2013年6月26日
後ろ姿
「男は背中で語る」…なんて言葉もあったけれど、ゆきかぜ(MOTO GUZZI V7Special)は僕の中ではなんとなく女性。 でもちょっと後ろ姿を眺めてみた。写真は、「1000km 赤井川」の時に撮ったものだ。
ゆきかぜの後ろ姿、なかなか好きだ。
タイヤが細いのにまず目が行く。シリンダーが左右に斜めに突き出しているのが変な感じ。
全体はスリムなのだが、シリンダーの部分は横幅が広い。そしてマフラーが横に広がっていて
意外と左右幅を取っている。
フルカウルだったGPZ1100と比べると、カウルがない分、小さく見える。(実際に小さいのだが。)
リヤフェンダーはスチール製で、弧を描いてシート下、サイドカバーの手前まで続いている。
後端が黒いプラスチック樹脂の板にさらに先に反射板がついている。これは、イタリアのナンバープレートの形に合わせた形状で、彼の地のものは縦長なのだ。梱包を開けたままの状態では日本のナンバープレートが着かない。
僕の購入元のバイクショップ「ズーム」さんでは、アルミ板を切り出して角を丸く加工し、元の樹脂のプレートにカシメてくれた。
後ろのこの位置は、意外とバイクを降りた後にライダー自身が何かを引っかけたりする場所で、ナンバープレート一枚まま固定すると、ひっかけたりして曲がりやすい。そういうことの予防にもなっている。ちなみにズームさん、お店のステッカーはナンバープレート下の黒いステッカー一枚のみで、非常に控えめだ。
ズームさんはGPZで9年お世話になったが、もともと広島で買ったGPZ1100を、本当に親身にみてくれて、おかげで12万キロ無事に走ることができた。いつもバイクの安全を考え、ユーザーの利益を考えてくれるので、とても助かる。作業についてもわかりやすく説明してくれる。その話が面白くてつい長居になってしまうことが多いのだが…。
その場での値引きや低料金を謳うショップもあるかもしれないが、適正料金で真っ当に整備してくれるズームさんは、決して高くないし、むしろ、かなり安いと思う。その安さは、これみよがしのものではない。その仕事内容に対して、非常に安いと思うのだ。真っ当な店で、真っ当なものを買いたい。現在の社会ではすべてをそうするわけにはいかないかもしれないが、自分の気持ちが優先できる場面では、できるだけそういう買い物がしたいと思う。
買い物はただの「消費」ではない。僕は「お客様」呼ばわりされるような、ただ「金を払う人」にはなりたくない。
少し斜め後ろから見た。
マフラーが幅広なのがよくわかる。
縦に細い車体であることも。
シリンダーが突き出している以外は、単気筒バイクと同じスリムさだ。
最近のバイクデザインではリヤを跳ね上げるのが流行りか、クルーザー(=アメリカン)タイプ以外は新作バイクのリヤの多くが高く跳ね上がり、リヤフェンダーは短く、雨の日はきっとライダーの背中に泥はねが盛大に飛び散ることだろうと思わせる。いや、実際にはそこまでではないのだろうが、少なくとも後方高くに水しぶきを上げることまでは間違いない。
V7は「ネオクラシック」と呼ばれるカテゴリーに入るバイクで(この先鞭をつけたのはカワサキのW650だった)、デザインが70年代あるいはそれ以前のバイクデザインを元にしているから、リヤも跳ね上がらず、造形も「クラシカル」である。(V7のデザインモチーフは1972年のモトグッチV7SPORTである。)
これを懐古趣味として、古いものが好きな輩(マーケット)に迎合したデザイン放棄の媚びた作品とみるか、現在でも有効な性能とデザインを今日的技術で再現した真面目な作品とみるか、これも諸説あるようである。
V7SPORTは、当時の旗艦。ホンダのCB750、カワサキのZ1のように、厳然たるオーラを纏っていた。
今、V7ゆきかぜに感じるのは、むしろ「かわいさ」だったりする。
現在のモトグッチの旗艦は1.2リッターエンジンや、クルーザーでは1.4リッターエンジンを積む上位機種に当たり、この750クラスは小さい方、「エントリークラス」。ビギナーや女性、街乗りをメインターゲットにしたクラスである。
したがってデザインも、仰々しくなく、かわいい、親しみを持ちやすいものにしたのだと思う。
もともとV7クラシックが出る前は、ブレバ750という、ほぼ同じエンジン、同じフレームで、
タンクやシートレール(リヤを跳ね上げる)など、デザインの今風な日常的使用では非常に高性能なモデルがあった。
V7クラシックはその外皮を昔風に「被せ替えた」、そういうモデルであるとも言える。
だが、僕はこのデザイン、絶賛はしないものの、まあまあ気に入っている。
自分の身の丈に合っているような気もするし、本来のこのバイクのパワーユニットとシャシーの持つ性能を、そのまま表しているようにも感じる。
押し出しの強くないのもお気に入りだ。
強そう、ワルそう、凄そうなデザインは、どうも僕には馴染めない。
確かに、GPZ1100には、頼れる確かなものがあった。
もしも雨の中を1000km走ってこいと言われても、こいつとなら行ける、という、確信に足りる、そんな存在感があった。
V7は、頼るのではなく、「協力してやっていく」、感じだ。
どこまで信頼し合えるか、どこまで対話できるか、それはこれからにかかっていると思うけれども。
車体が軽く、さっと跨れるV7。
見た目に凄さを感じさせないV7。
その本当の強さをどう見出していくか、乗り手の僕が問われている。
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