峠を走るときの走行ラインとそのバリエーションについて考えます。
前回記事の最後にこう書きました。
公道での基本ライン、センターキ―プですが、いろんなコーナーを安全に気持ちよく走るには、やはりいくつかのアレンジを加えることも必要になります。それはそれこそいっぱいありますが、どんな「ライン」がどんな走り方を反映しているものか、それを理解し、コーナーの中での走り方のプランを何通りも自分の中に持っておいて、状況に応じて自在に出せるようになれば、安全マージンは大きく膨らみます。
そうすれば危険も減り、怖い思いも減って走りや風景により心を持っていくことができるようになり、走りがさらに楽しくなります。次回から、「ライン」のアレンジについて、書いていきます。
さて、それではラインのアレンジについて書いていきたいと思いますが、これについても、前のブログでかなり書いています。
むしろ、以前のブログの記事の方が個々について丁寧に論じていることになると思います。
まずは、下り、ヘヤピン、右回りのコーナーについて書いた記事紹介します。(手前味噌で申し訳ありません)
そこで考察しているのは4つのラインです。
4つとも左下から走って来て時計回りにコーナーを抜け、右下に走り去ります。
波線が書いてある部分はブレーキをかけているところ。
○印はバイクを倒しこむポイントをさしています。
さて見ていきましょう
Aのラインは、
ジャリなどが浮いて滑りやすいアウト側のヘリとセンターラインをまたがないように内側の少しの幅を残しての、アウト-イン-アウトのライン。ブレーキングをしっかりして奥で倒し込みと向き変えをし、加速しながらの脱出。(「下りヘヤピン右回り」より。)
Bのラインは、
「ケビンシュワンツ」の得意としたラインで、宮崎敬一郎氏も昔、『ライドオン』というビデオマガジンの中でラインの1つとして推奨していました。
ブレーキングは基本的に直線で終了しているのですが、ブレーキを軽く(あくまで軽くですぞ!)引きずりながらなるべくコーナー奥まで行き、そこで一気に向きを変え、後は加速しながら脱出していくパターン。
特徴は、倒しこみポイントでは、「停まる気か!」というほど遅くしておいて、街の四辻を曲がるようにくるっとゆっくり回り、そこから立ち上がっていくこと。(「下りヘヤピン右回り」より。)
Cのラインは、
これはまず、直線で十分減速、奥まで直線的に進入していって、そこから道の曲がりに沿うのでなく、道の曲がりよりやや半径を小さくするように倒しこみと旋回を開始。旋回と車体を安定させるために下りですがアクセルを開けます。
すると道がさらに回り込んだヘヤピンだとわかるので、その時点で車体を立てつつ、再度減速します。いきなりガツン!とFブレーキを掛けるのは危険ですが、なめるようにブレーキを効かせ始めると、自然に車体は起きてきます。車体がおきてくれば強いブレーキングが可能。で、さらに減速しておいて、もう1回倒しこみ、向き変えをする。(「下りヘヤピン右回り」より。)
そしてDのラインは、
進入でさらに減速。ブレーキ開放とともにちょっとバンクして道の中に向かい、アクセルを開け、バンクをとめて旋回を安定させたらすぐに減速に入り、車体を立てて道の奥をうかがいながらさらに減速。道のアウト側に来たら、またインへと向かって倒しこみと向き変え…これを繰り返す。そして実際の走行では、この他にも、
名づけて、『超低速多角形コーナリング!』
これがトータルで遅いかどうか。四国の3桁国道の一車線ブラインドの連続道を雨の中延々50km以上走り続けるなら、このラインが最速だと断言しておきましょう!(「下りヘヤピン右回り」より。)
アウト、アウト、センターのラインもあります。
また、私がV7とバイク散歩に行くときいつも通る峠のあるコーナー(下りブラインド右ヘヤピン)では、「アウト―アウトーアウト」のラインで走っています。
それは、ヘヤピンの頂点付近に結構な段差が道を横切って走っているから。その段差がないのが、道のアウト側だけなので、そこを通るようにしているからです。その溝を過ぎてから急に進路を変えてイン側へ突っ込む気がしない(路面のグリップ状況はあまりよくなく、立ち上がりでそんなに加速したいと思えない)状況なので、ゆるやかにアウト側を大回りするように旋回してしまっています。
ラインとは、そのコーナーを駆け抜けていくプラン。
コーナーに入る前に、だいたいどのラインで行くかを決めておきます。
そして状況に応じて、途中からでも適切にラインを変えながら、走っていきます。
最初のプラン通り走れるときもあれば、
予測よりも回り込んでいたりして、Dのラインになることもある。
そうした変化や道とのやりとり、駆け引きをも楽しむのが峠のライディングです。
ですから、そうした駆け引きに最適なペースで走りたい。
自分が一番気持ちよく道路とセッションできるペースをつかむのが肝要です。
また、B、C、Dのようなラインを描こうと思ったら、「向きかえ」と呼ばれる、バンクと同時にバイクの進路をかくっと変えていく技術を持っていることが前提となります。
( 「向き変え」0、 1、 2 )
コーナーに入る前に、だいたいどのラインで行くかを決めておきます。
そして状況に応じて、途中からでも適切にラインを変えながら、走っていきます。
最初のプラン通り走れるときもあれば、
予測よりも回り込んでいたりして、Dのラインになることもある。
そうした変化や道とのやりとり、駆け引きをも楽しむのが峠のライディングです。
ですから、そうした駆け引きに最適なペースで走りたい。
自分が一番気持ちよく道路とセッションできるペースをつかむのが肝要です。
また、B、C、Dのようなラインを描こうと思ったら、「向きかえ」と呼ばれる、バンクと同時にバイクの進路をかくっと変えていく技術を持っていることが前提となります。
向き変えなんて技術を使わなくても、「CKM(センターキ―プメソッド)」で、峠は十分楽しく、メリハリもついて、そして実は結構速く走れます。
しかし、選択肢としてそうした引き出しを持っておくことは、安全上も大切だと思います。
(ちなみに私は安全のため、「向き変え」を伴うコーナリングをすることが多いです。)
どのラインが正しいとか、一番だとか、向き変えは必ずすべきだとか、しない方がいいとかいいうのではなく、個々のペース、道の状況、その時の気分(気色も見ながらゆっくり行きたいのか、安全を確保したうえでスポーティーに走りたいのか)などに応じて、自在にセットし、変更し、組み立て、組み立て直していくもの。
そのプランと実行の痕跡が、ラインとして残ります。
公道ではたった一つの正しいラインをひたすら速く走れるように練習するのではなくて、いろんなパターンのカーブの通過、いろんなラインと、それが必然的になる走りのプランの方を考え、少しずつ、決して無理しないで試しながら、自分の引き出しを増やしていくことの方が、安全で気持ちよくワインディングを走れることにつながっていくと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿