8年前にいやいや買った携帯電話がそろそろ使えなくなる日が迫っているということで、今なら安いというキャンペーンにつられてスマートフォンを買ったのだが、全然馴染めない。
使えない。いや、マスターしようという気が起きないのだ。いやいや、そんなポンコツでどうする、と自分を叱ってみるのだが、どうにもやる気が起きない。
今や何でも「スマホ」だ。
何でもデジタルだ。仕事の処理もデジタルへの移行が進み、国は9月に「デジタル庁」を発足させる。
紙媒体雑誌も次々に休刊、廃刊になっている。
この時代の趨勢は、どうそようもない。
しかし…、バイク雑誌に関して言えば、面白くなっている紙媒体雑誌もある。
編集長の色が濃い「バイカーズステーション」。
最近は隔月刊になったが、それでもその内容は面白さをキープしている。
2021年5月号の記事には、ケンツの川島健三郎氏が作成した、RG500Γ、TTF-1レプリカ(=公道バージョン)の記事が載っているが、このマシン、車検も取って公道を走れるのだが、中身はRG500Γそのもの。ホントに、驚くべきマシンだ。
それ以外にも、じっくり読みこめる内容の記事が多く、かつての『ライダースクラブ』のように、全頁を読み込むのに1か月かかるような、そんな読み応えのある紙面を展開している。
この息の長さは、webの記事では出せない。いや、可能なはずなのだが、大量の情報を的確にコンパクトにまとめてキャッチと要点のみを、伝えてハイ一丁上がり!のスピード感をwebでは身に着けている僕たちは、web上でこの類のものをじっくり読むことに今や「慣れていない」のである。(もちろん、バイカーズステーションも電子版はあるし、web上にそういうコンテンツがないわけではない。webを見るときのこちら側(『消費』者側の構えの問題なのだ。)
そういえば、『ライダースクラブ』もここのところ、面白さが増している。
根本健氏がプロデューサーにいて、小川勤氏が編集長だった頃と、大きな構成は変わっていないものの、主力メンバーに中野真矢氏や、青木信篤氏を迎え、去年までとは違った記事が今までよりも読みごたえを増してきているのだ。敢えて言えば、ボス根本の呪縛から解放されたライダースクラブは真の意味で新生ライダースクラブとして歩み始め、その魅力を増している。
そして根本氏は、『 RIDE HI 』を始めている。小川氏が一緒にライダースクラブから来て、宮城光氏も力を発揮し、こちらはweb、紙媒体、イベントと、「マルチメディア」展開している。根本氏のライテクも、ライダースクラブ時代からまた変化。本質は変わらないものの、伝え方を変えて、より教えられた側が実感しやすい表現へとブラッシュアップを続けている。根本氏、70を越えてもますます元気でさらに成長しようとしている。
10年前は、紙媒体にDVDの付録がついていたりした。
現在はwebありきの軸足の中で、「敢えて」の紙媒体のあり方を、模索しているところだろうか。
僕の眼で見るところでは、紙媒体の雑誌は、3年前よりも面白くなってきているように思う。紙ならではの長い時間軸、じっくり時間をかけて読むのにふさわしい「記事」(コンテンツ)の獲得に成功し始めているように思う。
願わくば、ツーリング雑誌『アウトライダー』には生き残ってほしかった。
じっくり読むコンテンツには、そのためにゆっくり時間を過ごす『読者』(コンシューマーではなく)が必要だ。
逆に言えば、自分は『読者』と『消費者』(コンシューマー)のどちらでいたいのか、必要な情報を的確にすばやく、効率的に得たいのか、役に立つかどうかだけでなく、その知識や世界のあり方を、じっくり探り、味わいたいのか、場面ごとに自分のスタンスを自覚的に作っていくことが、求められているだろう。
二択でどちらかを選び、選ばなかった方を罵倒し、冷笑する……という、二者択一、二項対立の罠からは、いいかげん僕たちは脱しなくてはならないと思う。
そんなことで人より上位に立ったつもりになったところで空しいだけだ。
それよりも、論を耕し、思考を楽しんで、深く、広く、世界をみてみたいものだ。
こんばんは。
返信削除ブログにコメントありがとうございました。
私もやはり紙の媒体の方が読みやすいです。
特にスマホではスクロールしてると目が疲れます。歳なので。
雑誌は、パラパラとページをめくって好きな場所から読み始められるし、
新聞も、ネットニュースのように上から順番に見て行かなくても良いし。
で、ここを見て旧車好きな私は早速バイカーズマガジンを買いましたが、
これ、以前NHKのBSでRC166をバラした時の写真だったのですね。
私は番組を見ていました。佐藤さんと宮城光君がゲストでしたね。
以前は毎年ツインリンク茂木でGWに行われるグットオールディーズで、
コレクションホールにあるマシンの動態確認と言って走らせていたので、
私もRC164が走る姿を見たのですが、最近はやめてしまったようです。
RC166も走らせる予告があったのですが、中止されてしまいました。
6気筒サウンドを聞いてみたかったものです。
がたぱしゃさん、こんにちは。
削除ばたぱしゃさん、番組見てられたのですね。
最新のものは最新のもので、詳しい解説を読むと、
そこまで考えて設計されているのか…、と嘆息することも多いのですが、
電子制御があまり進歩していない頃のマシンには、目に見えるというか、
道具の究極進歩のような、そして繊細な、美しさを感じます。
250ccでの6気筒サウンド、どんな音だったのでしょう。
その時代にしかない「音」にも、慈しみを感じてしまいますね。