2013年6月10日

新しい緑、薫る風。(1)

 6月9日(日)、朝7:00。
 馴らし途中のV7に跨って家を出発する。

 距離計は約570kmを指し、先週のオイル交換から約70kmを走行。エンジンの上限を4.000rpmとして、ごく近くの馴らしのために選んだ小さな峠越えが3つあるルートを2回ほど走っていた。
 昨夜は12時帰宅。1時前就寝。本当は早起きして4時に出発しようと計画していたのだが、寝不足の危険性を考えて、7時発にし、6時半前に起きた。無理がきかなくなってきている。5年前と比べても、体力はじわじわと落ちてきている。そう感じながら。

 家を出て3キロほどで最初の峠へ。短く登り、短く下る。以前は通勤ルートだった峠だ。
 2速、3速、4速を使って馴らしをする。(注意!僕の慣らしは我流なので、もしかしたら間違っているかもしれないし、エンジンに悪いかもしれないので、これをお読みの方はご注意ください。)各ギヤで2500rpmから3500~3800rpmくらいを使う。最大トルクが2800rpmで発生するV7のエンジンは、かなりの急坂の峠でもこのくらいの回転数でストレスなく登っていく。少し開けれはきちんとレスポンスして加速する。



 二つ目の峠の短い登りでは50~60Rくらいの180度回り込んだカーブが短い直線を挟んで二つある。バイクなりの旋回を見るにはいいカーブで最初が左、次が右だ。
 ここも安定して曲がっていく。ほぼ定常円のこのカーブでは、V7に癖らしい癖は見つからない。旋回する様子は、GPZ1100に比べると軽やかで、この程度のRなら、単純な通過速度だけならV7の方が速いかもしれない。
 タイヤのグリップ感は以前も述べたように全然違う。べたっと張り付いているかのような安心感のあるGPZ+メッツラーZ6に比し、V7+ピレリスポーツデーモンは、接地面が少しずつ常に動きながらグリップしている感じがする。極端な例を言えば、オフロードタイヤのブロックが荷重で動きながらでも全体としてはグリップ力を発揮して曲がって行っている感じだ。

 おっと、そんなことはどうでもいいか。

 二つ目の峠を越えて数km行くと、低速コーナーがいくつかある3つ目の峠だ。下りの小さなターンで、くるっとはなかなか行かないな…と思いつつ下る。もちろん速度を落として平地のUターンに近いつもりで曲げると、くるっとは行く。慣性を生かしたまま下り低速に入ると、安定感が若干勝って、機敏さは影をひそめる。これは速度さえ落とせばGPZの下りよりも安心・気軽に入れるから、開発コンセプトとしてはこれでよいのだ。スリップダウンする気がしない。

 おやおや、やっぱり走りのことばかり考えている。

 そこから、簾舞の裏道を通り、国道230号線に出て、定山渓温泉―中山峠―喜茂別と下っていく。

 喜茂別の平野に降りてきたら、街の中心部に入る前にいつものように寄り道して、お気に入りのコースをたどってみる。

 V7はやっぱり楽しい。ナラシ中でも結構速い。軽やかで安定感…、しかし機敏ではない。
不思議なバランス。でもこういうのは好きだ。


 閉鎖されたゴルフ場のコース越しに、羊蹄山が見える。
 今日はよく晴れて、全体が見えている。
 残雪がきれいだ。
 コースの黄色い色はたんぽぽ。



 これもお気に入りの定番の場所の一つ。喜茂別の谷越しに尻別岳を望む。
 新緑がまぶしい。
 そして、


 畑の中から羊蹄山を望む、お気に入りスポットにやってきた。
 畑は植えつけ作業の最中。
 既にハウスに苗を育てているところもあった。
 風が気持ちいい。



 見返すとこんな感じ。
 向こうの山々にもまだ雪が残っている。
 V7はちょっとうつむきかげんで。全体的にかわいい感じのデザインなのに、ライト近辺が垢抜けていないというか、カットレンズのヘッドライトにしないで、こわもてのマルチリフレクタータイプにしたのは、性能重視というわけだろうか。ライトケースとメーターハウジングの間とか、ハンドルとミラーの表情とか、ちょっといただけないなあ…というところもないわけではない。このバイクは、見る角度によって表情が違う。

 気持ちよい風に吹かれながら、不思議な表情だなあ…とV7をしばし眺める。
 排気管の焼け色は、メーターでわずか3kmでズームさんから引き取った時には既についていた。
 この焼け色、たとえばハーレーは時間をかけてゆっくりついて行くのだそうだ。SRなんかも時間がかかっていくタイプ。このV7は最初にエンジンを熱を浴びたときにすぐに色がつくのだという。
 それでもその後、僕と過ごすうちに、また少し青色が進んだようにも見える。

 畑の作物は何だろう。
 この写真では畑ぎりぎりに停めているように見えるが、バイクの位置は上の写真からいじっていない。
 耕作地との間に一度低くなって溝のようになっているところがあり、その溝を越えてその向こうから耕作地になっている。

 さあ、一休みしたら、羊蹄の見える、もう一つのお気に入りの場所へ行こう。


 上の写真の場所から10kmほど離れた、広い高台から羊蹄山を望む丘にやってきた。
 今日は空が高い。風が抜けていく。
 ここに来ると、いつも景色の広さに気持ちよくなってしまう。
 羊蹄山の右肩、遠くに見えているのはニセコの山々だ。
 パウダースノー。ホテル直結のゲレンデ、ニセコのおいしい食。日本のみならず、外国人にとても評価の高い、スキーヤーの聖地のひとつである。




 同じ場所、20mくらい動いただけだが、南の方角に尻別岳が見えている。
そこまで広がっている森の景色の広さにいつも驚く。間に町や畑もあるのに、まるで、樹海しかないかのように見える。
 ここは牧草地。大規模な牧場の一角だ。

 白いタンクを見下ろして、思わず「ゆきかぜ」とつぶやく。




 道の脇、牧草地でない溝の側からV7を見上げる。

 ああ、風が、やっぱり吹き抜けていく。
 羊蹄山にも、たんぽぽにも、似合っている。
 青空と、風に似合っている。

 こいつは、やっぱり「ゆきかぜ」だ。

 はっきりと決めた。

 ゆきかぜ、今日はもう少し、走ってみよう。
 ニセコの山を、君に見せたい。
 羊蹄山の北麓を回って、ニセコへ行こうじゃないか。(つづく)

2 件のコメント:

  1. こんにちは、樹生さん。
    青空。羊蹄山。そして、ゆきかぜ。
    きれいな写真ですね。お気に入りの場所もGPZクンの時とは少し違う景色に
    感じてしまいます。
    楽しそうに走っている樹生さんのお姿も見えてくるようです。

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    1. ぷるぷるさん、こんにちは。

      よく晴れて、風が薫る、そんな表現がピッタリな感じの日でした。
      GPZとV7は全然違います。でも、どこか同じ感じもします。
      (まあ、バイクですから、同じと言えば同じなんでしょうけれども。)

      なんだかとっても相性がよくなるような気がしています。
      まだまだ分かりませんが、乗る度に楽しい、ゆきかぜです。

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