2016年4月6日

樹生の弾丸流儀6

だいぶ間が空きましたが、樹生の弾丸ツーリング流儀。その6です。
弾丸ツーリングはひたすら早く距離を稼ぐ(そのために法と体力の許す限り速くも走る。)、貧しいツーリング。
高速道路を延々飛ばすときもあります。
その時、どうするか、というお話です。


高速道路は歩行者もいないし、一部区間を除けば対向車もない。路地から車が飛び出してくることもなく、基本的に路面もよく、カーブもまあまあきつくない。

速度が高いことを除けば、安全な道といえます。

しかし、えてして単調になり、やがてそれは緩慢さを生み、気づかないうちに危険が忍び寄ることになる。
景色を楽しめる区間もありますが、一般道の変化に富む道々の表情に比べれば、道路の切り通しの法面や、防音壁が延々続いて風景が楽しめないことも多いです。




そして僕の場合、高速道は夜間通行も多い。
かつて、本州に住んでいた時の話ですが、深夜のうちに高速道で一気に移動してしまい、朝日が昇る頃に目的地近くのI.C.で下りて、田舎道を楽しむ…というパターンで走っていたので、景色も闇の中でますますただ走るだけの時間になります。

ここで単調さを失わないためにどうするか。

高速道路で長距離・長時間を走ることがたびたびある人なら誰でも、そのノウハウはいくつかお持ちだと思います。



お薦めできないのは、速そうな「敵」を見つけてはバトルを繰り返してどんどん先へ行くというもの。
バトルといってもたいていの「敵」は50kmも走れば飽きるので、その時は先を急ぎ、次の「好敵手」を見つけて…を繰り返し、ガソリン満タンから空になるまで、一気に走り切ってしまうという、80年代ならでは(?)の迷惑な方法。これはしてはいけません。
特に最近はいけません。
ここから先は「ホラ」だと思ってください。
ただ飛ばして速く走るのは、周囲を怖がらせたり、危険に巻き込んだりして危ないだけです。これは絶対にいけない。
しかし、昔はごくまれに、本当の飛ばし屋がいたものでした。
冗談のように速いのに、前方の車によって追い越す速度を変えるのです。
ファミリーカーなら驚かせないように減速してゆっくり追い越し、その後でまた加速する。
プロの長距離トラックなら、相手も慣れているので、距離をとって気づいているサインを認めた場合は遠慮なくぶちぬく。
勘違いしたいきがりあんちゃんなら、絶対ついてくる気を起こさないような圧倒的な抜き方をするか、むしろ抜かずに後ろでゆるゆるとしばらく走り、追随できないタイミングで急加速して抜き去る。
それでも自分の限界を良く知り、「敵」の腕を計り、互いに危険でない領域を呼吸で合わせて走る。
……、そんな「ワル」がいたものでした。



一瞬で相手の経験、力量を計り、周囲の状況を見て、ふさわしいタイミング、ふさわしい相手とのみ、バトルする…という走り屋がいたものでしたが、それももう、昔話。

皮肉なことに、そうした飛ばし屋の姿が作品化され、一般に認知されることと、インターネットの普及とともに、そうした環境は急速に失われました。

何でも物事を白か黒かなど、単純に割り切ろうとし、複雑さに耐える心性が廃れるとともに、走り屋は去って行きました。もう、二度と会えないのかもしれません。

おおっと、脱線もはなはだしい。

そう、飛ばしたり、バトルしたりするのは、よくない。
してはいけません。

ではどうするかというと、いろいろ手段はあるのですが、僕の場合、歌います。
歌いながら体の各所を順番に小刻みにリズムに乗って動かし、ほぐし続けます。硬直を防ぎ、血行を促すためです。
それでも、昔は100kmに一回は、最近は50kmに一回は休憩するようにしています。
つまり、高速道で30分以上連続で走らないことになります。
いやあ、齢取りました。

その時に歌う歌ですが、
ここで、「ローリングストーンズ」だ、とか、「ステッペンウルフ」だとか、「クィーン」だとかだと、格好いいですし、高速ライドに合いますよね。

でも、僕の場合なぜか高速でエンドレスに流れる曲は、中原めいこ作詞・作曲・歌、佐藤準編曲、
「宇宙恋愛(スペース、ファンタジー)」なのでした。(^^;)

中原めいこって「君たちキウイ、パパイヤ、マンゴーだね。」の人なんですよね。
そしてこの「宇宙恋愛(スペース、ファンタジー)」は恥ずかしいことに、アニメ「ダーティ・ペア」のエンディング曲なのです。



ああ、高千穂遥原作の、ホント、おバカな男が勝手に描く元気一杯お色気乙女アクションアニメですよね。実はこのアニメ、たまたま2、3回分見たことがあるだけだったのですが、なぜか、エンディングの歌が頭に残っていて、それが高速道路で走行すると、頭の中でめぐり始めるのでした。
そしてそれに合わせて体の各所をリズミカルに揺すりながら走る。8小節くらいずつ、左足、右足、左手、右手、左肩、右肩、体幹左、体幹右、…で元に戻って左足…と繰り返す。
1986年頃からずっと……、ああ、もうちょうど30年か。

もちろん、高速道路を走る時に例外なくこの曲になるわけでもなく、
走っている間中、ずっとこの曲ばかり歌って体を揺すっているわけでもなく。

でも、
「スペ~スファンタズィ~♪、あなたに会いに、ここまで来た~の♪」
と歌いだすと、きたきたきたきた~♪って感じで、ご機嫌になって、単調な高速道の走行も楽しめるような気がするのでした。



「むぁかせなすわぁい!」(^^;)

2 件のコメント:

  1. 今でも「ホラ」してますよ。


    ただ、悲しいかな国内仕様なので、
    185km/hしか出ないけど。


    あ、185km/hしか出ないのは、「私の友人」の話でしたw

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    1. tkjさん、こんにちは。
      嘘とホラの違い、ワルと邪悪の違い、そうしたものが廃れていくのが、高度情報化社会、超監視、管理社会の特徴ですね。ネット社会は表も裏もない。均等、無機質なデータの集積としてすべてを平らにしていく作用を、宿命的に持っています。
      でも、ホラも、ワルも、世界にとっては必要なもの。戦争や大量虐殺は、みんな真面目な正義の遂行を掲げた嘘つきたちによってなされてきました。自分の正義を疑わない真面目は、悪よりたちが悪い。
      秘かなホラと、ひそやかなワルを。
      でもこれはもう、明治の剣客や、20世紀のガンマンのようなものかもしれません。
      路上のダンスとホラ話を愛するお友達に、よろしくお伝えください。
      「生き延びて、また飲もう」と。

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