いつもの札幌市南区。簾舞から小金湯温泉にやってきた。
ここに樹齢700年以上と推定されるカツラの巨木「小金湯不動」がある。
晩秋ですでに葉をすべて落としていた。
カツラの葉は、秋、いち早く黄葉し、落葉する。
それにしても、大きい。
普通の写真では全体像を捉えることはできないくらいだ。
なぜ、小金湯不動というのか。
まず、小金湯温泉の由来だが、記念樹木の説明看板には、上記のようなことが書いてあった。
定山和尚とは、美泉定山という実在した修行僧で、札幌奥の定山渓も彼の名にちなんでつけられたということだ。(定山渓温泉の歴史)
さて、ではこの樹がどうして「不動」なのか、だが、小金湯温泉のHPに以下のような説明があった。
湯元 小金湯」のシンボル・桂の木は、推定樹齢700年。
樹高約23m、幹周りは10m以上の大木で、小金湯温泉郷を訪れる人々を見守り続けてきた、守り神のような存在でもあります。
その昔、定山渓を開いた美泉定山(みいずみ・じょうざん)が根元で仮眠した際、樹霊が夢枕に現れ、霊泉が湧くことを告げたという言い伝えも残る、この大木。根元のウロ(空洞)に不動尊がまつられていたことから、「桂不動」と呼ばれるようになりました。
なお、この桂の大木は、昭和47年、北海道の「記念保護樹林」に指定されています。(小金湯の歴史/湯本小金湯)
長い樹齢の中で、カツラのもともとの主幹は失われ、その「うろ」に不動像が祭られていたという。
その根本の空洞はこちら。
僕が以前訪ねた時には、不動像はまだ、うろの中に安置されていた。
現在は、
根方に多く置かれている地蔵たちと一緒に、うろの前に立っている。
樹を傷めないための配慮であろうか。
大きな幹越しに、湯本小金湯を望む。
ここの温泉は、非常に泉質がいいそうで、特に登山客には昔から大きな支持を集めていたらしい。
僕は入ったことはないが、おすすめの温泉ということだ。
とにかく、大きい。
一本で、こんもりした杜(もり)のようでさえある。
根方に小さな祠も建てられている。
太い腕。
枝というよりも、腕のようなその姿。
写真中央下端の雪をかぶった四角い石は、さきの不動像だ。
はなれて、コンデジズームの広角端で全体を収めてみた。
これでは大きさがだいぶ圧縮されてしまっている。
手前の「のぼり」と樹の間は駐車場になっていて、距離があるのだ。
大きなカツラ。
みようによってはまがまがしくも見える、その異様な枝ぶり。
そして、夏に葉をつけると、カツラの繊細なハート型の歯が枝を覆って、球形に盛り上がり、緑のドームのようになり、その姿は、大きくもやさしいものとなる。
しかし、この樹も、12年前、初めて訪ねた時に比べると、なにか、神秘さが少し失われたようにも感じられたのだ。
初めて訪れた時のことは、前のブログ「聖地巡礼ーバイクライディングin北海道ー」に
「北海道の樹ー1-札幌小金湯カツラ不動(カツラ)」として記事にしている。
小金湯温泉の建物が古い木造から建て替えられ、周辺も土の露出したものから、アスファルト舗装され、大きな駐車場が整備されたからだろうか。
それもあるかもしれない。
しかし、たぶん、いちばんの原因は、僕自身だ。
日々の暮らしや疲労の中で、感受性が落ちてきている。
そんな感じを強くもったのだった。
あの時感じたものは、もう今の僕には感じることはできない。
風景との出会いは、やはり一期一会なのだろう。
しかし、後になって振り返ると、今日のこの僕の感覚も、また、現在の僕だけにしか感じられないものなのかもしれないのだが。
もうすぐ、雪が降る。
ここもまた、深い雪に覆われる半年を迎えるのだ。
駐車場に巨樹の枝の影が落ち、向こうに小さく、ゆきかぜが停まっている。
昔がここも露地で、車もこんなに駐まってなかった。
ここからゆきかぜまで、40歩くらいか。
行って、跨り、また走ろう。
もう少し。
(つづく)
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