2019年10月22日

秋の歩みに。2

2019/10/14 9:03
中山峠を降りて、まず、真狩の道の駅手前のコンビニにやってきた。

トイレを借り、エネルギーを補給する。
ブリトーのチーズカレーハンバーグ味。

まあ、コンビニの味だ。
でも、陽向で、温かくいただく。
道の向かいの小学校では、子どもたちが少年野球をしていた。

僕らが子どもの頃は、子どもだけで野球をしていたものだったが、今はほとんど大人のコーチが付き、ユニフォームを着て、組織だった練習をしている。
そのほうが、強くなって、試合にも勝てるのだろう。試合は勝った方が楽しいから。
でも、野球をする楽しみって、そうだったかなあ……。
なんて、昔を思い出しながら、子どもたちの声を聴いていたら、思ったよりも時間が経っていた。



さあ、行こう。
だいぶ、暖かくなってきた。

ゆきかぜを起こして、また車上の人になる。

今日は、これからニセコに行ってみよう。
久しぶりだ。
紅葉には少し早いが、紅葉時期は渋滞してとてもいけない。
もう、ニセコは全国的というよりも国際的な観光地、スキーリゾート地になってしまった。

昔の、静かな農村としてのニセコの風景も、好きだったが、これもまた、アラカン男のノスタルジーという奴だろう。

ニセコの道の駅を通過し、道道66号線を進み、パノラマラインに入る。

ゆっくりと走って、走り抜け、共和側へ下りてから、もう一回上がってきた。
それほど混んでない。

バイクも少ない。

パノラマラインを往復して、五色温泉の方へ入った。
そこでトイレを借りて、ちょっと散歩する。

さて、もう一回、パノラマへ。
向かう途中で景色のいいところがある。
ちょっと停まって、風に吹かれた。

2019/10/14 10:38
直してもらったゆきかぜは快調。
ニセコの山々から、南の方角が見えている。下に広がるのは、昆布温泉の方だろうか。


2019/10/14 10:40 
良く晴れた。

良く晴れたのは、久しぶりな気がする。
紅葉は、始まったところ。
でも、あっという間に駆け下る。


2019/10/14 10:44
少し移動して、また止まる。
こちらも南側だが、奥の方が南西方向。
蘭越の方が見えているだろうか。



2019/10/14 10:47
山を走ると気持ちがいいのは、
山道の上り下りや、右左のカーブを駆け抜けていく歓びもある。

それから、こういう開けたところから、里を見下ろす時の爽快感がある。

自分が日々、へばりついて、はいつくばって頑張っている世界、
自分を支えてくれ、でも、同時に縛ってもいる、世界から、少し離脱した感じ。

そういう感覚が、気持ちよさを誘うのではないだろうか。

「絶景」だけなら、家でTVでも見られる。
タレントの誰かがそう言っていたそうだが、確かに、「絶景」でくくれない感覚、
世界から、解放され、でも、それはかりそめで、つかの間に過ぎないという感覚、
そして、解放ということには、必ずひとりぼっちのさびしさが、ついてくるという感覚。

風が、下界と違う。
モーターサイクルで走ると、下界と違う風が、身体をすり抜け、通り抜け続け、それで身体や心を洗っていくような感覚に陥ることがある。
もちろん、錯覚であり、感傷ではある。

でも、その気持ちよさは、信じていい。
薬とか、演出とか、そういうたぐいの気持ちよさではない。



2019/10/14 10:52
パノラマラインに戻ってきた。

思い出してみると、パノラマラインに来るときは、いつも2往復している。
そんなに好きじゃないなんて言いながら、そしてなかなか来ないくせに、
実はけっこう、好きなのかもしれない。


2019/10/14 10:53
確かに、北海道を代表する観光ワインディングだと思う。
誰にでも、勧められる。
車でも、バイクでも。


2019/10/14 10:59
今日、帰る家は、決まっている。
明日、する仕事も、決まっている。
でも、ツーリングで山に来ると、ふと、思うことがある。

僕は、どこへ、行くんだろう。

これから。


2019/10/14 11:08

若い頃は、比喩でなく、それは人生のことだった。
どうやって生きていこうか。
誰と、生きていくのだろう。
どこで、生きていくのだろう。
どんな、仕事をして、
何を目指し、何を求め、
何とたたかい、
どうやって、自分をゆるしていけばいいのか。

すべて、わからなかった。

今だって、わからないのだけど、
今は、決まってしまったことも多い。

すべきことが決まった中で、
何を、
どのように、
なぜ、
と、日々、問い続ける。

2019/10/14 11:10

僕ら、ライダーは、
ずっと、旅をしている。

それが30分のライディングでも。

何年も走れない日々が続いたとしても。

バイクから降りる日が来たとしても。

ずっと、あてのなさに、苦しみ、
その孤独を楽しみ、不安を愛し、
いや、孤独と不安の中にあるリアリティを愛して
自分の道を切り拓いていく、

その旅を、
その、あてのない旅を、


僕らライダーは、続けている。


2019/10/14 11:17
パノラマライン、北側へ下ってきた。
眼下に見えるのは共和町の平野。

もう少しで日本海が見える。

もう一本、ここから峠を越える。

走りたい道が、もう一本あった。
(つづく)

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