2019年4月15日

春のひかり。2 羊蹄の東

2019/4/14 9:01 喜茂別町 国道275号 相川付近
僕のブログではおなじみの場所。
まっすぐの道の向こうに羊蹄山。


今年も訪ねられた。
白い山がとても美しい。
25歳の時にこの風景に出会って、ずっと好きな場所の一つだ。

2019/4/14 9:07 喜茂別町 国道275号 相川付近
そこから国道276を、京極方面へ2kmほど走ると、畑の中に大きな一本松が立っている。
この木もずっと気になっていた木だ。
でもこの木、畑の持ち主や地元の人は呼び名を持っているかもしれないが、
一般的には無名の松の木だ。
かなり背が高く、すらっとしている。
北海道で「松」と言えば「イチイ」の樹が多いが、この木はたぶん赤松だ。
函館に赤松の並木があるが、函館以北では赤松はかなり珍しい。
しかも、この寒い喜茂別である。
おそらくは本州から「開拓」の時に持ち込まれ、植えられた木だ。
畑の中に立っているので、近づいたり、羊蹄山とツーショットになる位置に移動して(畑に踏み込んで)取ることはできない。
それはたぶん、畑の持ち主だけの特権だ。
なんてすばらしい贅沢だろう。

足元に、ふきのとうが芽を出し始めていた。
春だ。
ふきのとうが芽を出すと、あっという間に風景が春へと走り出す。
雪が消える日も、もう近い。



2019/4/14 9:13 羊蹄東山麓 道道97号と国道276号の間の農道
さらに少し走り、国道から一本羊蹄山に近い農道に入って、東山麓をゆっくりと流していく。
夢のような光景だ。
この美しい山の裾野から、一気に山頂まで、きれいに見えている。
畑の雪は少し消え始めている。
畑の右側、雪が黒く見えるのは、例えばおがくずのような融雪剤を撒いたからだ。
雪解けを早めて、農作業にかかる。
天然のおがくずや炭なら、畑の害にならない。
もちろん、作物の伝染病への感染は怖いから、撒く融雪剤も何でもいいわけではない。
畑に踏み込んではいけないのは、足跡が残るから、だけではない。
むしろ、靴裏やズボンのすそなどに着いた病原菌などが作物をダメにすることが多く、そちらも怖いのだ。
だから、畑へは絶対に踏み込んではいけない。
柵がなくても、絶対だ。

同時、同所
カメラのズームで山頂を。
漫然と眺めても素晴らしいが、例えば望遠で寄ってみると、また岩や雪の表情に圧倒される。これは、その場でファインダーを覗いているほうが、写真を見るよりも感じられる。
その場で、その空気を吸っているからだろうか。

同時、同所
山頂から裾野に向かって、なだらかに、真っ白な雪の世界から森林限界を越え下りて、次第に背の高い植物へ、森へと、移っていくさまが、また美しい。

「山を見ると人間なんてちっぽけに感じる」
とは、もう手垢にまみれて、中の実を失ってしまった、死んだ言葉と言ってもいいが、
それでも大きな山など、自然の大きな風景は、人間の力をこざかしく感じさせるほどの
力強さを感じさせる。

東のふもと、小さな点に、ゆきかぜと僕。

しばし、気持ちよい、少し冷たい春の風に吹かれてから、羊蹄山の北山麓へと
走っていく。
(つづく)

4 件のコメント:

  1. 今シーズンもよろしくお願いします。
    しばらくは雪の羊蹄山を見ることが出来ますね。
    先週の土日は絶好のツーリング日和でした。
    この後の行き先が気になり、楽しみです。

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    1. 緒崎さん、こんにちは。

      この日、体力のそんなに戻っていない私は実はどこに走りに行くのか
      相当に迷っていて、それでも、緒崎さんのブログを読み、きっと峠も行ける!と思って
      走り出すことができました。
      雪の羊蹄山は、本当に美しくて、「来てよかった!」と思いました。

      緒崎さん、今シーズンもよろしくお願いします。

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  2. 「それでも大きな山など、自然の大きな風景は、人間の力をこざかしく感じさせるほどの
    力強さを感じさせる。」
    どんな言葉よりも、其処に立たなければ感じえない美しさと存在が山にはありますね。
    一歩づつ登りながら肌で感じていく山への圧倒的な畏敬の念。
    そしてやっぱり「山を見ると人間なんてちっぽけに感じる」
    例え言い古された言葉であっても、
    簡単な気持ちでは決して踏み込んではいけない神聖なものを感じたりです。
    その山を美しく思い、そこにある風に感じる時間は、自分だけの時間かもですね。

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    1. selenさん、こんにちは。
      情報が豊かに、ある意味では簡単に手に入る今、
      それでも「其処に立たなければ」感じられないもの、
      それを感じることは、人生において、とても貴重な、贅沢な、
      そんなものだと、思います。
      本当は言葉は、ありふれてていいのかもしれません。
      そのありふれた言葉の中に、どれだけの実感を込められているかのほうが、大切なのかもしれない。
      旅をしなければ、出会えないものがある。
      そういうものを探していければと、思います。

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