2019年10月24日

秋の歩みに。3


パノラマラインの中から分かれていくもう一つの峠、それは新見峠。
道道268号線、岩内蘭越線だ。
峠には登山口があり、目国内岳白樺山に登れるらしい。登山する人には、お馴染みの場所でもある。

僕はと言えば、バイクでこの道を、さらさらと通過するだけだ。





こんな、1車線の道が好きだ。
一番好きなのは、生活の匂いのする、田舎道。
次は、こんな、通るために作った感じの、細い道。

僕は本当の自然好きとは違うと思う。
山の中は怖いと思うし、山は登るよりも眺める方が好きだし、
水が怖いから、風景としての川や海は好きだけれど、
釣りもしないし、泳ぎもしない。

雪は好きだが、スキーはしない。

ただ、田舎道を、走っていたい。

知らない道を、知らない町や村をつないで続く道を、
ずっと、走っていきたい。


むかしから、そんなふうだ。





ゆきかぜは、色がかわいい。
でも機械の部分は、よく見ると、精悍だったりもする。
(もっとよく見ると、ん?ってとこもある。)

50psもあるんだ。かわい子ぶりっ子しないで、マシン然としていた方がいい。
でも、不必要に凄むこともない。

140km/hまではすぐに出るけど、200km/hまではたぶん無理なナナハンだ。
しなやかでちょうどいいフレームは、飛ばし過ぎると荷重過多になって、振られ出す。

チープな前後サスは、道路の継ぎ目でバタバタする。

でも、リアルだ。
そして、フェアな感じがする。



峠の下り。
途中でゆきかぜを停めて、ちょっと休んだ。
いや、だいぶか。

眼下、樹々の葉の向こうに、今から下りていく道がちらっと見える。




どこへ、行くんだろう。



いくつになっても、この問いは、有効なのか。

そうだ。完全に決められてしまったら、僕は我慢できない。
それは、牢獄だ。

不安と引き換えに、自由はある。




道は、下っていく。

閉鎖された新見温泉を過ぎたら、またしばらく下り、蘭越へ行く前に、道道66号線へもどる。

また、ニセコへ戻ったら、もう一か所、行ってみたいところがあるんだ。
そこが目的地じゃなかった。

でも、今日はそこへ。

そういう旅を、たぶんこれからもしていくことになるんだろう。

さあ、そろそろ、行こう。
新見峠の短い区間で、もう3回も停まってしまった。

ちょっと速く走ろうか、ゆきかぜ。
こんな道は、君の得意のフィールドだから。
(つづく)

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