2019年4月18日

春のひかり。5 赤井川村(下)

2019/4/14 10:41 赤井川村「西の丘」
赤井川村のカルデラ盆地にやってきた。
ここは「西の丘」。僕が勝手に、盆地の南北を真ん中に貫く川と道路に対して、西側に高くなっているところを西の丘、東側に高くなっているのを、東の丘と名付けているだけだ。
例えば西の丘には「池田」とか、東の丘には「赤井川」や「富田」などと、ちゃんと地名がある。
生活に根付き、歴史を持っている地名だ。
僕の付けた名前は、ただの傍観者のものには違いない。



さて、今日は西の丘を中心にゆっくり回る。
2019/4/14 10:42 赤井川村「西の丘」
春浅くとは言っても、ここは豪雪地帯、3mくらいの積雪には平気でなるところだ。
すでに、畑の土は見え、もう春は、しっかりと来ている。
作物の植え付けも、もう少ししたら始まるだろう。
その前に耕さなければならないが。
ハウスの中では苗が育っていることだろう。

2019/4/14 10:43 赤井川村「西の丘」
樹々の芽吹きまで、あと少し。
この風景も、もう少しで緑の風景に変わっていく。
その途中で、新芽の色が赤、ピンク、など、いろいろに生えて、「春紅葉」と言われる彩を見せてくれる。

鳥の声は、もう聞こえている。

2019/4/14 10:50 赤井川村「西の丘」
赤井川村も開拓の村だ。
だから道路が縦横にまっすぐに伸びている。
江戸時代以前に開墾された土地では、道は地形に沿って伸びることが多い。
直線道路は、北海道の象徴のようなものの一つだと言っていいと思うが、
それは、「近代」の「パワー」の爪痕でもある。

それでも「農」の風景は美しい。
人は食料なしでは命を維持していけない。
その食料を生産するのが、第1次産業だ。
経済効率だけで、第1次産業を語ってはいけないような気がする。
2019/4/14 10:53 赤井川村「西の丘」
西の丘の中でも、毎回立ち寄る場所に、やってきた。
丘の上、カラマツが並んだところがランドマークになっていて、遠くからでもよくわかる。
僕にとって、ここは特に気持ちのいい場所で、季節を通じて、訪れたくなる。
また、写真左手に畑の土が見えているが、この土の匂いが、いい匂いなのだ。
人工的だったり、おしゃれだったりする「香り」ではなく、土の「匂い」だ。
土の匂いにほっとする。そんな感覚は幼いころに身体に染みついたのだと思うが、僕は自分のその感覚が好きだ。

2019/4/14 10:53 赤井川村「西の丘」
同じ場所から、村の中心部の方向を見ると、こうなっている。
塔が見えている建物は赤井川中学校だ。
モダンな建物と、木の倉庫。
畑。
ヒバリの声が聞こえてきて、
幸せな気分になる。
ちょっとだけ、ここで休ませてもらおう。
2019/4/14 11:15 赤井川村冷水峠
さて、村を北上して冷水トンネルを越え、出たところから旧道に入って、
冷水峠にやってきた。
赤井川のカルデラ盆地を一望できる峠だ。
ここも何度も訪れている。
左側の峠の木。
何本も集まって一本の木のようになっているのだが、この峠の木も、僕の好きな木のひとつ。
ゆきかぜをそばに停めて、写真を撮った。


2019/4/14 11:17 赤井川村冷水峠
見下ろす赤井川。
こう見ると、まだまだ春は浅いようだ。
盆地の中では、春の訪れを、感じられたのに。

そう思ったら、近くの木の芽が膨らんでいた。
2019/4/14 11:18 赤井川村冷水峠
この樹が何の樹なのか、僕にはわからない。
でもネコヤナギの樹の芽が膨らみ始めたところではないだろうか。
(ちがってたら恥ずかしい……)
いや、ここは名前がわからなくても、いい。
樹の芽のふくらみ。
それだけで、こんなにいとおしい。

春だ。
今年、57になる。

一年一年を、大切に生きていきたい。
(つづく)

5 件のコメント:

  1. とてもとてもホっとしながら読んでました。
    ゆっくり今を味わうように。
    流れている時間が心地良くて、樹生さんの旅を感じた気がします。
    走ること・・とても素敵な事ですね。

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    1. selenさん、こんにちは。
      赤井川のカルデラ盆地の中の空気が、
      私をゆっくりさせてくれたように思います。
      二十代の頃、たまたまたどり着いた時から、この村の風景や空気は
      何か特別なものを私に感じさせてくれました。
      今も、その特別さは、感じられて、
      ここのカルデラ盆地が大好きな私です。

      走って、停まり、走り…。

      走ることは、とても素敵なことだと、私も思います。

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  2. 樹生さん

    お久しぶりです、2016年10月のイタヤカエデのブログにコメントさせてもらったJUNです。
    樹生さんの言葉は一つ一つ心に響きます、バイクに対する思いだけでなく家族に関する様々な出来事、社会的な立場や事情、はては腕時計に求める事まで自分自身に重なって毎回大きくうなづいてます。

    多分そうではないかな?と思ってましたが今回で確信しました、私も寅年、今年57になるんです。
    改めてよろしくお願いします、今後も美しい写真と心安らぐブログ楽しみにしています。

    JUN

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    1. JUNさん、こんにちは。お久しぶりです。
      あ、JUNさん同期なんですね。そう、私も寅年です。
      同世代ならではシンパシーというものが、あるのでしょうか。
      昔は、世代ごとに区切ってしまってセクトみたいになるなんて…と思っていたのですが、
      同じような時代を、長い時をかけて過ごしてきた、生き続けてきた同世代には、
      個々の思想などとはまた別の、世代的精神風土のようなものがあるなあ…とも、
      思うようになりました。
      その中でも私などは、70年代の精神風土を
      未だに引きずっている人間なのかもしれません。

      日本のインターネット空間や、そこから現実世界に横溢している「痙攣的な笑い」に
      どうしても同調できず、反射速度の加速に嫌な味を感じてしまう私は、
      確かに、旧世代なのかもしれません。
      しかし、旧世代が現在や未来に生きるということは、旧世界を捨てて新世界に軽やかに移行することではなくて、旧世界の確かな実感の上に新世界を少しずつ加えて、調合していく、そういう地味な行為を続けることではないかと思います。
      旧世代的バイクブログですが、無理しない範囲の中で、今年も少しずつ書いていこうと思います。
      JUNさん、これからもどうぞよろしくお願いします。

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    2. ありがとうございます、今年もバイクで出たら必ず生きて帰りましょう。

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