
    ショ―エイも良いので欲しいのですが、こちらも、負けず劣らず高いな~!

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    1. いちさん、こんにちは。アライ、SHOEI、どちらも高いですよね。
      ヘルメットの寿命は通常仕様で3年と言われていて、それは、身体の汗や皮脂で内装や衝撃吸収材(発砲スチロール)などが痛み、本来の性能を発揮できないから、とされています。
      僕は通勤用でも5年使っていて、その前のジェットヘルは15年使ったという、それは安全上もやめなさいってレベルなんですが、例えばアライの内装材や、発泡剤でも、発泡の泡の大きさを順次変えて固さをコントロールし、もっとも衝撃吸収に適したものを追求して作っていたりするんです。
      どのみちヘルメットは高くて、おいそれと買い替えは家計が許さない。では、どんと買う時にいいものを買おう、という気になってしまうのは、これはもう性分みたいなものだと思っています。
      一年に数回しか被らないフルフェイスももう8年くらい使っていて、まずいなあ、と思うのですが…。たぶん今年買い換えられないでしょう。

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  2. おはようございます TOMOです。
    ご無沙汰しております。

    相変わらずお忙しそうですね。

    私もアライのヘルメット、それもRX-7系をずっと愛用しています。

    元々はショウエイを使っていたのですが、
    ある時RX-7を試着してから軽さとフィット感の虜になってしまい、
    それからずっとほぼ指名買いです。

    アライの徹底的に安全に拘る企業姿勢も共感できる一つですね。
    株価に一喜一憂して、
    目先の利益と投資家にしか目がいっていない企業が多い中
    こういう企業は大事にしたいですね。

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    1. TOMOさん、こんにちは。
      私の方こそ、御無沙汰しておりました。
      TOMOさん、RX-7系の指名買いなんですね。
      私は超高速走行はしませんが、ツーリングユースでもRX-7はその恩恵を十分に感じさせてくれますね。
      長時間、長距離で疲れない。それはすごいことだなあと思います。

      TOMOさんおっしゃる通り、志に共感できる企業は、
      個人としてできる範囲で応援していきたいと思います。
      そのための出費は、現金で回収できなくても、
      将来にわたって自分がその製品を手にするための投資だと考えています。

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  3. とおりすがり2016年2月14日 18:52

    私も管理人様同様、長い間アライを使用し、その企業姿勢に共感していた時期があります。
    ところがある一件以降、昔ほどその企業姿勢(というか広告の謳い文句)に共感できなくなりました。

    バイク歴の長い管理人様はご存じかと思いますが、アライはオフロード用ヘルメットでチンガードが取り外し式のMXシリーズを作っていました。

    その当時、アライはバイク雑誌に「固定式のチンガードは万が一のときに路面に引っ掛かり頸椎を痛めるおそれがあるので、その際チンガードが外れるようにアライは固定式にしていません」のような趣旨の広告を出していました(暗に他メーカーの出しているヘルメットを批判するかのように)。

    ところが今や、当のアライは一体型のオフロードヘルメットしか出していません。この件については、私の記憶違いかと思いましたが、同様に思われた方もいらっしゃるようで、以下のリンク先で記事にされている方がいました。

    http://blog-883r.jp/archives/50559827.html

    御ブログは読者様も多いでしょうし、その影響力から間違った刷り込みを受ける方もいらっしゃるかと思い、失礼ながらアライの黒歴史?についてコメントさせていただきました。

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    1. 「とおりすがり」さん、こんにちは。

      MXシリーズから現行シリーズへの移行、どのような経緯で移ったのか、私は詳しくは知りません。
      売上の為に安全基準を裏切ったのなら、企業として好きな姿勢ではありません。
      安全上の技術の進歩、危険性の研究の結果として一体型に変更したなら、以前の広告と違っても、製品としてありでしょう。というか、工業製品は進歩しなくてはなりません。
      (ただし広告としてどうかは、また別の問題です。)
      この場合、どちらだったかは、現時点では不明です。
      従って、今回コメントにある情報だけで「黒歴史?」や「間違った刷り込み」と言ってしまうのは勇み足だと思います。

      ただ、私はアライを誰かの代わりに擁護しているわけではありません。
      疑いは「あり」です。
      100%「信じ込む」ことは、検討を忘れさせ、危険だと思っています。
      私もアライの全てを肯定しているわけでもないし、記事にある通り、次のモデルはSHOEIかもしれません。
      現状で、「私はアライを応援したい気持ちがある」ということです。

      「とおりすがり」さん。
      実はこの私のお返事、数時間ほどの間に何度か書き直しています。
      大変失礼いたしております。お詫びします。
      「とおりすがり」さんのお気持ちは、ありがたく思っております。

      また、読者の皆様にもお詫びいたします。

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    2. とおりすがり2016年2月14日 23:56

      管理人様、こんばんは。

      ネガティブキャンペーンを行う意図ではありませんでしたが、そのように受け取られても仕方ない書き込みだったと思います。申し訳ありませんでした。

      ただ、私が管理人様の記事を読んだ感想として「手放しでのアライ賞賛」のように受け取ってしまい、そのため過去の広告の件を知っていた者としては「んー、ちょっと違うなー」という思いから、あのような書き込みをしてしまいました。

      管理人様にご指摘いただいた勇み足の件、これはまさにその通りです。この点については、稚拙な書き込みをしてしまい、お恥ずかしい限りです。

      私の書き込みに真摯なコメントをいただき、ありがとうございました。

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  4. 「とおりすがり」さん、こんばんは。
    こちらこそ、何度も返事を書き直し、しかもそのたびに返答の趣旨が変わるようなことをしてしまい、
    「とおりすがり」さんには大変失礼いたしました。
    本当に申し訳ありませんでした。

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