MOTOGUZZI V7Special(2013)ゆきかぜ号は、純正のハンドルが僕にとっては幅広で絞りが浅く、どうもしっくりこないポジションでした。
それで、今回ゼファー750のノーマルハンドルと交換しています。
今日はそのハンドル交換の効果を中心に書きます。
ノーマルハンドル |
ゼファー750のハンドルに換装 |
しかし、セパレートハンドルや、スワローハンドルのような強い絞りは与えられていません。
上の写真を見ても、意識してみるとちょっと垂れて絞り角ついた?と言う程度で、たぶん何も言わなければおおくの人がこれがノーマルだと思うのではないでしょうか。
正面からの写真も見てみましょう。
ノーマルハンドル |
ゼファー750のハンドルに換装 |
ノーマルハンドル |
ゼファー750のハンドルに換装 |
見た目の印象はほとんど変わらないのですが、跨ってポジションを取り、運転してみるとだいぶ違います。
まず、ステップと同様に、ハンドルもポジションが大きく変わった感じがしません。
これはサイズ的にもそれほど変わっていないというのもありますが、身長の割に腕が短く。どちらかというと外側から握るタイプの僕に、少し(両端で4cm、左右各2cmほど)幅が狭く、そして絞りのついたハンドルバーがしっくりきたために、意識があまり行かない…というのが原因だと思います。
以前は幅が広く絞りが浅かったためにしっかり握ると肘が開いてしまい、肩が上がり気味になってしまうことや、肩と腕を自然な形にすると、今度はグリップの小指側が少し浮いて、親指側で握るようになり、これが少し扱いにくいと感じるときもありました。
でもそれも買ってから3年の間に徐々に慣れてきていたのではありますが、今回のハンドル交換で、本来の位置に近くなったような気がしました。
ただ、ゼファーのハンドル、ノーマルとあって、スイッチボックスの回転止めのダボが嵌る穴が最初からあります。これにスイッチボックスのダボを合わせて組むと、当然、スイッチ操作に最適な角度が決まりますから、その角度になるようにハンドルバー全体の角度を決めることになります。
これが、設計時のハンドルポジションということになり、ゼファー750の場合は、垂れ角もちゃんと付く角度で止めるようになっています。
写真に載っている僕のゆきかぜ号につけたハンドルバーはそこから若干起こした角度で止めています。
元々の設計よりも垂れ角が浅くなり、ハンドルバーエンドは高くなっている訳です。わずか2cm弱くらいなのですが、僕にとっては全然違いました。
ゼファー750のハンドルに換装 |
ゼファー750本来のポジションだと、わずかなのですがハンドルが低く、垂れ角が強く感じられたのです。その違いは実は腕よりも、その腕を伸ばす肩から背中、上体全体の前傾角(これもホントにわずかなちがいなのですが)の違いになって体に違和感を覚えさせます。
回転したのはほんのわずかなのですが、ハンドルを起こし気味にすることによって、上体が無理なく自分に合った感じになりました。
垂れ角も完全になくしたわけではなく、若干先端が低くなる角度になっています。
頸椎ヘルニアを患い、昔から肩凝りの激しい僕には前傾姿勢で頭をもたげて(首を後ろにそらすような感じで)前を見ることは、長時間になるとかなりきついのです。
それでもスポーツライディングもするのですから、上体は完全に直立するのではなく、自然なゆるい前傾であってほしい。
そのままの姿勢でちょうど拇指球の上に体重がかかって行くような、そんなバランスでいたいのです。
その調整はなかなか微妙で、許容範囲は結構あると思うのですが、その許容範囲から5mmでも外れると、途端に窮屈に感じてしまいます。
バイクを完全に自分の身体に合わせることはできないと思うのですが、互いの許容範囲の共有できる部分に、ステップ、シート、ハンドルグリップの3点を持ってきたいと思います。
ゼファー750のハンドルに換装 |
ハンドルバーを少し起こす方向に回転、それに合わせて左右のレバーを調整。調整しないとバーを回転させた分だけレバーが低くなります。
僕の場合、このレバーが低すぎることも疲労につながるのです。
アクセルを戻した瞬間にブレーキングに掛かれるようなレバー位置、連続するシフトダウン時に、切ってつないでを短いストロークの中で確実に行えるレバー位置。
僕の場合、腕が短いせいもあるのかもしれませんが、一般的なレバー位置よりもかなり高い位置が適正位置です。
さらにレバーホルダーを1cmずつくらい、内側に追い込みました。
幅が狭くなり、絞りが付いた分、グリップに対して手のひらが若干外側からくるようになっています。
今までは広く絞りのないバーに対して、内側から手のひらが握りに行っていたのですが、それが変わったため、レバー操作する指の位置が、以前よりもハンドルの内側に移動しています。
一番指が掛かりやすく、コントロールしやすい位置に指がくるようにレバーホルダーごと少し内側に追い込んだわけです。
今回はそれで走ってみたわけですが、大分なじみやすくなった気がします。
ステップとハンドルが変わり、以前の足が前にあり、上体は背筋が伸びて腕を広げて前へ出している、いかにもヨーロッパのポジションから、以前のGPZ1100を走らせていたときのポジションに若干近づいた感じのポジションになりました。
(GPZ1100と同じというわけではありません。少し近づいた感じです。)
背中を横から見たときに丸まっているC字型がいいか、伸びていて脊椎はS字を描いているS字型がいいかは、度々議論になり、医学的にはS字がいいということに落ち着きそうな感じですが、元愛車のGPZ1100は普通に乗ればC字になり、ノーマルのV7は普通に乗れはS字になり、今回のステップ、ハンドルバー換装によるポジションの変更では、C字、S字、どちらでもいけそうな感じになっています。
総じて、今回のポジション変更は当初の目論見通りに行ったと言えるかと思います。
まだ、ミラーの調整や、さらに細かいハンドル角度等の微調整、もしかしてステップバー単体での位置変え(4ポジション取れます。)など、必要かもしれません。
走り込むことを通して、自分の用途にもっとも広範囲に適合するべストな位置を探して行きたいと思います。
カスタム後のゆきかぜ。 |
ポジションも大きくは崩さず、できるだけ設計者の意図も尊重しつつ、それでもオーナーであり、ライダーである僕の身体と用途に即して、安全性と快適性、運動性を高度に満たすものに、少しずつ変えていくことは、バイクライフの愉しみのひとつとして大きいものがあると思います。
やっぱり走る度に気持ちよくないと、走りたいという気持ちになりにくいですから。
5月はサス設定も含めて、微調整を続ける月となるような気がします。
それが楽しみな私です。
樹生様、お久しぶりです。
返信削除ST4と申します。
今年も無事シーズンイン、自分の事のように嬉しいです。
私は昨年より色々と立込み今年はバイクに乗れるかどうか微妙です。
赤井川ででお会いしてもう1年なのですね。
充実したトラブルのない一年のとなりますよう願っております。
一点質問があります。
カスタム後のコーナー内側のお尻の抜重についてです。
私のモトグッチの感覚ですとロール軸に沿うような姿勢で
自然に抜重するか、平面的に扇形に頭を残しお尻をオフセットして抜重のイメージです。
樹生様のカスタムではよりロール軸に垂直に腰が座る(極端ですいません)
感覚のように感じます。
腰を切るイメージといいますか・・・
立面的に頭を残し、外側のお尻と頭の間で体をコーナー側に
たわませる事で抜重するのかなとイメージをしてます。(BMWのR65でのコーナーイメージです)
V7は抜重の感覚は大きく変わらないのかなぁと思い、
質問させて頂きました。
腰を切る(後者の)抜重ですと、自分はくるぶしあたりのグリップがとても重要です。
樹生様はV7でどうされているのでしょうか?
長々と質問し申し訳ありません。
ST4さん、こんにちは。
削除お久しぶりです。
今年はお忙しいのですか?またお会いできるといいですね。
私も無事故で過ごす1年としたいと思います。
さて、ご質問の件ですが、コーナリング時の姿勢と体の捌き方のことかと思います。
今回のカスタムで、ステップが身体の重心下に近くなり、かなり踏ん張りやすくなりましたし、ギャップを越える時など、ステップを踏みこむことで上体の受ける衝撃をかなり和らげることが可能になりました。さらにステップバーのグリップが飛躍的に向上し。靴の底に喰い付いている感じで、全く滑りません。自在に荷重していくことができそうです。
ここまでがカスタムの効果です。
さて、コーナリング時ですが、基本的に倒しこみ時に、私はイン側ステップの踏み込みを行いません。
一般的には交差点を曲がるときや教習所でゆっくりS字やスラロームを走るときと一緒で、どこで操作する、という強調ポイントを作らずに、全体的に「なんとなく」イン側へ倒れていきます。
少しペースを上げるときには、事前にイン側へ心持ち上体を預けておいて、ブレーキング時に主に外側の足で減速Gを受け止めながら倒しこみポイントまで走って行って、倒しこみポイントでブレーキを解放しながらそれに合わせてイン側へ全身でバイクごと「もたれかかる」ように倒れていくようにしています。抜重というよりは、ブレーキ荷重に耐えていた筋力を脱力していく感覚です。すると、自然に倒れ込みながら少し沈み込む感じで、向きが変わりながらインへとバイクごとリーンしていきます。
まあ、「ライダースクラブ」でよく書いている、あの方法です。
コーナリング中の上体の姿勢ですが、腰を全く動かさないリーンウィズの時はそのまま倒れ込んでそのまま何もせずに旋回していきます。途中で旋回力を心地増したいときには、全身をさらにイン側へ少し沈ませるようなイメージで、脱力というか、イン側へもたれかかっていきます。この時、お尻と頭を車体のセンター上に無理に残そうとすると、強いて背骨を内側に湾曲させることによってイン側荷重を増すことになり、すると体に力が入り、ハンドルも逆操舵方向へ入力しがちになります。結果、バンク角はさらに深まり、ただし逆ハン入力していますから自然舵角ほどは舵角が入らず(といっても、ほんのわずかですが)、バランス補正のために外足荷重を意識して回ることになり、緊張感が増してしまいます。重心を沈める感じに上体をイン側へ沈めていくことで、結果的にケニー的(ケニーロバーツ選手、ごめんなさい。)フォームに近くなっても、それは結果で、状況(速度、バンク角、旋回半径、路面状況など)によって形は変わってきます。
まっすぐのままの時もあれば、弓なりになる時もあり、腰から頭まで全体をイン側へ平行移動したかのようなフォームになる時もあります。(ロッシフォーム。わあぁ、ロッシ選手、ごめんなさい。)
基本的に、「抜重」とは、「膝を抜く」などの表現と同じように、動作を指す概念だと捉えています。「倒しこみ」、「向き変え」の始まる瞬間に、今まで踏ん張っていたホールドを弱めて、ライダーの体重がバイクに瞬間かからないようにしてやる。そのことで運動性を増す。これが抜重効果だと思います。と、同時にあらかじめイン側に体をオフセットして、かつ減速Gに耐えていた体は、抜重した瞬間からバイクのイン側前方へ投げ出されることになります。これがバイクのリーンと同調して、ライダーが位置がイン側下方へと自然に移動し、直進から旋回に代わる時に、遠心力と釣り合っていくことになります。
従って、旋回している最中はバンク角も落ち着き、そこでの荷重バランスも基本取れているわけですから「抜重」することはなく、遠心力と重力の掛かっている自分の体重をどこからどんなふうに車体に預けていくか、ということが主な身体捌きのテーマになるのではないかと思います。
V7の場合、ヒールガードがなく、くるぶしグリップが効きません。
ステップの踏面と靴横、サイドカバーに触れているふくらはぎ、そして二ーグリップとシートのグリップ、下半身のマシンに触れているところすべてを使って、なんとかホールドしなくてはならないし、あまり大胆に振り回すことはできません。
でも、じゃあ不安で曲がらないかと言えば、それほど不安感はなく、繊細な操作は必要だが、かなり気持ちよく曲がる…というのが、モトグッツィの不思議なところです。(^^;)
お答えになったでしょうか。何か変なところや、不明な点がありましたら、遠慮なくおっしゃってください。
ST4です。
返信削除早速のご回答有難う御座います。
抜重より脱力と体の預け方が説明しっくりきます。
ご説明大変よくわかりました。有難う御座います。
私も似た排気量のモトグッチに乗っており、
気持ちよく曲がる感覚わかります。
ただ自分のレベルでは曲がるための正解わかり易くて面白い、
の感覚ですので、もっと技術と理解を高めたいです。
自分もまたどこかでお会できたらと願っております。
そのとき時間があれば話の続きのお相手していただければと思います(笑)
あぁ、バイクに乗りたいです(苦笑)
今年は忙しくて乗れないのです。
しばらくは樹生様のブログを拝読させて頂き、
乗った気分になって頑張ろうと思います。
丁寧なご回答を有難う御座いました。
ST4さん、大変お忙しいのですね、どうぞ、お体を大切にしてください。
削除GW、後半は私も出張が入っていて、走れません。
無理しないで、ちょっとずつ走って行こうと思います。
乗り手の身長体重もそれぞれ、、
返信削除そうですね!とことんしっくり来るほうがライディングは楽しい!
tkjさん、こんにちは。
削除どこまでこだわればいいのか、バイクに乗り方を合わせていく要素もありますので、元々の設計理念を壊さないようにしながら、自分に合わせていくことになると思うのですが、でも、「しっくり感」を求めて、調整していきたいと思います。
tkjさん、ありがとうございます。
takaです。
返信削除ハンドルもまた、ライティングへの影響は大きいですね。
方向性は、イメージ通りでは?
あとは、微調整の積み重ねですね。
私もハンドル交換して半年経過して、気になる箇所を、昨日ブラケット交換で対処しました。
ハンドル交換の際に理想の高さ、引きでないのを、ブラケットで補正しました
高さ17mm、引き11mmですが、体感は大きくイメージに近づきました。
ただ、コーナーのターンインでフロント過重とブレーキリリースのタイミングがズレたので、走り方も補正が必要です(^_^;)
takaさん、こんにちは。
削除ブラケット交換ですか。なるほど。ハンドルバーはそのままに、位置を微調整するにはいいですね。
実はバイク屋さん(札幌ズームさん)でも、最後はブラケットの交換で一調整ができると言われていたところです。
ライディングポジションが変わると、いろんなことが変わりますね。バイクってバランスの乗り物だとつくづく思います。
僕も微調整を続けて行こうと思います。
セパハンに乗っている私としては、簡単に変えれるバーハンは羨ましい限り。
返信削除この調子で気にいらなければサクッと交換できますもんね。
たーだ今のバイクをバーハンに改造しようとは思わないんです。
単純にカッコ悪くなるし、カウリングの整流効果も変になりそうです。
樹生さんのV7はネイキッドなんで、通常スピードの乗り味に真価が
ありそうですね。100キロ以上の高速は垣間見る程度にしているのかな?
ならば、通常領域は小気味よく行きたいところ!操作入力を快適に行える
ポジション作りはコンパクトに機敏に動けることで良くなりそうです。
大きなアクションを伴う操作は不要です。ちょっとの入力で動くように
調整でしょうね。
元々グッチはリーンウィズ走行で基本に忠実なライディングが結果OKですから。
いちさん、こんにちは。
削除GPZ1100はセパレートハンドルでしたが、やはり腕の短い私にはポジションが大柄過ぎ、バーハンドルに改造していました。改造して初めて、バイクと自分の重心位置がぴったり来る感じになり、それ以降16年はその改造後のまま、乗っていました。
私自身、バイクに出してもらう超高速にはもう興味を失い、免許がなくなるのも怖いので、時速140km以上はいらないという考え方でバイクを選んでいます。
また、V7にもそのうちビキニカウルや、スクリーンを付けるかもしれませんが、いかにもオートバイという外見も、今のところ気に入っているのです。
現在の位置の調整はいちさんがおっしゃるような積極的なものというよりはその手前の、自分の身体的条件とV7の特性の接点をちゃんとさせようとしているという、もう少し基礎的な部分かと思います。でも、それがまずは大事なのだと思っています。